▪はじめに
川柳とは、五・七・五の17音で作られる、俳句によく似た短い詩のことです。
毎年、サラリーマン川柳がテレビ番組などで発表されるのでなんとなく知っているという人も少なく無いと思います。
そこで今回は、川柳に関する記念日や川柳と俳句の違いなどについて紹介していきましょう。
目 次
川柳発祥の日とは
川柳発祥の日は、毎年8月25日にあります。
この記念日は、1757年(宝暦7年)の8月25日に江戸時代中期に活躍した前句付けの点者・柄井川柳(からいせんりゅう)が最初の万句合(まんくあわせ)を行ったことに因んで川柳学会によって制定されたものです。
万句合とは、点者(てんじゃ)と呼ばれる俳句や川柳、連歌などの作品から良いものを選ぶことを生業としている人が、課題の前句を刷った紙を配布してその付け句を公募し、その中から優秀なものを選ぶという、現在でいう一般公募式のコンクールのようなものです。
▪意味
川柳発祥の日には、1757年(宝暦7年)8月25日に川柳の始祖とされる柄井川柳が日本初の万句合を興行したことを記念するという意味があります。
▪由来
川柳発祥の日は、1757年(宝暦7年)の8月25日に、柄井川柳が最初の万句合を行ったことに由来して制定された記念日です。
▪イベント
近年、季語などに縛られず気軽に詠める川柳は、様々な企業や自治体などのイベントで公募されています。
とくに有名な「サラリーマン川柳」は第一生命保険の企画コンクールで、毎年多くの人が応募しています。
毎年、その年の流行や時事ネタを織り込んだ川柳やサラリーマン視点のユーモラスな川柳などが多数寄せられ、優秀作品は第一生命のサイトで公開されるだけでなく、ニュースに取り上げられたり書籍化されたりしています。
2023年(令和5年)から、老若男女問わず幅広い人から募集したいという第一生命の以降から「サラっと一句!わたしの川柳コンクール」と名称を変えて9月から募集することが発表されているので、応募したいと考えている方は注意してください。
川柳の雑学
<柄井川柳(からいせんりゅう)とは>
川柳の始祖と呼ばれる柄井川柳は、江戸時代中期に前句付け点者(作品を選ぶ選者)として活躍した人物です。
本名を柄井雅通、通称を八右衛門といい、江戸浅草新堀端に住む竜宝寺門前町の名主でした。
無名庵川柳という俳号を持つ俳人でもあった川柳は、1757年(宝暦7年)8月25日に「万句合(まんくあわせ)」という前句付の大会を開催しました。
前句付とは、問題として短歌の「五・七・五」の部分を空白にし「七・七」の部分だけを書いて刷った紙を配り、「五・七・五」の部分を書いた人は参加料を払って応募し、良い作品として選ばれた人には賞品が授与されるといった遊びでした。
川柳はこの前句付の点者として万句合を開催して以降も句合を複数回開催し、江戸の町では大流行となりました。
川柳の選ぶ句は面白いと評判になり、彼の選んだ句の中から呉陵軒可有(ごりょうけんあるべし)が選考した句を掲載した「誹風柳多留(はいふうやなぎたる)」という冊子が1765年(明和2年)販売されました。
「誹風柳多留」は庶民に大人気のベストセラー本となり、その後1840年(天保11年)まで毎年発刊され、全部で167編にも及ぶとされています。
なかでも、川柳本人が編集に携わった24編までは特に評判が良いといわれています。
「誹風柳多留」には、お題の句が無くても面白いものがお題を取り除いた状態で掲載されており、そのうちにお題の句が無い一句で意味が分かる一句立ちの作品が「川柳」と呼ばれるようになりました。
<川柳と俳句の違いとは>
川柳と俳句は、どちらも「五・七・五」の17音で作られる短い詩ですが、この2つの違いとはどのような部分なのでしょうか?
これらの短い詩は、平安時代に貴族たちの間で流行した和歌が元になっています。
「五・七・五・七・七」の31音を一首とした和歌には、「風景を詠む・季語を入れる・切れ字を使う」というルールがありました。
因みに「切れ字」とは、俳句や短歌の中で意味が切れる(終止する)ところ(句切れ)に置く字や言葉のことです。
俳句の切れ字は18字で、「かな」「けり」「もがな」「らむ」「し」「ぞ」「か」「よ」「せ」「や」「つ」「れ」「ぬ」「ず」「に」「へ」「け」「じ」があります。
和歌は1人で詠むものでしたが、室町時代に数人がリレー形式で詠んでいく「連歌」という遊びが流行します。
連歌は、初めの人が「五・七・五」の句を詠み、2番目の人がこれを受けて「七・七」の句を詠み、さらに2番目の句を受けて3番目の人が「五・七・五」の句を詠むというように続けて詠んでいくものです。
この連歌が、江戸時代初期に庶民の間でも流行します。
貴族から見ると庶民の句は滑稽に見えたので、滑稽という意味で「俳諧連歌」と呼ぶようになりました。
その後、この俳諧連歌から発句(ほっく:和歌の第一句)である「五・七・五」だけを詠む遊びが誕生しました。
これが俳句の始まりで、これを「俳句」と名付けたのは正岡子規だといわれています。
和歌の発句は、意味を通じやすくするために、季語を入れることが重要であり、切れ字によって強く言い切ることを特徴としていました。
ですから、発句だけを詠む遊びとして誕生した俳句には、「季語を入れる・切れ字を使う」というルールがあります。
一方、川柳は、お題として出された下の句(前句)に合う五・七・五の句(付句)の付句だけが独立した遊びなので、必ずしも季語や切れ字を使う必要はありません。
また、俳句は切れ字が文語体であるため、書き言葉である文語体で詠まれるのが一般的ですが、川柳は話し言葉である口語体で詠まれるのが一般的です。
題材にも違いがあり、俳句は四季や自然の事柄などの描写を通して心象などを表すのが特徴ですが、川柳は世相や風俗、歴史、人間の事柄などをユーモラスに表現したり風刺的に描写したりするのが特徴です。
これは、川柳を生み出した江戸時代の江戸の町の庶民は、自然の景色を見る機会が少なく人間観察から生まれた句が多かったからだとされています。
川柳と俳句には以上のような違いがあるとされていますが、俳句にも季語や切れ字を使わない自由律俳句や無季俳句などもあるので、2つの違いは曖昧となっています。
▪まとめ
川柳は、和歌から誕生した短詩です。
川柳には俳句のようなルールが無く、ユーモアや風刺を題材とした内容なので、誰でも気軽に作れるため、江戸時代から現代まで多くの人たちに親しまれてきました。
サラリーマン川柳のように、企業や日本各地の自治体などのキャンペーンなどで募集されることも多いので、みなさんも読んでみたり作ってみたりしてはいかがでしょうか。
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