「11月27日 更生保護記念日」
■はじめに
刑罰は犯した罪に対する当然の報いとする「応報刑」と、犯罪者の更生を目指すためのものと考える「目的刑」の2通りの考え方があり、日本は目的刑主義を採用しています。
しかし、死刑はこの考えを逸脱するもので、最近では「遺族感情」が盛んに言われることと合わせ、「応報刑」「目的刑」の併合主義と言われているようです。
目 次
更生保護記念日とは
1952(昭和27)年11月27日、それまでの「司法保護記念日」と「少年保護記念日(少年保護デー)」が統合されて、新たに「更生保護記念日」が誕生し、東京・日比谷で更生保護大会が開催されました。
■更生保護記念日の意味と由来
「少年保護記念日(少年保護デー)」とは、法を犯した未成年者に対する行政の保護処分を定めた旧少年法が制定された1922(大正11)年4月17日を記念したものです。
旧少年法は、戦後、GHQの下で全面改正され、成人同様の刑事処分ではなく、家庭裁判所による保護更生処置を原則とすることとなりました。
もう一方の「司法保護記念日」は、明治天皇崩御の大量恩赦によって、社会に出て来た人たちの更生を目的とした9月13日の「保護デー」を改称したものです。
どちらも保護更生という点で共通することから統合させて「更生保護記念日」となりました。
(当サイト9月13日「司法保護記念日」参照)
■更生保護記念日のイベント
この日を記念するイベントはありません。
更生保護記念日の雑学
▽「特定少年」現る!
2021年、国会に提出された少年法改正案の中に「特定少年」という新しい言葉が登場しました。
この法案は、成人年齢が18歳に引き下げられても、18歳と19歳は「特定少年」として、引き続き少年法の保護対象とするものです。
従って今までと同様に、事件を起こした場合は家庭裁判所へすべて送致されますが、ただし家裁から検察への逆送致の対象が拡大されることも法案に盛り込まれています。
加えて、起訴された場合の実名報道も可能にするとしています。
「特定少年」とは何やら民法と折り合いをつけるために、便宜上作られた年齢ゾーンのような気がします。
成人なのか少年なのかハッキリさせないと、あれは成人だから、これは少年だからと、自分中で気持ちをうまく立ち回らせるクセがつかないとも限りません。
もちろん、少年には刑罰を与えるより立ち直りを重視することは大切ですが、国家が成人であるとお墨付きを与えた18歳19歳を、犯罪に関しては少年とする考え方は釈然としません。
▽保護観察
「更生保護」とは罪をつぐない、社会人として生活するためには、本人の強い意志、行政の手助け、地域の理解と協力が不可欠とされています。
更生保護手段のひとつに「保護観察」があります。
「保護観察」の対象は、
・家裁で保護観察とされた少年を20歳まで、あるいは2年間
・少年院から仮退院した少年を原則として20歳になるまで
・刑事施設から仮釈放された人の残り刑期の間
・裁判所で刑の全部、あるいは一部執行を猶予され保護観察とされた人の猶予期間
・婦人補導院から仮退院した人の残り補導期間
で、この間は保護観察官、保護司が協力しながら指導、監督、援護などに当たります。
▽保護司制度
保護司とは法務大臣からの委嘱を受け、保護観察対象者の仕事や住居の相談に乗り、助言をするなど、更生の手助けを担っている非常勤の国家公務員ですが、実費の支給だけのボランティア活動です。
それでいて保護司会費として年1万円の納付義務があり、法務省の誇る「世界に冠たる保護司制度」はこうした善意に甘えているのが実情です。
そうしたこともあって、保護司の数は年々減少しており、2021年現在では全国に4万6358人で、平均年齢が65歳と高齢化しています。
保護司の増員は喫緊の課題ですが、だれでもいいわけでもなく、地域の事情に精通し、法律や福祉の知識もある程度必要で、自分に時間的、経済的な余裕がなくては務まりません。
対象者との面談場所の整備、金銭面の援助など、保護司制度の抜本的な見直しが求められています。
■最後に
以前、「司法保護記念日」の記念切手が発行されたことがあり、額面は2円なので、ずいぶん昔のことですが、図柄は「スズランと女性の手」が採用されています。
スズランの花言葉は「幸福の再来」です。
しっかり更生して、幸せになってほしいという「司法保護」の精神を表していますね。
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