▪はじめに
今回ご紹介する「ピース」とは、戦後から発売されるようになった日本のタバコの銘柄です。
今回は、現在でも愛煙家に愛され続けている「ピース」に関する記念日や歴史、雑学などについて紹介していきましょう。
目 次
ピースの日(ピース記念日)とは
ピースの日(ピース記念日)は、毎年1月13日にあります。
ピースの日は、1946年(昭和21年)1月13日に、「ピース」という名前の高級たばこが発売されたことに因んで、愛煙家が制定した記念日です。
▪意味
ピースの日には、1946年(昭和21年)の1月13日に「ピース」という銘柄のたばこが発売されたことを記念する意味があります。
「ピース」は戦時中配給制だったたばこが、戦後の日本で自由販売となった第一号の商品で、発売当時は1箱10本入りで7円(現在で60円~70円)でした。
▪由来
ピースの日(ピース記念日)が1月13日なのは、1946年(昭和21年)の1月13日に当時の高級たばこ「ピース」が発売されたことに由来しています。
▪イベント
ピースに関するイベントは、残念ながら見つけることができませんでした。
たばこ(ピース)の雑学
<ピースの歴史>
ピースは、第二次世界大戦が終了した翌年に発売が開始された、日本を代表するタバコの1つです。
「ピース」という名前の由来は、戦後の混乱期に夢や希望、平和な未来を願って付けられました。
この名前は、図案と共に一般公募した中から選ばれたものなのですが、じつは2等の名前だったのです。
1等は「ニューワールド」という名前でしたが、製作技術上の問題で2等の「ピース」が採用されたそうです。
じつは「ピース」という名前のタバコは第一次世界大戦後の1920年(大正9年)に平和が訪れた記念として発売されたのですが、諸事情によって販売中止となり、その後完全に廃止となったので、第二次世界大戦後に発売されたものとの継続性はありません。
ピースは、戦後の発売当初の値段は10本入り7円(現在の140~150円)で、他のタバコに比べると3円ほど高い高級品でした。
また、販売は日曜・祝日のみで1人1箱と限定されていましたが、東京・有楽町の販売店で1000箱が1時間で売り切れてしまうほど大人気だったようです。
タバコは、明治時代から国の財源確保のために大蔵省専売局が販売していましたが、戦後の1948年(昭和24年)に発足した日本専売公社で販売されるようになりました。
その後、市場開放を求める声や行財政改革の動きから1985年(昭和60年)に専売制度が廃止され、その時誕生した日本たばこ産業株式会社(JT)で販売されるようになります。
ピースも時代の流れに沿って各組織に受け継がれ、銘柄が廃止されたことも何度かありましたが、現在でもJTで販売されています。
ピースで使用されているタバコの葉は、日本専売公社時代は岩手県の一関で栽培されていた「東山葉(とうざんは)」という在来種が使われていましたが、自由販売だからこそいいものを作ろうという考えのもと、海外たばこに使用されていたバージニア葉を使うようになっていき、現在はバージニア葉を使ったほのかな甘みと芳醇な香りを楽しめる商品として愛煙家に愛され続けています。
<ピースのパッケージデザインは日本のデザイン界を変えた歴史的産物>
ピースが発売されてしばらくの間は、日本人がデザインしたパッケージが使われていましたが、1952年(昭和27年)4月にアメリカの工業デザイナーであるレイモンド・ローウェイが手掛けたデザインに変更されました。
レイモンド・ローウェイ氏は、アメリカで活躍したフランス人デザイナーで「口紅から機関車まで」といわれるほど色々な分野のデザインを手がけており、アメリカのタバコ「ラッキーストライク」のパッケージもデザインした人物です。
なぜレイモンド・ローウェイ氏が日本のタバコのパッケージをデザインしたかというと、彼が日本人にデザインの指導をするために日本に招かれたとき、日本専売公社にも立ち寄ってタバコのデザインについて助言や指導をしていました。
丁寧な指導に感銘を受けた当時の日本専売公社総裁が、その場でピースの新しいデザインを依頼したのだそうです。
レイモンド氏は、日本の消費者に向けた日本人に刺さるデザインを考えたといいます。
のちに「ピース紺」と呼ばれる紺色のパッケージですが、じつは紺色は海外では「死者の色」とされていて海外では絶対に売れない色だったそうです。
しかしレイモンド氏は京都に訪問した際に紺色は高貴な色であることを知り、紺色に金色のシンボルマークを合わせた日本人に刺さるデザインを考えたのだとか。
また、シンボルマークの「オリーブの葉を咥えた鳩」は旧約聖書の「ノアの箱舟」の中にある「大洪水が起きた後、世界がどうなったかを知るためにノアが鳩を放したところ、オリーブの葉を咥えて戻ってきたことから、大洪水が収まり安らぎの大地が近いことを知った」という部分から平和の象徴となったこの鳩が由来となっています。
レイモンド氏は、パッケージデザインに日本らしさと平和というメッセージを込めたというわけなのです。
また、ピースのパッケージに使われた紺色は当時存在しない色だったため新たに作られ、「ピース紺」と命名されました。
ピースのデザイン依頼料としてレイモンド氏には150万円が支払われたそうですが、当時内閣総理大臣の給料が11万円でしたから、かなりの額であったことが分かります。
商業デザインに対する認識がまだまだ低かった時代なのでこの値段なのでかなり驚かれたそうですが、パッケージ変更後ピースは飛ぶように売れ、年間売上本数が26億本から150億本まで跳ね上がったため、商業デザインの重要さが認識されるようになり日本の商業デザイン界の革命となったのです。
▪まとめ
「ピース」というタバコは、日本の様々な分野での歴史に関わっています。
名前せよデザインにせよ戦後の日本がやっと訪れた平和を喜び、この平和がずっと続くよう願っていることがよく分かります。
私はタバコを吸いませんが、パッケージのデザインは好きで何度もネットなどで見てきました。
近年では健康のためにタバコを吸わない人が増えてきましたが、小さなタバコが日本人の平和を愛する気持ちや日本の商業デザインを変えたということはいつまでも残っていて欲しいです。
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