「喪」とは身近なものの死を悼む者が一定の期間、故人の冥福を祈り身を慎むことで、「服す」とは従うこと、その通りにすること、服従するという意味があります。
喪中とは、喪に服している期間のことで、故人の冥福を祈り身を慎む期間となります。
一般的に喪中の範囲は2親等までと言われていていますが、3親等からも故人との縁の深さによって親等に関係なく喪に服してもよいとされています。
また、その期間は一般的に30日~13ヶ月とされ、お正月等のお祝い事を控えます。
今回は、喪中のお正月飾りや過ごし方について紹介します。
目 次
喪中のお正月飾り
門松、鏡餅、しめ飾り等といったお正月の飾りは、お祝いの意味を持つことから、一般的には飾らないとされています。
ただ、これらは年神様をお迎えする為の神事であることから、忌明け後であれば構わないという意見や、御供え物である鏡餅は飾るといった場合も多いようです。
ちなみに忌明けとは、忌服期間を終える日、その日を迎えたことを指します。
故人の冥福を祈り、喪に服すとされる忌服期間は、仏式の場合は四十九日、神式の場合は五十日と宗教によって異なります。
そして、忌明けは故人の魂が旅立つ日であるとして、法要を勤めることが一般的です。
喪中のお正月の過ごし方
喪中のお正月の過ごし方について、まずは控えた方が良いとされることを紹介します。
[年始の挨拶]
喪中に「おめでとうございます」は避けた方が良いことから、「明けましておめでとうございます」と言った挨拶は控えましょう。
喪中であることを知らずに相手から挨拶された場合は、「昨年はお世話になりました」「今年もよろしくお願いします」と言った言葉で返したり、普段通りの挨拶にするのが適当です。
ちなみに、年末の挨拶となる「良いお年を」は相手を労う言葉なので、失礼には当たりません。
ただ、喪中の方に対して使う場合には、相手の気を悪くさせてしまうこともありますので、控えた方が良さそうです。
[年賀状]
年賀状も先述した「おめでとうございます」という文言等を使い、お祝いの意味を持ちますので控えます。
また、その場合は喪中はがき(年賀欠礼状)を出します。
年賀状の準備を始める前の11月中旬~12月初旬には、届くように出すのがマナーですが、年内に届けば問題ありません。
もし、喪中はがきが届くのが年末ぎりぎりもしくはお正月に差し掛かってしまうのであれば、松の内(1月7日)が明けてから「寒中見舞い」を送り、年末に不幸があり新年の挨拶(この場合は年賀状)を失礼したことを伝えるという方法もあります。
喪中はがきを出していてもいなくても、年賀状を頂いた方には寒中見舞いを出して対応しましょう。
次に、喪中のお正月でも許されることを紹介します。
[初詣]
お寺へのお参りは喪中でも忌中であっても問題ありません。
神社の場合、忌中は避けるべきとしているところが多いのですが、忌明け(五十日)後であれば、喪中でもお参りできます。
なぜ仏式と神式によって期間が変わってくるのかというと、死に対する考え方の違いです。
身内に不幸があって間もない時期は、気分が沈んでいることと思います。
この状態を「気枯れ」と言い、神式では死をケガレとして捉えるようになりました。
神前や鳥居は神聖なものとされ、ケガレを持ち込むことはしてはいけないと考えられています。
厳密には神社によって期間が違ったり、鳥居をくぐって良いかどうかも変わってきますので、出来れば事前に確認することをおすすめします。
[おせち料理]
おせちは新年のお祝い料理なので、控えるべきという意見もありますが、忌明け後で客人を招く等しなければ、いつも通りで良いと言われています。
ただし、紅白のかまぼこや鯛、海老等の縁起物、お屠蘇やお酒は控え、祝い箸も避けましょう。
お雑煮も昔は高価で祝い事に出される料理とされていましたが、現在では普段の食事として食べても問題ありません。
ちなみに、年末に食べる年越しそばはお祝いではなく、その一年を労い金運や健康を願うものであることから、食べても大丈夫です。
[墓参り]
喪中の年末年始にお墓参りすることは、故人のために喪に服しているという意味合いからも、むしろおすすめです。
ただこの時期に仏花を買う場合、松飾り等のお祝いを表すものを含んでいることが多いため、そう言ったものは避けるように気を付けてください。
また可能であれば、故人が気持ちよく年を越せるように、年末までにお掃除を済ませでおくと良いでしょう。
[お年玉]
年始を祝う風習の一つとも言えるお年玉は控えるべきと言う意見もありますが、一般的には子どもの楽しみを奪ってしまうのはかわいそうなので渡している場合が多いようです。
その際にはポチ袋は避け、無地の白い封筒等に入れて、お小遣い、書籍代、文房具代として渡すのが良いでしょう。
子どもの年齢によってはマナーを教える一環として、喪中にお年玉はあげられないことを教えても良いかと思います。
金額等も親同士で決めることもあるかと思いますので、相談してみるのも良いかもしれませんね。
[お歳暮]
一年間の感謝の気持ちを伝える贈り物の為、喪中であっても相手が喪中の場合でも問題ありません。
ただ、この場合でも忌明け後から送るようにして、紅白の熨斗や水引も使わないようにしましょう。
喪中に関する法律は明治時代に定められていましたが、昭和になってからは廃止され、簡略化されたものが今でも引き継がれています。
あくまで目安として、ご自身や相手方の気持ちを大切に、喪中のお正月を過ごしてくださいね。
喪中の範囲は誰まで?血族や姻族の3親等ってどこまで