「7月1日 鉄スクラップの日」
■はじめに
鉄道や鉄鋼関係で、「鉄」ではなく旧字体の「鐵」を社名に使っている会社が多く見られます。
聞けば、「鉄」は「金を失う」と書くので、縁起が悪いからだそうです。
目 次
鉄スクラップの日とは
日本鉄リサイクル工業会が1975(昭和50)年7月1日に設立されたのを記念して、同会が7月1日を「鉄スクラップの日」に制定しました。
■鉄スクラップの日の意味と由来
鉄はビルをはじめ、電車、自動車から家具などの身の回り品に至るまで使われています。
その鉄の原料となる鉄鉱石や石炭は海外からの輸入に頼らざるを得ませんが、今では廃棄された鉄製品から生まれる鉄スクラップのリサイクルシステムが確立したことで、新たな鉄製品として生まれ変わらせ、貴重な資源を有効活用しています。
■鉄スクラップの日のイベント
鉄リサイクルはBtoB事業なので、一般人を対象にしたイベントはありません。
小・中学校の社会科授業の一環として、業界が何か企画してほしいと思いますが…。
鉄スクラップの日の雑学
▽日本は世界トップクラスの鉄スクラップ輸出国
自動車や機械を製造する過程で出るものを「工場発生スクラップ」と言い、ビル解体、廃車、家庭の廃棄鉄製品などからを「老廃スクラップ」と言って、この2つを合わせて「市中スクラップ」と呼んでいます。
現在、日本国内で回収される市中スクラップは毎年3000万トンにも上っていますが、この量では国内で消費しきれないため、主に東アジア諸国へ輸出するようになりました。
特に2021年には中国への輸出が急増して、前年の1万6000トンをはるかに上回る37万トンとなるなど、日本は現在、世界トップクラスの鉄スクラップ輸出国になっています。
▽脱炭素で鉄スクラップが価格急騰
1kg30円台が相場だった鉄スクラップの価格が、2022年に入ると70円台に急騰し、今後、元の価格に戻る見通しもないようです。
この原因は国連気候変動対策会議(COP26)で採択されたカーボンニュートラル(温室効果ガス排出ゼロ)のためで、これが鉄の製造法を直撃しています。
鉄は高炉でコークスを燃焼させて製造しますが、この過程で大量のCO2が発生するため、鉄スクラップを電気の熱で溶かして再利用する「電炉」なら70%ほどCO2の発生が削減されます。
このため、脱炭素を目指す各国の注目は鉄スクラップに集まり、これが価格高騰の原因です。
特に脱炭素に力を入れているのが中国で、日本からの輸入量が急増したのはこのためですね。
▽蛇口、ガードレール、バンパー…鉄製品の盗難相次ぐ
鉄スクラップの価格が急騰しているためか、日本各地で鉄製品の盗難が相次いでいます。
中には、こんなものまでと思うような鉄製品もあるようです。
千葉県では側溝の鉄製のふた「グレーチング」の盗難が相次ぎ、年間160枚以上、総額100万円超の被害が発生しましたが、同様の被害は千葉県だけでなく全国に広がっています。
グレーチング1枚は幅40cm、長さ50cm程度ですが、重さは約18kgもあって、盗むのにはかなり労力が必要です。
しかし、買取価格は1枚1000円にも満たないため割のいい「窃盗」とも思えませんね。
また水田に送水する給水管の蛇口や、水道メーター、ガードレール、トラックのバンパー、工事現場の鉄板など被害は全国規模で、鉄でできているものなら何でもござれといった具合です。
1日中見張っているわけにもいかず、固定できないものも多いため、効果的な対策もないようで、買取業者側も盗品かどうか区別できないとしています。
しかし、使い古したグレーチングやいろんなサイズの蛇口を個人が持ち込んで疑いを持たないのもどうかと思いますね。
筆者がCDや古本を大量に買い取ってもらった際は、身分証明書の提示を求められましたけどね。
もっとも、国内での買い取りがダメなら海外へという手もあって、しばらくは警察とのイタチごっこが続きそうです。
■最後に
19世紀のドイツ宰相ビスマルクの言葉「鉄は国家なり」はあまりにも有名で、日本はその通りに製鉄が高度成長をけん引しました。
しかし、高炉の休止、製鉄所の閉鎖が相次ぐ現在、「鉄は国家なり」の看板は下ろさざるを得ませんが、代わって「鉄スクラップは国家なり」の時代がやってきています。
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