「2月11日 文化勲章制定記念日」
■はじめに
その昔、文化勲章や叙勲のころになると、晩酌で酔いの回った大工の祖父が「あんなものは戦争で負けて勲章がやたらに余ったから、ご機嫌取りにばら撒いてるだけだ」と息巻いていました。
もちろん、勲章と褒章の区別がつかない祖父のたわ言でしたが、当時国民栄誉賞があったなら、祖父のたわ言にも余計力がこもっていたことでしょう。
目 次
文化勲章制定記念日とは
文化勲章は科学技術や芸術など、文化の発展に寄与した人に贈られるもので、原則としてそれ以前に文化功労者として表彰された人の中から選ばれることになっています。
■文化勲章制定記念日の意味と由来
「文化勲章制定記念日」が2月11日なのは、1937(昭和12)年のこの日に「文化勲章令」が制定されたためで、天皇から授与されるのは11月3日の文化の日です。
受賞者の選定は、文化審議会の中の文化功労者選考分科会委員の答申を受けて、文部科学大臣が推薦し、内閣賞勲局の審査を経て閣議決定によって決定となります。
1937年から2021年までの受賞者は427人で、男性402人、女性25人で、うち6人はアメリカ人が受賞しています。
■文化勲章制定記念日のイベント
この日にはイベントの開催はありません。
文化勲章制定記念日の雑学
▽橘の図案は天皇が提案
文化勲章はオリンピックのメダルと同様に意匠が決められていて、メダル部分に相当する「章」の表面は橘の五弁の花の中心に三つ巴の曲玉、紐は橘の葉と実を濃淡の緑で表しています。
当初の図案では桜花だったそうですが、昭和天皇の提案で橘に変更されました。
後になってこの変更案の理由を尋ねられた天皇は「橘は常緑樹であるし、文化というのは生命が長くなければならないと考えた」と語っています。
▽文化勲章に褒賞金はない
なぜ、文化功労者に選ばれていなければ文化勲章の受賞資格がないかというと、文化功労者には終身年金として年額350万円が支給されますが、文化勲章は憲法第14条3項に「栄誉、勲章その他の栄典の授与はいかなる特権も伴わない」と規定されていることから褒賞金の支出はできません。
文化功労者に年金が支給されるようになったのは、褒賞金なしでは貢献に報いることができないとして、1951(昭和26)年に文化功労者年金法を制定したからで、
文化勲章受章者が受け取る年金は文化功労者としての褒賞金です。
そのため、文化勲章受章者は文化功労者でなければなりません。
例外的に文化功労者ではない人が文化勲章に選ばれることもありますが、この場合は文化勲章授与と同時に功労者にも選ばれることになっています。
それなら文化勲章年金法を制定すればいいと思いますが、勲章はほかにもいろいろあるので今度はそちらに差しさわりが出てしまいますね。
▽功労者の選別基準が見えない
政府が「功労者」を選定するというのは釈然としない思いがあります。
あまりよくないたとえですが、一定額以上の納税者という基準なら明確な線引きができますが「功労」という選定基準はあまりにも曖昧です。
それぞれの分野で秀でた実績の持ち主は多く、選定する以上は実績、貢献度に優劣をつけなくてはなりません。
わかりやすい例を挙げれば、長嶋茂雄氏が2021年に受賞しましたが、王貞治氏はどうなんでしょうか、近いうちには選ばれると思いますが…。
小説家では平成以後、平岩弓枝、河野多恵子、丸谷才一、田辺聖子、瀬戸内寂聴、杉本苑子、阿川弘之、遠藤周作、司馬遼太郎さんらが受賞しています。
もちろん大いに評価されて然るべき人たちではありますが、では、この9人に匹敵する小説家はいないということなのでしょうか。
もともと「功労」の定義は曖昧なもので、多くは主観によって左右もされる評価です。
勲章などの形にしなくても、評価されるべき人は多くの人に称賛されるものです。各分野からの受賞人数の差の激しいことを考えると、結果的に文化の選別になっていると見るのはうがち過ぎでしょうか。
■最後に
スポーツ界から文化勲章に選ばれたのは2008(平成20)年の古橋広之進氏が最初で、これでやっとスポーツも文化として目を向けられたということになります。
そうでなければ、大相撲の大鵬が受賞していてもおかしくはありませんね。
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