釣り鐘型の花がたくさん集まって咲くアセビは古くから毒がある植物として避けられてきました。
また、アセビはギリシャ神話にまつわるある星座が関わっています。
目 次
アセビとは
ツツジ科アセビ属の常緑性の低木で高さは1.5~4mほどで差があり、大きく成長するものもあります。
半日陰でも育ち、比較的暖かい日本の山地ではよく見かけられます。
春先になると枝先につぼ型の花が集まって咲く複合花序です。
花は3~5月頃まで咲き、色は白、ピンク(アケボノアセビ)があります。
晩夏~秋になると薄緑色の丸い実をつけ、やがて実がはじけて枯れていき、実や葉には毒があります。
別名アシビ、アセボとも呼ばれています。
アセビの名前の由来
アセビは漢字で「馬酔木」と書きますが、これはアセビの実や葉に毒があるため、それを食べた馬が酔ったようにフラフラとしていたことからつきました。
「アセビ」という呼び名自体の由来はこの酔った姿が足元がおぼつかず、足がしびれたように見えることから「アシビ」と呼ばれ、それがなまって「アセビ」に変化したのではないかという説があります。
また、地域によっては「ヒガンノキ」と呼ぶところもあり、これはちょうど春のお彼岸の頃に咲くのでそのように呼ばれるようです。
アセビが誕生花となる日にち
3月4日、3月9日、3月15日、4月4日
アセビの花言葉
アセビの花言葉は「犠牲」「献身」「危険」「あなたと二人で旅をしましょう」です。
これらの花言葉はすべてギリシャ神話が由来となっています。
アセビは英名では「ジャパーニーズ・アンドロメダ」と呼ばれており、このアンドロメダこそがギリシャ神話の主人公となっています。
「アンドロメダはエチオピアの王妃カシオペアの娘で大切に育てられていました。
ある時、母のカシオペアがネレイスという神の孫たちよりも美しいと言ってしまい、
神々の怒りをかってしまったのです。
怒った神々はアンドロメダを怪物の生贄にしようと海辺の岩に鎖で縛りつけたのです。
そこを偶然通りかかった勇敢な青年ペルセウスが海の怪物と戦い、彼女を救いました。
そしてのちにペルセウスとアンドロメダは結婚しました。」
最終的にはハッピーエンドなお話ですが、母親の失言から生贄にされかけたことから「犠牲」「危険」という花言葉がつきました。
また、その危険な相手に対し、わが身を顧みず戦ったペルセウスの行動から「献身」という花言葉がついたのではないでしょうか。
そして、「あなたと二人で旅をしましょう」は最後に結婚し、これから人生を共に歩む二人のことを表現しているのかもしれません。
もしかしたら結婚を決めた時にどちらかが言った言葉かもしれないですし、なんだかプロポーズのような素敵な花言葉ですね。
この神話の登場人物の名前はのちに星座になっていますが、私たちが何気なく見ていた星空もこのようなエピソードがあることを知ると、また違った見方が出来そうですね。
アセビの色別の花言葉
アセビの色別の花言葉は特に無いようです。
アセビの怖い花言葉
アセビの怖い花言葉は先程紹介した「犠牲」や「危険」という花言葉が当てはまるのではないでしょうか。
「危険」に関してはもう一つ別の説でアセビには毒があることからきている説もあるようです。
アセビの毒は強いので鹿もそれがわかっているのか、まったく口にしないそうです。
万葉集で詠まれたアセビ
アセビは万葉集の歌の中にもいくつか出てきます。
その中で時代の背景を映し出した歌があります。
「磯の上に 生ふるあしびを 手おらめど 見すべき君が ありと言わなくに」
(海辺に生えているアシビを手で折って弟に見せてあげたい。だけどあの子はもうこの世にはいない)という意味があります。
これは天武天皇の皇女(大来皇女)が686年、弟の大津皇子(おおつのみこ)が謀反の罪で処刑されて亡くなったあとに詠んだ悲しい歌です。
このようにアセビはいつの時代も人々の心に寄り添うように咲いてきた花なのです。