トーカチという行事は本土では聞きなれないと思いますが、沖縄では毎年行われる米寿のお祝いなのだそうです。
どのような由来があり、どのような事が行われるのか紹介します。
目 次
トーカチ2023年の日にちは?
米寿の88歳にあやかり、旧暦の8月8日にお祝いをします。
新暦になってからは、毎年日にちが変わるのですが、2023年は9月22日(金)となります。
ちなみに満87歳、数え年88歳が対象です。
トーカチの意味や由来は?
トーカチとは、沖縄で行われる88歳(米寿)のお祝いのことで、17世紀頃に薩摩から伝わったとされています。
そもそもトーカチとは、米の升を切る斗掻(とかき)の方便で、枡で米などを量るときに、盛った部分を枡の縁の高さで平らにならすのに使う竹製の棒のことを指します。
当日にお祝いに訪れた人たちへこのトーカチを1本ずつ配っていたことから、「トーカチ」という行事になったと言われています。
また、八十八という字を組み合わせると「米」という字になることから、米を計る時に使う斗掻に因んでいるという説もあります。
トーカチの日に行われる行事
トーカチの当日に準備するものや、行われる行事を紹介します。
[準備するもの]
・お米、斗掻
床の間近くに、枡や大きなザルにお米を盛ったものに赤い紙を貼った斗掻をさしたものを飾ります。
盛ったお米は一升枡で8回、5合枡で1回、一合枡で3回量り新米で八升八合とされることが多く、3つの枡にもお米を入れて重ね、上から「祝・米・寿」と書かれた赤い紙で飾るものもあるのだとか。
ちなみに、八升八合のお米は、これまでの長生き分とされ長寿への感謝のお礼を、一升五合一合枡のお米は、これから更に長生きして欲しいという願いを意味しているそうです。
斗掻については、竹を斜めに切ったものに主役の名前、生年月日、お祝いの吉日を書き、盛ったお米の上に扇と一緒に飾ることもあります。
・衣装
米寿の主役の衣装があります。
米繋がりで稲穂のイメージの黄色を基調とした紅型(びんがた)衣装を羽織り中央に座ります。
ちなみに紅型とは沖縄の代表的かつ伝統的な染色技法の一つで、起源は13世紀頃とされています。
多彩な模様で一枚の型紙を使って染め分けられ、琉球王国の時代には主に王族や士族の衣装として染められていたそうです。
・お供え
縁起物として、削り鰹節・塩・結び昆布をお供えします。
近年では、「あやかり昆布」と書かれたのし袋を用意し、配りやすい形にしていることも多いようです。
・食事
トーカチのお祝いでは、盛大に振る舞われた御馳走をみんなで頂くことも習わしです。
赤飯、中身汁(モツを使ったお吸い物)、天ぷら、まちかじと呼ばれる琉球菓子等、おめでたい席で用意される料理が並びます。
まちかじとは松風の方言読みで、小麦粉に砂糖や食紅等を加えて平たくのばし、胡麻を散らした甘いお煎餅のような焼き菓子で一般的にはお店で購入することが多いそうです。
他にも、サーターアンダギーや紅白饅頭等が振る舞われたりもします。
[行事]
・長寿をあやかる儀式
先述したお供えものを、主役から集まったお客さん一人一人の手の平にのせてもらい、長寿をあやかる儀式が行われます。
その際には「これからも、長生きしてくださいね」と声をかけたり握手をしたりします。
・模擬葬儀
地域によってになるのですが、トーカチの前日から当日の夜中にかけて模擬葬式が行われます。
主役に死装束を着せたり、布団の上に寝かせて顔にも白い布をかけたりといった準備をしたら、家族らが泣く真似をするところからのスタートです。
そして日付が変わったら三線や太鼓が鳴り響き、主役は飛び起きて親族と共にカチャーシーを踊りお祝いをします。
あまり長生きすると、子孫が魂を抜かれて長生きできず、繁栄できないと言われていることから、この儀式によって生まれ変わり、新しく誕生するという意味が込められています。
沖縄でも地域によって多少違いはあるようですが、多いときには100人以上もの人が集まるのだとか。
長寿に対する感謝や祝福の気持ちをとても大切にする印象を受けました。
お祝いする側も普段会えない親戚に会えることもあり楽しみだと思いますし、何よりも88才になるおじいちゃん、おばあちゃんは思い出深い一日になることでしょう。
こういった節目となる行事を、これからも大切にしていきたいですね。