▪はじめに
高齢者が多くなってきた日本で、介護は必要不可欠なものです。
介護施設や訪問介護などの介護サービスが受けられる機会は増えてきているものの、日本の介護はまだまだ発展途上であるといわれています。
そこで今回は、多くの人に介護について知って貰うための記念日や介護職の種類などについて紹介していきましょう。
目 次
介護の日とは
介護の日は、毎年11月11日にあります。
この記念日は、介護についての理解を深めるために厚生労働省が2008年(平成20年)に制定したもので、同年7月27日に行われた「福祉人材フォーラム」にて厚生労働大臣から発表されました。
元々は、「がんばらない介護生活を考える会」によって2005年(平成17年)に制定されたもので、同会の発足日に由来した9月25日が記念日でした。
▪意味
介護の日は、利用者・家族・介護従事者・地域など様々な視点で介護の交流を発展させるために制定されたものです。
介護の日には、介護に携わる方だけでなく、一般の人にも介護に関する知識や理解、認識を深めてもらうという目的があり、毎年この日には、日本各地で介護についての理解や認識を深めてもらうためのイベントが行われています。
▪由来
介護の日が11月11日なのは、介護の日の「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」というキャッチコピーの「いい(11)日、いい(11)日」という語呂合わせが由来となっています。
また、介護の日を制定するにあたり、日にちと名称を公募した結果、最も支持の多かった日にちであったことも由来の1つです。
▪イベント
毎年介護の日である11月11日前後には、日本各地でイベントが行われています。
愛知県名古屋市では、「NAGOYA介護の日フェア」がHisaya-odori Park(ヒサヤオードリーパーク)にて開催されます。
このイベントでは、「あおいけあ」の代表である加藤忠相氏によるトークライブや日本福祉大学中央福祉専門学校の学生さんによる手話コーラス、陽だまりの家園児による演奏会、名古屋市が配布している働く介護職員を集めた「ケアワーカー名鑑2023」に掲載された人の中からgoodで賞!に選ばれた人の授賞式などが行われます。
また、「生き甲斐支援ブース」や「ケアワーカーのたまご×体験型ブース」「キッチンカー大集合」などのイベントも行われます。
このほかにも、各自治体で介護の日のイベントが開催されますので、ぜひ足を運んでみてください。
日本介護福祉士会HP介護の日 https://www.jaccw.or.jp/projects/kaigonohi
介護の雑学
<介護にはどんな職種があるの?>
現在、介護に携わる職種は次のようなものがあります。
・介護士(ケアワーカー)
介護士とは、一般的に最も知られている介護の職種で、介護の現場で働く人の総称にもなっています。
特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどの介護施設が主な勤務先で、主な仕事内容は、身体介護(食事や入浴、排泄などの介助)や生活援助(掃除や洗濯などの身の回りのお世話)、レクリエーション、生活リハビリなどです。
利用者の身体に直接触れる身体介護は、介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修・介護福祉士の資格が必要で、資格を持っていない人は、移動の補助や食事・服薬の見守りや生活援助など仕事を行います。
・ホームヘルパー(訪問介護員)
ホームヘルパーとは、利用者の自宅を訪れて介護にあたる介護士です。
主な仕事内容は、掃除・洗濯・料理などの家事のサポートや買い物・通院などの付き添いなどで、資格を持っている場合は、排泄や入浴の介助も行います。
しかし、全てをやってしまうのではなく、利用者の要介護度が上がらないように自立支援を行うのがホームヘルパーの役割です。
・ケアマネジャー(介護支援職員)
ケアマネジャーとは、利用者個人の状況に応じた介護サービスが受けられるようにケアプランを作成する職種です。
利用者と家族、介護従事者、医療従事者との連絡調整やケアプランの実施状況、ケアプランの見直しなどデスクワークが中心となります。
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員の資格が必要です。
・サービス提供責任者
サービス提供責任者とは、訪問介護サービスの責任者です。
主な仕事内容は、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいた訪問介護計画書の作成とホームヘルパーの業務管理で、訪問介護事業所には必ず1人配置する必要があります。
サービス提供責任者になるには、介護福祉士・介護福祉士実務者研修終了者・視程障害福祉サービスのサービス提供責任者のいずれかの条件を満たす必要があります。
・生活相談員
生活支援相談員とは、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームのような高齢者福祉施設と利用者の間に立ち、利用者やその家族からの相談対応、関係機関への連絡・調整、各種手続きなどを行う職種です。
生活支援員になるには、社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格のいずれかが必要で、条件は自治体ごとに異なります。
・施設長
施設長とは、介護施設を総括する責任者です。
主な仕事内容は、利用者の管理・介護職員のマネジメント・サービスの品質管理・施設の運営管理・収支管理・行政に向けた書類の作成と提出などです。
施設長は、本部に所属する社員や施設の職員から選出される場合が多いです。
・ドライバー
通所介護施設の利用者を送迎する運転手で、介護ドライバーとも呼ばれています。
普通自動車免許の取得者だったら誰でもなれますが、乗降の介助をする場合は介護福祉士などの身体介助ができる資格が必要となります。
その他にも、介護事務や受付、管理栄養士や調理スタッフ、レクリエーション介護士、福祉用具相談員、清掃員、リネンスタッフ、看護師、理学療法士など様々な職種の人たちが介護を支えています。
<日本の介護はどう変わってきた?>
日本では、高齢者の介護は家族が行うことを基本としていました。
奈良時代に施行された「養老律令」という法律の中でも、原則的には家族の中から介護をするものを必ず1人充てることと定めていて、介護者は男性と決まっていました。
しかし、他の人の助けを借りてはいけなかったかというとそうではなく、貴族などは使用人を、平民は一緒に暮らしている近親者や同じコミュニティーの人たちと助け合って介護をしていました。
その後、平安時代後期以降は農業が発展していくとともに、家族だけで生活をする家庭が増えていき、高齢者の介護は一家の主の責任となり、妻が夫の補助を行うという形になりました。
ですから、高齢者を家族が支えきれなくなった場合に「姥捨て山」のような高齢者を見放すことも実際にあったと考えられています。
しかし、江戸時代の武士は介護休暇を取ることができ、裕福な武士や商人は介護を手伝う使用人もいました。
また、裕福な家で雇われていた使用人は主が生涯面倒を見ることとなっていたため、主の責任のもと見取りまでしていたそうで、合理的な介護が行われていたそうです。
明治時代以降は、社会の西洋化と発展と共に、中流家庭では専業主婦が増えていき、介護は主婦がするものになっていきました。
この時代に根付いた慣習がその後もずっと続き、最近まで介護は家族、とくに主婦がするものとされてきたのです。
介護が職業として誕生したのは第二次世界大戦後です。
介護士の先駆けとなったのは、1956年に誕生した「家庭養護婦派遣制度」という訪問介護を行う女性の職業でした。
長野県から始まったこの制度は、高齢者の介護を行うという面と戦争で男性家族を失った女性の働き口として作られた面があり、高齢者や生活困窮者などの弱い立場の人を助ける慈善的なものでした。
1960年代に入ると、日本は戦争からの復興も落ち着き、経済的にも成長し始め、それまであまり注目されていなかった福祉や医療に政治的な目が向けられるようになりました。
これにより、1963年に「老人福祉法」が制定され、介護は慈善的なものから国の事業として行われるようになったのです。
その後、老人医療に特化した病院や老人ホームが次々と建設され、介護士やホームヘルパーなど男女問わず介護や福祉に特化した職業も誕生しました。
現在は、介護は家族だけが抱えるものではない社会になってきましたが、いまだ古い考え方が抜けなかったり施設や介護に携わる人員が不足していたりして、まだまだ家族の負担が重い事例が少なくないという現状にあり、国の課題として発展を続けています。
▪まとめ
日本の介護は、多くの介護職に携わる人たちのおかげで家族の負担が減ってきました。
それでもまだ、十分なサービスが受けられず、介護のために職を失ったり高齢者が高齢者を介護する老老介護が少なくなかったりと、家族に大きな負担がかかっている家庭も少なくない状況にもあります。
こういった負担が少しでも軽減されるよう、介護の日には介護のことをよく知り、何ができるかを考えてみてはいかがでしょうか。
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