「11月23日 手袋の日」
■はじめに
駆け寄って来る彼女の白い息と、淡いピンクの手袋をよく憶えています。
「その手袋、かわいいね」
「これは手袋じゃなくて、ミトンって言うのよ。○○クンはそんなことも知らないの?」
「ふ~ん、なんだかモソモソしてて、あったかそうだね」
ミトンの毛糸越しだったけれど、彼女の手を初めて握った中学1年の12月24日。
今でも、女の子のピンクのミトンを見かけるたびに、その日のことを思い出します。
目 次
手袋の日とは
日本の手袋の90%を生産する香川県東かがわ市にある日本手袋工業組合が1981(昭和56)年に、11月23日を「手袋の日」に制定しました。
寒くなる季節に向けてというのはわかりますが、「勤労感謝の日に合わせて」としている意味はさっぱりです。
また10月29日はもうひとつの「てぶくろの日」で、こちらは福岡県久留米市の作業用手袋メーカーが制定した記念日です。
こっちのほうが勤労感謝にふさわしいと思いますね。
■手袋の日の意味と由来
なぜ香川県が手袋の産地として名を成したか、これにはちょっとした物語があります。
時は明治時代の1888年、東かがわに住む2人が大阪へ駆け落ちし、メリヤス手袋の製造を始めたことが発端です。
事業は思いのほか順調で、後を継いだ従兄弟がさらに事業を発展させましたが、このころは故郷の東かがわの地場産業である製糖、製塩業は安い輸入品に押され衰退一方となっていました。
こうした惨状を目の当たりにした従兄弟氏が、手袋製造技術を東かがわに持ち帰ったことで町は息を吹き返すことになります。
それから130年、戦争の特需や戦後復興、経済成長といった時流に乗って、いつの間にか日本一の手袋生産地となりました。
じゃあ、ほかの生産地はどうだったんだというツッコミも入りますが、この点については「歴史の中で淘汰され…」としかわかりません。
ひょっとすると「これしかない」「石にかじりついても」というのが強みになったのかもしれませんね。
■手袋の日のイベント
東かがわ市では毎年の「手袋の日」に、市内の手袋メーカーが破格な値段で手袋やバッグを直売する「手袋&BAG冬まつり」が開催され、美しい手のコンテストや手袋を題材としたアート作品の展示なども企画されています。
手袋の日の雑学
▽スマホ用手袋
ATMやエレベーターのボタンなど、スマホ登場以前のタッチパネルは押す圧力で反応する「感圧式」だったので、手袋をしたままでも困ることはありませんでした。
しかしスマホのディスプレーは「静電気式」なので、体内の静電気を感知させねばならず、また画面も小さいことから手袋をしたままの操作ができなくなりました。
とは言え、困ったままで引き下がらないのが我が日本の技術力。
「導電糸」という電気を通す性質を持つ糸を即座に開発し、この糸で作った手袋ならスマホも難なく使えます。
ただ、指が太くてタッチしづらい点はどうにもなりません。
▽手袋をはめたネコはネズミを捕らない
『A cat in gloves catches no mice.』
「手袋をはめたネコはネズミを捕らない」という英語のことわざで、
「本気でやらなければ何も達成できない、いい加減な態度では結果は出ない」
という意味です。
スペイン語でも同じような意味で、
『Gato con guantes no caza ratones.』
と言うそうです。
■最後に
筆者は脚が不自由なので右手にステッキを持ち、左手で手すりをつかむことが多々あります。
周りからは転んで手をついた時のために手袋をするように言われますが、ステッキや手すりを持つ手がすべりそうな気がして、真冬でも手袋とは無縁で過ごしています。
すべりそうな気がするのは皮膚感覚が妨げられるためですね。
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