今回ご紹介する雑節は半夏生です。
半夏生・・・普通に暮らしていると馴染みの無い言葉なのですが、これは実のところ農業においてはかなり重要な節目になる日でした。
目 次
半夏生2023年はいつ
夏至から数えて11日目とされており、だいたい7月2日頃でしたが、現在は黄経100˚点を太陽が通過する日が半夏生となっています。
2023年は7月2日となります。
半夏生(はんげしょう)とは?意味や由来は
半夏生(はんげしょう)とは、雑節(ざっせつ)の1つです。
半夏至と調べる方も多いようですが、半夏生です。
言葉の意味としては、半夏(烏柄杓=カラスビシャク)という薬草が生える頃という、わりとそのまんまの由来です。
半夏雨(はんげあめ)という言葉もありますが、これは字からも想像できる通りこの時期に降る雨を指し、地域によっては半夏水(はんげみず)とも言うそうです。
また、半夏雨は大雨になることも多いので気をつけましょう。
半夏生の行事
半夏生が農家にとって大事な日になり、「畑仕事を終える」「田植えを終える」ことの目安としていたようで、この日から5日間を休みにする地方もあるそうです。
この日には空から毒気が降るため前の晩から井戸や泉に蓋をして備えたということです。
また、地面も陰毒を含んで毒草が生えるといった言い伝えがあり、この時季に筍やワラビを食べること、種を撒くこと、この日に収穫した野菜を食べることを避けていたようです。
そのため、この日までに田植えを済ませ、気候が不順であっても半夏生以降は田植えをしないという習慣がありました。
半夏生の食べ物
半夏生に食べる行事食というのはどんなものがあるのでしょうか。
これは調べてみると、地方によっていろいろ出てきました。
近畿地方の一部地域ではタコを食べるそうです。
これには「稲の根が蛸の足のように四方八方にしっかりと根付くように」というような願いが込められていたということです。
また、香川の農村ではうどんを食べる習慣があるそうです。
香川でうどんを食べることが行事食といえるのかどうかかなりあやしいのですが、麦の刈り入れや田植えが終わる半夏生の頃、その年に収穫された麦を使ってうどんを打ち、作業を手伝ってくれた人に振る舞って労をねぎらったという説に由来しているのだそうです。
実際に、香川県製麺事業協同組合が7月2日をわざわざ「うどんの日」に制定しているほどですので、おそらく古くから伝わる風習だったのでしょう。
福井県大野市では、江戸時代に当時の藩主が農民に焼きサバを振る舞ったというエピソードがあり、現在も大野市周辺では半夏生に焼きサバを食べるそうです。
長野県小川村では芋汁を食べるそうです。
地方によって食べるものが全く違いますが、大野市のように特異なエピソードに由来する例もあれば、地方によって半夏生の時期に手に入る食材が違うということもあったのかもしれませんね。
半夏生という植物
「半夏生」「半化粧(はんげしょう)」 「片白草(かたしろぐさ)」という花があり、半夏生の時期に咲く花からこの名前があるそうです。
水辺に咲くドクダミ科の花で、白い可愛らしい花が咲きます。
そういえば彼岸花も、彼岸の時期に咲く花から名前が付けられていましたので、雑節と植物は深いつながりがあるようですね。
今回は雑節の1つ半夏生の紹介でした。
雑節の1つであり、やはり農作業に従事していない人には関わりのない事柄ではありましたが、こうして昔の人の苦労を忍びつつ鯖味噌なんかを食べるのもいいと思います。
他の雑節についてはこちらから