▪はじめに
トイレというものは、私たちの生活になくてはならないものです。
とくに、第二次世界大戦後の水洗トイレの普及によって、トイレは清潔で快適な空間となっていきました。
そして、日本のトイレは現在もさらに快適な空間へと進化し続けています。
そこで今回は、日本のトイレに関する記念日や雑学などについて紹介していきましょう。
目 次
トイレの日とは
トイレの日は、毎年11月10日にあります。
この記念日は、日本トイレ協会によって1986年(昭和61年)に制定されたものです。
日本トイレ協会とは、トイレ文化の創出と快適なトイレ環境の創造、トイレに関する社会的課題の改善に寄与することを目的として、1985年(昭和60年)5月15日に発足した団体です。
日本トイレ協会では、セミナーや講演会の企画・運営、展示館・イベント等への出展、研究会の開催、日本のトイレ文化の世界への発信、トイレに関する書籍の出版などを行っています。
▪意味
トイレの日には、浄化設備の普及拡大や公衆トイレの環境整備の啓蒙という目的があります。
▪由来
トイレの日が11月10日なのは、「いい(11)ト(10)イレ」という語呂合わせが由来となっています。
▪イベント
トイレの日を制定した日本トイレ協会は、毎年11月に「全国トイレシンポジウム」を開催しています。
このイベントは、毎年違うテーマに沿ったパネルディスカッションや講演会、グッドトイレ賞の授賞式などが行われます。
全国トイレシンポジウムご案内
https://www.jma.or.jp/homeshow/tokyo/visitor/symposium.html
トイレの雑学
<トイレのマーク(ピクトグラム)は日本で作られた>
駅や学校、公共施設や会社の中などあらゆる場所のトイレで見られるトイレのピクトグラムは、日本だけでなく世界中で使われています。
このトイレのピクトグラム、実は日本で誕生したものなのです。
トイレのピクトグラムが作られるきっかけとなったのは、1964年(昭和39年)に開催された東京オリンピックでした。
この東京オリンピックは、欧米やアジアなど過去最高の94か国が参加する大会となりました。
しかし、当時はまだ、日本に訪れる外国人はあまり多くなかったため、大会関係者は外国人と上手くコミュケーションが取れるか不安に感じていました。
日本中から通訳をしてくれる人を集めましたが、外国語が話せる人はそう多くはなく、選手や関係者たちのお世話をするだけで手いっぱいだったのです。
そこで注目されたのが、言語を使わずマークだけで施設や場所などを表すピクトグラムでした。
もともとピクトグラムは、1920年に哲学者のオットー・ノイラート氏とイラストレーターのゲルン・アルンツ氏が、統計学で使用する目的で作ったものでした。
大会関係者は、「誰が見ても分かるマーク」としてこのピクトグラムをもとに、当時第一線で活躍していた約30名のデザイナーたちを集めて、トイレや食堂などの施設やオリンピック競技などのピクトグラムを新たに39種類も考案したのです。
なかでも、トイレのピクトグラムは誕生までにかなり話し合いが重ねられたようで、「男性がスカートを履く国もある」という意見から、デザインだけでなく男女で色分けもされたといわれています。
こうして誕生したトイレのピクトグラムは、その後1970年(昭和45年)に開催された大阪万博でも使用され、日本では男子が青、女子が赤でスカートを履いた姿というものが定着しました。
その後、トイレのピクトグラムは多少のデザインの違いはあるものの、世界中で使われるようになったのです。
ちなみに海外では男女で色分けされていないのが一般的ですが、これは色弱者の方は色の違いが見分けづらく、間違えることがあるからだそうです。
<トイレという名前の由来とは?>
日本では、トイレのことを昔は一般的に「お手洗い」や「便所」などと呼んでいました。
現在でもこのように呼んだりもしますが、一般的な呼び方としては「トイレ」が定着しています。
ではなぜ、「トイレ」と呼ぶようになったのでしょうか?
「トイレ」という言葉は、英語の「toilet(トイレット)」の略語です。
英語の「toilet」には、「便器」や「化粧室」という意味があります。
「化粧室」という意味があるのは、「toilet」の語源がフランス語の「「toilette(トワレット)」であるからです。
フランス語の「toilette」には、「化粧」や「身支度」という意味があります。
これは、ラテン語の「布」や「織物」を意味する「tela(テラ)」という言葉に由来しており、フランスではかつて化粧台の上に小さな布を敷いてその上に化粧道具を並べていたことに由来して生まれた言葉でした。
その後「toilette」は「化粧台」そのものを意味する言葉として使われるようになっていきます。
この「toilette」という言葉が英語に取り入れられて「toilet」という言葉になったのですが、アメリカなどでは化粧台(洗面台)が浴室に設置されていたため、「入浴設備のある化粧室」であるアメリカの浴室を「toilet-room(トイレットルーム)」とい呼ぶようになりました。
アメリカの浴室にはトイレも設置されているのが一般的なので、トイレのことを遠回しに「toilet-room」と呼ぶようになり、これを略して「toilet」と呼ぶようになったのです。
その後、「toilet」は便器や便所そのものを表す言葉となったので、現在では遠回しな言い方として、アメリカではトイレのことを「toilet」とは言わず、浴室にトイレを置いてあることから「bathroom(バスルーム)」やより丁寧な言い方として本来「休憩室」を意味する「restroom(レストルーム)」などと呼ぶようになりました。
日本に「トイレ」という言葉が入ってきたのは第二次世界大戦後です。
日本ではトイレのことを「便所」や「お手洗い」「ご不浄」などと呼んでいましたが、直接的な表現でない「トイレ」が徐々に浸透していきました。
また、デパートなどでトイレのことを「化粧室」と表示している所もありますが、これはトイレの語源となったフランス語の「toilette」に由来していることや、女性がトイレの洗面台で実際に化粧直しをすることから使われるようになったものです。
ちなみにトイレを「WC」と表記しているものもよく目にしますが、この「WC」は「water closet(ウォータークローゼット)」の略で、「水洗の小部屋」という意味があります。
この言葉は日本で作られた和製英語なので英語圏の人には通じませんが、ドイツでは日本と同じく「WC」と表記されている所もあるそうです。
▪まとめ
今回調べてみて、トイレの名前やマークには色々な由来や歴史があったことが分かり、楽しかったです。
特にトイレのマーク(ピクトグラム)は、世界中で使われるようになり、日本にきた外国の人たちだけでなく、私たち日本人も海外に行ったときに困らなくてよくなったことに感謝したいです。
日本での公衆トイレに関しては、昨今、SDGsや防災、ジェンダーレスなど、様々な観点からの問題でニュースに取り上げられています。
かなり難しい問題で一朝一夕とはいかないかもしれませんが、トイレが今よりもっと安全で多くの人に使いやすく、災害時にも困らない場所になっていくことを願い、私たちもトイレの日には色々と勉強してみるのもいいかもしれませんね。
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