中元節とはあまり聞いたことがない方もいらっしゃると思いますが、中国では大切にされている日とされて、中華圏の年中行事ともされている「三元」のうちの一つともされています。
この中元節では年中行事ともご紹介したように、毎年のようにある恒例行事の一つなのですが、中華圏では祝日の日は新暦で固定されていないため、毎年行う日が違うとされています。
そのため、日本でも中国の歴史や風習・習慣を詳しく知っている人や中華圏の人しか中元節に詳しい人が少ないため、ぜひ皆さんのご参考になるように「中元節」についてご紹介したいと思います。
目 次
中元節とは?2023年はいつ
中華圏では先ほどもご紹介したように、毎年祝日は違う場合があります。
これは日本の現在採用している新暦、グレゴリオ暦より、中華圏は太陰太陽暦である旧暦を重んじていることからなっているものであり、中華圏では主に、旧暦によって祝日が決められています。
中元節は旧暦7月15日になりますので、2023年は8月30日となります。
実際にどのような祝日なのかというと、日本で言う「お盆」に当たる時期となっています。
中華圏ではこの中元節以外にも「清明節」といったように、お盆のような風習が多く存在するのですが、清明節では「御先祖様のお墓参りをする日」、中元節では「霊魂を鎮める日」と覚えて頂けたらと思います。
さらに日本でも夏のお盆の時期になったら贈られてくることが多い「お中元」の起源ともされており、日本と同様に、中華圏でもお世話になった上司や友人、家族に贈り物を送る習慣があるとされています。
中元節の由来
中華圏での中元節について簡単にはご紹介しましたが、中元節は中華圏の「三元」の一つです。
この三元とは「旧暦1月15日の上元節」「旧暦7月15日の中元節」「旧暦10月15日の下元節」と分かれ、この上元節、中元節、下元節はそれぞれ神様の誕生祭とされています。
上元節では「天官大帝」、中元節では「地官大帝」、下元節では「水官大帝」の神様を祀ってお祝いしています。
ご紹介している中元節の神様「地官大帝」は名前からも想像つく方もいるかもしれませんが、「冥界の帝」ともされており、この地官大帝の誕生日が近いことから旧暦の7月は地獄の門が開くとされ、中元節の旧暦7月15日がピークとされています。
この地獄の門が開いている間は様々な霊、悪霊までも現世に舞い戻ってくることからその悪霊たちを鎮めて送り返す灯籠流しを行う地域も今もなお多く残っているとされています。
このような地獄の門が開いて死者の魂や悪霊がさまよう月でもある事から、旧暦の7月は「鬼月」とも呼ばれています。
さらに、中元節に誕生したとされる「地官大帝」は「冥界の帝」という名前で呼ばれていると共に、「赦罪大帝」とも呼ばれています。
そのため、皆さんのご存知のお中元は贈り物をすることによって懺悔や謝罪といった意味が含まれているとされています。
中元節の風習
中元節では先ほどもからもご紹介しているように、「お中元」を贈るといった風習が一番有名ですが、この中元節の時には先ほどご紹介した「鬼月」にも当たる事からやってはいけないタブーなどの風習が存在します。
それはおめでたいとされる「結婚」や「入籍」、引っ越しなどを行うことはタブーとされ、引っ越しだけでなく旅行もあまり好ましくないともされています。
この他にも「お金が路上に落ちている場合には拾わない」「玄関先に靴などをそのままにしない」や「洗濯物などは悪霊が付くことから夜には干さない」といった日常生活でのタブーも多く存在します。
この他にも各地域によっては様々なタブーが存在するとされていますでの、中華圏で知り合いがいる方はぜひ聞いてみて頂けたらと思います。
さらに中華圏の中でも台湾では盛大に行う活動、「鶏籠中元祭」が行われるとされています。
この「鶏籠中元祭」とは聞いたことない方も多いと思いますが、鶏籠中元祭ではこれから1年間無事であるよう大安を祈願するため毎年行われます。
当初は台湾開拓時代の影響も色濃く残って、死者の魂を鎮める民間武術を競い合い、神々に奉げるお祭りとされていました。
しかし最近ではこの鶏籠中元祭にも海外チームが参加する人が多く増え、オランダやフランス、スペインといった伝統武術なども神々に奉げるような海外交流も含まれているお祭りへと進化しています。
さらに、鶏籠中元祭では武術を奉げる以外にも様々なことが行われ、中国のダンスショーや雑技団による技披露や日本を代表した和太鼓集団「野武士」の披露なども存在し、日本人も多くこの台湾の鶏籠中元祭のお祭りに参加している人もいます。
ぜひ、お祭りが好きな人は台湾では鶏籠中元祭という盛大なお祭りが行われていますでの、行く機会がありましたらその風情などを含めて楽しんでいただけたらと思います。
日本とのちがいなど
中元節は日本のお盆のようなものとご紹介しましたが、中国や台湾、香港などの中華圏と、日本では大きな違いがあります。
それは、日本で言うお盆ではご先祖様などの死者が黄泉の国より戻ってくるので先祖様をお迎えする日と知れ渡っていますが、中華圏ではさらに大きく、地獄の門が開くことにより、ご先祖だけでなく、多くの死者の霊、悪霊が入ってくるともされています。
そのため、お中元を贈る文化は一緒なのですが、中華圏ではお祭りの際に無病息災、家内安全などを祈る人も多く、この中元節を重んじる人が多いです。
さらに、日本と中華圏で大きな違いとされているのが、日本ではお盆と言えば、盆祭りやお墓参りなどをするだけだと思いますが、中華圏では悪霊や死者の魂達に奉げる供養、供物を一般家庭や、会社、お店を持っている人ならお店に飾ってお供えをして霊魂を鎮めるともされています。
さらに、これだけではなく、霊魂たちが迷子にならないように、線香と共に提灯などを飾る所も多く、中華圏では中元節になると幻想的な雰囲気に包まれることが多いです。
それだけでなく、中華圏の大きな文化でもある会社やお店、一般家庭でも一部地域では爆竹を鳴らすところが存在します。
これは魔除けの効果があるとされ、中華圏のお正月などにも行われ、伝統ある風習、習慣の一つともされています。
ちなみに、日本にもお中元という文化がありますが、関東と関西ではお盆の時期が違う場合があります。
関東では7月15日が標準のお盆の日と思っている方が多いと思いますが、関西では地域によってはお盆は8月15日であるところもあります。
そのため、お盆までにお中元を贈りたい場合には7月15日に入るまでに贈るのが一番いいとされています。
「まとめ」
中華圏においての中元節についてご紹介しましたが、少しでも参考になりましたでしょうか?
日本で言うお盆とは全く違った側面を表し、日本のお盆ともなった文化でもありますので、ぜひ皆さんもこの中元節が行われる際には中国の文化を体感していただけたらと思います。
特に、台湾ではご紹介したように、鶏籠中元祭が行われています。
鶏籠中元祭は台湾の中でも上位を争うほどの盛大なお祭りとなっていますので、お祭り好きな方にはぜひお勧めの行事・イベントとなっています。
ぜひ皆さんも日本の文化だけでなく、中華圏の文化も楽しんでいただけたらと思います。