桜の花よりも少し早く開花し、真っ白な花をつけるコブシ。
古くから桜と同様に、春を告げる花として知られ、コブシの開花と同時に、種まきや田植えなどの作業を始めたそうです。
一気に純白な花を開花させるコブシは、平家を悲しい結末に導いたとされています。
目 次
コブシとは
日本原産の高木で、北海道から九州北部までの広い地域で自生している花です。
暑さや寒さにも強いため、街路樹などとしても、私たちの生活に根付いています。
コブシは桜の開花よりも少し早い時期の3月から4月にかけて、白い花を咲かせます。
昔から農業を行う人は、コブシの開花を確認すると、田植えや種まきを始めたそうです。
白い花にはレモンのようなさわやかな香りがあり、花びらを砂糖に漬けたり、花びらを使った花茶としても利用されます。
9月から10月ごろには、オレンジや赤のボコボコした塊のような実をつけます。
コブシの実も花びら同様香りがあり、果実酒として楽しまれることが多いです。
他にも香水の原料として使われることもあります。
また、コブシは春を告げる花としてだけではなく、薬としても古くから親しまれています。
薬として使われるのはつぼみです。
開花前につぼみを摘み、天日干しなどで乾燥させます
乾燥させた物を辛夷(しんい)と呼び、これらは主に漢方薬に含まれる事が多いです。
頭痛や鎮痛、鼻炎などさまざまな症状に効果があると言われています。
コブシの名前の由来
コブシの名前の由来は諸説あります。
一般的には、花のつぼみの形が、子供のこぶしに似ているためという説があります。
他にも、秋にできるボコボコした果実が、子供のこぶしのように見えたとも言われます。
コブシという名前は和名ですが、西洋名や学名もこのままで、「Kobushi」です。
コブシには別名がたくさんあります。
コブシが咲き始めたら田植えや種まきを始めることから、「タウチザクラ」や「タネマキザクラ」という名前がつけられています。
他の名前は、「ヤマアララギ」、「コブシハジカミ」などです。
また、中国名はコブシを「日本辛夷(にほんしんい)」と表記します。
中国ではコブシだけでなく、同じモクレン属のモクレンのつぼみを乾燥させた物などを総称して、辛夷と呼びます。
コブシは日本で自生している植物なので、「日本辛夷」とつけられました。
コブシが誕生花となる日にち
2月9日、2月23日、3月8日、3月19日、3月24日
コブシの花言葉
「友情」「友愛」「歓迎」「愛らしさ」がコブシの花言葉です。
「友情」「友愛」はコブシの花に由来するとされています。
白く濁りのない花を咲かせることが、真の友情を連想させるそうです。
「歓迎」は花の開花時期に関係があります。
3月の早い時期から開花するコブシは、春を歓迎するや新しいものを歓迎するという意味があるそうです。
「愛らしさ」はコブシの名前の由来でもある、子供のこぶしに由来します。
子供の小さなこぶしの愛らしさからついています。
コブシの色別の花言葉
コブシの花色は白のみなため、色別の花言葉はありません。
コブシの怖い花言葉
「友情」や「歓迎」など、心温まる印象の花言葉がついているコブシには、怖いイメージの花言葉はないようです。
コブシの言い伝え
日本の各地に自生しているコブシには、平家にまつわる物語があります。
壇ノ浦の戦いで源氏に敗れた平家の落人は、熊本や宮崎に逃げ隠れました。
熊本に逃げた落人は、朝目覚めた時に、全方位の山々に源氏の白旗が見えたと言います。
落人は、これ以上戦う事はおろか、逃げ隠れすることさえもできないと悟りました。
そこで落人は自決したとされています。
実は落人がみた、山々の白旗は、春の朝に開花したコブシの花だったのです。
まさか、コブシの花を白旗と勘違いして、自ら命を絶ってしまうなんて、平家の末路は悲しいものだったのですね。
昔から活動の時期を告げるコブシの花は、一気に開花し、白い花で周囲を明るくします。
コブシの白い花に惑わされてしまった平家の悲しい物語がありますが、山々に咲く白いコブシは見事だったことでしょう。
「友愛」や「歓迎」といった、人と人とのつながりをイメージさせ、卒業や入学シーズンにピッタリの花ですね。