▪はじめに
マラリアとは、マラリア原虫を持ったハマダラカという蚊に刺されることで感染し発症する病気です。
熱帯や亜熱帯地域でよくみられる感染症のため日本人にはあまり馴染みがないですが、渡航者が感染するケースもあり死に至ることもあるので、正しく知っておくべき病気です。
今回は、そんなマラリアに関する記念日や雑学などについて紹介していきましょう。
目 次
世界マラリアデーとは
世界マラリアデーは、毎年4月25日にあります。
この記念日は、2000年(平成12年)のこの日にナイジェリアでマラリア撲滅国際会議が開かれたことを記念して、2007年(平成19年)にWHO(世界保健機構)が制定した記念日です。
実施されるようになったのは、2008年(平成20年)からで、国際デーの1つとなっています。
▪意味
世界マラリアデーは、世界で起こっているマラリアの現状を理解し、マラリアを根絶するためにはさらなる世界的な取り組みが必要であることを、多くの人に呼びかけるために制定された記念日です。
▪由来
世界マラリアデーが4月25日にあるのは、2000年(平成12年)の4月25日にナイジェリアでマラリア撲滅国際会議が開催されたことに由来しています。
▪イベント
毎年世界マラリアデーには、世界中でマラリアの撲滅を呼びかけるイベントやキャンペーンが行われています。
日本では、2030年までにマラリアをゼロにすることを目指して活動しているグローバルネットワーク「マラリア・ノーモア」の日本支部が、毎年4月25日に他の団体との共催でチャリティーイベントを開催しています。
過去には4月16日にオンラインでイベントが開催され、気候変動が及ぼすマラリアへの影響とその対策をテーマに有識者による議論や、気候変動の現状や各国の対策の現状報告、マラリアをめぐる国際保健の枠組みと日本のかかわりについての講演などが行われました。
現在、このイベントの内容をまとめた小冊子やマラリアについての資料などがマラリア・ノーモア・ジャパンの公式サイトで見ることができます。
マラリアの雑学
<マラリアとは>
マラリアとは、マラリア原虫という寄生虫に感染することによって引き起こされる感染症で、マラリア原虫を持っているメスのハマダラカに刺されることによって感染する病気です。
マラリアは、現在も制圧できていない世界三大感染症(HIV感染症・結核・マラリア)の1つで、現在は主にアジア・オセアニア・アフリカ・中南米の熱帯・亜熱帯地域で流行しており、世界中で年間2億人以上の感染者があるとされています。
マラリア原虫にはいくつか種類があり、人間に感染するものは、熱帯熱マラリア、四日熱マラリア、三日熱マラリア、卵型マラリア、サルマラリアの5種類です。
マラリアの潜伏期間は1週間~4週間で、悪寒戦慄(寒気やふるえ)を伴う発熱、頭痛、嘔吐、下痢、関節痛、筋肉痛などの症状が現れます。
発熱は、発熱期と無熱期を繰り返すことが特徴で、間隔は種類によって異なります。
熱帯熱マラリアは36~48時間ごともしくは不規則、四日熱マラリアは72時間ごと、三日熱と卵型マラリアは48時間ごと、サルマラリアは24時間ごとに反復するとされています。
マラリアは、重症化すると脳症、低血糖、腎障害、肝障害、重症貧血などの合併症を引き起こすことがあり、中でも熱帯熱マラリアは重症化しやすく、発症後24時間以内に治療しないと死に至ることもあります。
かつては薬草で治療されていましたが現在はマラリアの治療薬があり、早期に発見し投薬することで治すことができます。
しかし、1番大切なのは予防することです。
マラリアには予防薬もあるので、熱帯や亜熱帯地域に渡航する場合は予防薬を前もって処方してもらうとよいでしょう。
ただし、予防薬を飲んでいれば絶対に罹らないというわけではないので、蚊の活動時間(夕暮れから夜明けまで)の外出を避けたり、服や虫除けスプレーで皮膚を守ったり、部屋に蚊が入ってこないよう窓の開け閉めを少なくしたりして、蚊に刺されないようにすることが重要です。
<平清盛や光源氏もマラリアにかかっていた?>
人間とマラリアとの戦いの歴史は長く、有史以前から現在に至るまでとされています。
一時期には南極大陸を除いた全ての大陸で感染が広がったこともあり、もちろん日本でも流行したことが歴史上何度もありました。
日本では、奈良時代から平安時代にはすでに存在していたようで、「瘧(おこり)」や「わらわやみ」などと呼ばれていました。
757年に施行された「養老律令」には「瘧」の治療のために薬草を備えておく規定があります。
平安時代に書かれた「源氏物語」では、主人公の光源氏が若い頃に「わらわやみ」に罹って治療のために山寺に籠ったという一節があることから、当時マラリアに罹る人がいたことを示しています。
また、平清盛の死因は比叡山の冷水で体を冷やしてもたちまちお湯になるほどの高熱が出る熱病であったと平家物語に記されており、この病気がマラリアだったのではないかと考えられています。
明治から昭和初期にかけては日本全国でマラリアの感染流行が見られました。
明治期には、北海道で流行して多くの開拓者が命を落とし、本州では滋賀県や福井県、石川県、愛知県、富山県で流行しています。
大正時代には福井県で毎年9,000~22,000人以上の感染者があったという記録が残っています。
第二次世界大戦時は、南方のジャングルに長期滞在した兵士が多数感染して亡くなっており、沖縄本島から八重山島に疎開した人口の半分の17,000人が感染し、そのうち3,000人が亡くなりました。
戦後、南方などから帰国した兵士たちがマラリアを持ち帰ったことから日本全国で流行しましたが、殺虫剤DDTと治療薬の投与、環境整備や国民の栄養状態が良くなったことなどから、1950年代からマラリア患者は激減していき、1962年(昭和37年)には根絶されました。
現在も日本での国内感染は報告されていませんが、感染が多い地域に渡航した人が感染する例が毎年約50~70人出ています。
▪まとめ
マラリアは日本でも昔から何度も流行しましたが、治療薬や予防薬の登場で根絶されました。
しかし、海外の流行地域に渡航した人が感染する例は後を絶たず、また近年の地球規模の温暖化で感染地域が日本にも広がる恐れがあるともいわれています。
みなさんも、世界マラリアデーにはマラリアについての正しい知識と予防法を身に付け、今もマラリアによって苦しんでいる人たちの為に何ができるかを考えてみてはいかがでしょうか。
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