「6月19日 朗読の日」
■はじめに
筆者はひとりで家にいることが多く、しかも小説が好きという「好条件」なので、だれに聴かせるわけでもなく、「朗読」をすることがあります。
いつの間にか、主人公に感情移入したセリフまわしも堂に入ったものになっていますが、知らない人が見れば異様な光景でもありますね。
目 次
朗読の日とは
6月19日は「朗読の日」です。
これは「どく」を「109」とした語呂合わせからで、日本朗読文化協会が制定しました。
紹介が少し冷淡だと我ながら思いますが、これに限らず、言葉を大切にという趣旨の記念日が、この並外れた情けない語呂合わせで決められたことに対する抗議の表れでもあります。
朗読の日の意味と由来
朗読は音読と同じで、声を出して読むことですが、その先は大きく異なっています。
この違いについては文科省が親切丁寧な文書で教えてくれています。
いわく、「音読」は正確、明晰、流暢が目標とあって、つまり間違えずにハッキリとスラスラ読みなさいということです。
対して「朗読」はそれに加えて、「作品の価値・特性を音声で表現すること」としていますから、作者の意図や場面の雰囲気、登場人物の性格、心情を表現せよということです。
これに身振り手振りをつければ独り芝居になりそうです。
文科省説明には、作者、作品、場面、性格などの言葉が出ているので、朗読の対象は文学に類するもので、心情や雰囲気とはなじまない取説や競技規則などの文書を「朗読」する人はいません。
法廷で検事が情感たっぷりに調書や論告文を朗読したり、弁護士が涙ながらに被告の反省文を朗読したらどうでしょう。
あるいは、アナウンサーが悲惨なニュースを「朗読」したらどうでしょう。
また、朗読とは他人に聴かせることでもあって、ひとりで小説を朗読する人はいませんね(ここにひとりいますが)。
■朗読の日のイベント
毎年「朗読の日」前後に、東京の博品館劇場で日本朗読文化協会が「朗読の日公演」を開催しています。
もちろん、ゲストの朗読が中心ですが、謳い文句に「豊かな日本語が織りなす」とか「切磋琢磨」とあるので、筆者には少し敷居が高いかも。
朗読会は全国各地の放送局や自治体、朗読劇団などが朗読の日に限らず開催しており、最近は音楽やプラネタリウムとのコラボも登場し、ヒーリング効果で人気が出ているようです。
フランス大使館主催の「フランス語朗読の夕べ」なんていうのもありますが、やはり勇気が要りますね。
しかし、地味な朗読会がこれほど多く開かれているとは知りませんでした。
朗読の日の雑学
▽朗読をするために
もちろん、朗読にも基本があって、背筋を伸ばし肩の力を抜いて、腹式呼吸で声を出します。
腹式呼吸は練習が必要ですが、自然に深い呼吸となって、酸素を多く取り込めるので、声量が増えて、声が続きます。
次に朗読の練習で、同じ音を発声し続けるロングトーンは声が安定し、母音に合った正しい口の開け方は、きれいな発音ができるようになります。
さて、本番ですが、下を向いて文章ばかりを追わず、明るくさわやかな表情で、時には感情移入した暗い顔つきも必要です。
キャラクターになりきる表情を作るのは、ちょっと人前では恥ずかしいですが、慣れてしまうとけっこう病みつきになるそうです。
▽「人質の朗読会」
先日、小川洋子著「人質の朗読会」を読みました。
南米のある国で日本人8人を人質にしたテロ事件が発生し、長期化した事件は人質全員死亡の結末となります。
事件後、政府軍が仕掛けた盗聴器には、作家や主婦、経営者、事務員などが、ひとりずつ人生の思い出を書いた文章を朗読する声が残っていた…。
ふと立ち寄ったブックオフで手にした文庫本ですが、198円をはるかに超える価値で、拾い物の逸品でした。
WOWOWでドラマ化され、DVDにもなっていますが、やはりここは朗読ということでお願いしたいと思います。
■まとめ
現代は「黙読社会」とも言われています。
便利なのは確かですが、メールやLINEの文字によるコミュニケーションが、電話の「声」を駆逐してしまいました。
文章の黙読は読み飛ばすこともあって、だいたいの意味さえわかればいいといったことにもなりがちで、まして短いメールに慣れてしまえば、日本語をきちんと読み取ることも覚束なくなってしまいます。
朗読は内容すべてをきちんと理解する必要があります。
他人に聴かせなくてもいいので、たまにはひとりでじっくりと朗読をしてみてはどうでしょうか。
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