5月になると、街の空に鯉のぼりが泳いでいるのが見えますね。
親子の鯉のぼりを見ると微笑ましい気持ちになります。
そもそもこの鯉のぼり、なぜ端午の節句に飾るのか、ご存知でしょうか?
本日はこの「鯉のぼり」についてご案内します。
目 次
鯉のぼりとは
紙・布・不織布等に鯉の絵柄をかいたものを家庭の庭先にたてた柱にかけ、風にはらませてなびかせる吹き流しのこと。
皐幟(さつきのぼり)、鯉の吹き流しとも言いい、夏の季語でもあります。
江戸時代に始まった端午の節句に男児の成長と健康を祈願して飾られるものです。
鯉のぼりはの出す時期、しまう時期
鯉のぼりを出す時期は、春のお彼岸(春分の日)が明けてから4月中旬頃にだすのが一般的のようです。
4月の29日までには出しておくのがよいでしょうね。
鯉のぼりをしまう時期は、5月5日(端午の節句)が終われば、早目にしまうのがいいでしょう。
鯉のぼりの誕生
鯉のぼりは裕福な庶民の家庭で江戸時代中期に始まった習慣でした。
当初は鯉の柄ではなく、シンプルな吹き流しを流していました。
端午の節句は厄払いとして菖蒲の花を用いることから、「菖蒲の節句」と呼ばれ武家では「菖蒲」を「尚武」とかけて、男子の立身出世・武運長久を祈る意味合いの強い年中行事となりました。
またこの頃、商人は、経済力はありながら、社会的には低く見られていました。
こういった背景もあり、武士に対抗して豪華な武具の模造品を飾り、派手な吹き流しを美々しく飾るようになりました。
そのうちに吹き流しを飾るだけでは物足りなくなり、一部の家庭で「竜門」の故事にちなんで吹き流しに鯉の絵をかくようになったのです。
これが発展して現在の魚型の鯉のぼりとなりました。
なぜ鯉の絵を書くの?
中国に「竜門」という故事があります。
これは黄河の急流にある「竜門」と呼ばれる滝をのぼろうと多くの魚が挑戦したところ、鯉のみがのぼりきり、龍になる事ができた、というものです。
この故事にちなんで「鯉の滝登り」が立身出世の象徴となり、鯉の吹き流しを男児の節句に飾るようになったのです。
鯉のぼりのデザイン
昔は原則として真鯉(黒い鯉)のみというデザインが主流でしたが、明治時代頃から真鯉と緋鯉(赤い鯉)の対であげるようになりました。
昭和時代からは鯉を家族に見立て、小鯉(青い鯉)を添えた物が主流になり、現在では緑やオレンジといったより華やかな色の鯉も普及しており、女児も含め、家族の人数分の鯉をあげる家庭も増えています。
一部の地域では、「黒と青」の鯉の組み合わせにこだわる地域や、真鯛に赤い裸の男の子がしがみついている柄の鯉などもあります。
この赤い裸の男の子は金太郎であり、金太郎が自分よりも大きな鯉を捕まえた伝説をもとにしているとみられています。
さおの先にカゴ玉、回転玉をつけ、その下に矢車、五色もしくは鯉を書いた吹き流しを一番上に、以下真鯛、緋鯉などを大きさの順に並べてあげるのが一般的とされています。
鯉のぼりの由来をご案内しました。
最近は少子化や、マンションなどの集合住宅に居住する人が増えた事によって、以前ほど鯉のぼりを見かける事は少なくなってしまいましたが、雄々しく華やかな鯉のぼりの風習は、いつまでも大切にしていきたいものですね。
五節句については
節句にまつわる事項