「10月8日 入れ歯の日」
■はじめに
「入れ歯」と聞くと、お葬式を思い出します。
昔、身内の通夜で、入れ歯を装着したまま火葬してよいものかどうか、ちょっとした論争になったのを覚えています。
目 次
入れ歯の日とは
全国保険医団体連合会(保団連)が1992(平成4)年に、歯と健康の大切さ、歯科医療の重要性を広く知ってもらおうとの趣旨で、10月8日を「入れ歯の日」に、また、この日から11月8日までを「イレバデーからイイハデー」月間に指定しています。
10月8日、11月8日ともに、言わずと知れた語呂合わせですね。
■入れ歯の日の意味と由来
フランス人歯科医師のピエール・フォーシャルが1737年に作った総入れ歯が、西洋の歯科学史では最古の入れ歯だとされています。
しかし、日本では1537年に没した和歌山・願成寺の尼僧「仏姫」の遺骨の中に、木製の入れ歯が遺品として納められているのが発見されています。
柘植の一本造りで、前歯の部分には彫刻が施され、当時としてはかなり精巧なものだそうですが、都の寺ならともかく、紀州の山寺の尼僧が手にできたほど、入れ歯は普及していたのでしょうか。
また、柳生宗矩の三男(長兄は柳生十兵衛)柳生飛騨守宗冬(1613~1675)の墓からも木製の上下顎の総入れ歯が発見されています。
■入れ歯の日のイベント
毎年の「イレバデーからイイハデー」月間には、全国各地で市民講座や歯科相談会、入れ歯供養祭などが開催されています。
また夏には、日本歯科技工士会が「歯」をテーマにした「ははは川柳」コンテストを実施、毎年2000句を上回る盛況ぶりです。
ちなみに過去の特選作は、
「入れ歯と嫁 合う合わないで 天地の差」でした。
入れ歯の日の雑学
▽噛めば噛むほどアタマがよくなる
幼稚園児の噛む力と知能指数の関係を調べる実験が行われ、よく噛む子どもは噛まない子よりも知能指数が高く、虫歯の数も少ないという結果が出ています。
また、よく噛むように訓練させた後、記憶力の変化について調べると、明らかに記憶力の向上が見られました。
これは噛むことによって、脳内に記憶や学習に関係している化学物質や血流が増えるためと見られています。
よく噛まないとヒスタミンの分泌が少ないため、満腹中枢が刺激されず、つい食べ過ぎて肥満の原因にもなってしまいます。
この実験はマウスでも同様の結果が出ていますが、高齢者を対象としたデータはなく、高齢者の記憶力が向上するかどうかは何とも言えません。
▽身元確認は必ず「歯」で
東日本大震災では犠牲者の身元確認のため、歯科医師が全国から駆けつけました。
作業は犠牲者一体一体の口を開いて、歯の有無や治療痕、義歯、充填金属の種類などを調べ、歯科カルテに残された記録やレントゲン写真などと照合するという手間のかかるものでした。
しかし、どんなに迂遠な方法でも、最終的には必ず歯で確認しなくてはなりません。
所持品は必ずしも本人のものとは限らないからです。
歯は人体組織の中でもっとも硬く、焼けたり白骨化しても歯は残るので、性別、年齢、血液型、DNA判定が可能です。
日本人の大半は歯科診療の経験があるため、身元確認には貴重なデータとなっています。
▽入れ歯に個人情報を
入れ歯やブリッジに、名前、ID、あるいは義歯制作者名を刻んでおく「義歯刻印」活動が阪神淡路大震災後の1996(平成8)年から始められていますが、なかなか普及していません。
東日本大震災時、岩手県内で発見された犠牲者365人の約6割が入れ歯を装着しており、義歯刻印が進んでいれば速やかな身元確認ができたことと思います。
また、徘徊して行方不明になる老人も増えており、ここでも身元の特定に役立つはずです。
■最後に
我が家のおばあさんは部分入れ歯ですが、外していても食事に困ることはないそうです。
しかし、一日に数時間でも装着しないと、歯がズレて合わなくなるので、買い物や散歩に出るときにだけ装着しています。
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