「11月19日 緑のおばさんの日」
■はじめに
筆者が住む自治体では午後3時になると、防災無線から「わたしたち小学生の下校時間になりました………見守りありがとうございます」といった事前収録した児童の声が聞こえてきます。
これは交通事故の未然防止や不審者への抑止力のために20年近く前から始められたもので、この声が聞こえると「ああ、もう3時かあ」なんて気がついたりしますね。
目 次
緑のおばさんの日とは
1959(昭和34)年11月19日、児童の交通事故防止のため、緑の制服で黄色い旗を持ったおばさんたちが、登下校時に通学路に立つ「学童擁護員制度」を東京都が始めました。
このおばさんは学童擁護員ですが、制服の色から「緑のおばさん」と呼ばれ、子どもたちに親しまれました。
この制度発足を記念して、11月19日は「緑のおばさんの日」と言われて来ましたが、今日はその制度もなくなってボランティア活動に委ねられたことで、遠い思い出の中の記念日になってしまいました。
ちなみに、持っている旗の色から「黄色いおばさん」と呼んだ地域もあったそうで、「緑のおばさん」は全国共通の愛称ではありませんでした。
緑のおばさんの日の意味と由来
当時はまだ戦後の復興期で、寡婦の失業対策も喫緊の課題とされていたこともあり、児童の安全対策と合わせて、都はこの制度を導入し、「緑のおばさん」を日当315円の臨時職員として採用しました。
その後、1963年に制度が都から区へ移管されたことで、各区の非常勤職員となり、さらに1965年には正規職員になりました。
しかし、公務員の年功序列の給与体系によって、年収が1000万円近くに及ぶなど、バブル崩壊後は緑のおばさんへの風当たりもより一層強くなりました。
現在は一部で市の嘱託を残している程度でこの制度は廃止され、児童の安全はリタイアした地域の高齢ボランティアに委ねられて、今では「児童見守り員」とか「交通整理員」などと呼ばれているようですが、その高齢者も超高齢者になって、メンバー確保には各自治体も頭を痛めているようです。
緑のおばさんの日のイベント
当然ながら、この日を記念したイベントは見つかりません。
緑のおばさんの日の雑学
▽なぜ「緑」なのだろうか
なぜ、おばさんの制服は赤でも青でもなく、緑だったのでしょうか。
緑は太陽光を波長順に並べたスペクトルの中間に位置するので、今度、虹を見かけたら真ん中あたりの緑を探してみてください。
人の目が最も波長の長い「赤」を見たり、逆に短い「紫」を見るためには、目のレンズを調節する必要があって、無意識のうちに負担がかかっています。
中間にある「緑」は負担要らずで見ることができるため、「緑は目に優しい」「目が疲れにくい」「さわやか」と言われる所以で、「自然」「平和」「協調」といったイメージが定着しています。
また、緑は暖色でも寒色でもなく、特に特徴もないことから、日本工業規格(JIS)は緑を「安全」「避難」「衛生」を表す色と決めています。
非常口表示が緑なのはそうした理由からですが、ついでに言うと赤は「危険」「防火」「禁止」などの色で、黄色は「注意」を表します。
まさに交通信号がその通りで、ついでのついでですが、白と青は航空信号に使用され、この5つの色が信号色として国際照明員会で定められた国際基準になっています。
話を緑に戻すと、緑のイメージが安全やさわやかに定着したことで、シンボルカラーとして採用しやすくなって、「みどり」や「グリーン」を冠した政党、団体、企業名も多く見られるようになりました。
しかし、欧米の一部では「毒」や「怪物」などのマイナスイメージもあって、ホラー映画のゾンビの血はだいたい緑で、また中国では緑を「不貞」の意味で使い、黄色は「いかがわしい」そうです。
■最後に
そう言えば、ウルトラマンタロウの母が地球に現れた姿は「緑のおばさん」でしたね。
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