▪はじめに
皆さんは、明治時代に冬の八甲田山で起きた遭難事件のことをご存知でしょうか。
小説や映画にもなった日本近代山岳史上最悪のこの事件を忘れないための記念日がありますので、ご紹介していきます。
目 次
八甲田山の日とは
八甲田山の日は、毎年1月23日にあります。
八甲田山の日は、1902年(明治35年)1月23日に起きた八甲田雪中行軍遭難事件に因んで制定された記念日です。
八甲田雪中行軍遭難事件とは、日露戦争を控えた日本軍が雪の中での軍事訓練と調査を行う事を目的として行われたもので、1902年1月23日から入山した青森陸軍第五連隊が、その後大寒波に襲われて遭難し参加者210名中199名(うち6名は救出後死亡)が亡くなるという世界最大級の山岳遭難事件です。
▪意味
八甲田山の日は、1902年(明治35年)1月23日に起きた八甲田雪中行軍遭難事件の犠牲者を追悼する意味があります。
▪由来
八甲田山の日は、1902年(明治35年)1月23日から雪中行軍に出発し、その後遭難して部隊の大半の人が亡くなるという日本近代登山史上最悪の八甲田雪中行軍遭難事件に由来した記念日です。
▪イベント
八甲田山の日に因んだイベントは、残念ながら見つけることができませんでした。
八甲田山の雑学
<なぜ最悪の遭難事件が起こってしまったの?>
世界最大級ともいわれるこの遭難事件はどうして起こってしまったのでしょうか?
その原因は、当時の気象条件・雪山に対する知識不足・稚拙な装備・指揮系統の混乱だといわれています。
そもそも八甲田山雪中行軍は、日露戦争に備えて雪の中での軍事訓練とそのデータを取るために行われたものでした。
しかし、第五連隊の隊長をはじめ隊員のほとんどが雪山に対する知識を持っておらず、雪山の温泉に入りに行く程度の軽い気持ちで訓練に臨んだのです。
地元の村人たちは、毎年1月24日前後は山の天気が荒れるために山には入らない習わしがあってそれを伝えたのにも関わらず部隊は無視して案内人も付けずに入山してしまいました。
しかも、大した防寒もせずおよそ雪山登山をするとは思えないような軽装備だったそうです。
部隊が入山してすぐに天候は悪くなり、予定よりも遅れて第1目的地に到着しました。
持ってきていたおにぎりが凍って食べられないくらいの寒さの中、訓練を中断して引き返すかどうかの会議をしたのですが、「途中で引き返すなんてこんな恥さらしなことはない」と古参の伍長達に言われて隊長である神成大尉は訓練を続けることにしたそうです。
そして訓練を再開した直後から猛吹雪に見舞われて、気温も-20℃以下にまで下がっていたとされています。
じつはこの日日本は、北海道で日本観測史上最低気温である-40℃を記録したほどの大寒波に襲われていて、青森県も例年よりも8℃~10℃低い気温だったのです。
雪は隊員たちの胸のあたりまで積っていき軽装だったために凍傷になるものが続出しました。
また、寒さでコンパスが凍りつき方角も分からなくなり神成大尉が困惑していると、隊の中に道が分かると言った隊員が1人いたので、その隊員に道案内を任せるものの余計に道に迷ってしまいました。
その結果、隊員たちは崖から落ちたり、発狂して川に飛び込んだり全裸になったりして次々に凍死していき、参加者210名中199名が死亡し、生き残った11人も凍傷が激しく、手足や指などを切断することになってしまったのです。
<八甲田山の悲劇を伝える人達>
雪中行軍の悲劇を伝えるための施設や団体が青森市にあります。
1969年(昭和44年)青森市制70周年の時に、市内の有志の方達による「八甲田山雪中行軍遭難史蹟保存会」が発足して関連資料の収集や慰霊祭などを行うようになりました。
また同じ年にかつての連隊長官舎を「八甲田山雪中行軍遭難資料館」として写真などの関連資料の展示などをするようにもなりました。
資料館はその後、2004年(平成16年)7月にリニューアルオープンし、遭難史実とともに八甲田の自然を伝える施設として運営されています。
八甲田のパーキングエリア「銅像茶屋」には「鹿鳴庵」という雪中行軍の資料が展示された施設が併設されています。
鹿鳴庵の資料は、青森県出身のジャーナリストで小説家の小笠原孤酒が集めたもので、約2万点ある資料の中の400点が展示されています。
また、旧陸軍第五連隊とは別のルートを通って無事に演習を終えた第31連隊を案内した7人の案内人の話を紙芝居にして語り伝える「八甲田山雪中行軍遭難を語り継ぐ会」が2015年(平成28年)ごろに発足し、子供たちに語り継ぐ活動をしています。
これらの施設や団体は、人災といわれた八甲田山雪中行軍遭難事件の悲劇を繰り返さないように、また、事件を教訓として山と上手に付き合っていくことを現代に伝えてくれているのです。
▪まとめ
八甲田山で最悪の遭難事件が起こったのは、冬の雪山を軽んじていたからにほかなりません。
八甲田山自体は、新緑や紅葉などの絶景を見ることができる美しい山なのでハイキングなどに出かけてみてくださいね。
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