シティズ・フォー・ライフの日とはいつ？意味や由来は

「11月30日　　シティズ・フォー・ライフの日」

■はじめに

「シティズ・フォー・ライフの日」（Cities for Life Day）なる記念日があるそうですが聞いたことはありませんでした。

日本語にすると「死刑廃止運動の日」で、これならわかります。

　　　　　　　目　次

シティズ・フォー・ライフの日とは

1876年11月30日、当時のトスカーナ大公国のレオポルト１世（後の神聖ローマ皇帝レオポルト２世、1747～1792）が欧州の国としては初めて死刑制度の廃止を宣言しました。

これを記念し、11月30日は「シティズ・フォー・ライフの日」とされていますね。

現在、死刑制度を廃止した国はイギリス、オランダ、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリアなど108カ国、事実上廃止している国は韓国、ロシアなど28カ国で、死刑制度を維持している国は日本をはじめ中国、米国、インドなど56カ国です。

死刑制度を廃止すべきという論拠は、死刑は人間が人間の生命を奪う残虐な行為であり、万一誤審だった場合は取り返しがつかないうえ、犯罪抑止効果も疑わしいというものです。

また、凶悪な犯罪者でも更生の可能性があり、死よりも生きて生涯罪を償わせるべきだという主張です。

「シティズ・フォー・ライフの日」は1968年に第二バチカン公会議で創立されたキリスト教市民団体「聖エジディオ共同体」が全世界に向けて死刑廃絶を呼びかける日です。

毎年のこの日にはアムネスティー・インターナショナルと共催で、世界中の参加都市の歴史的建造物やモニュメントのライトアップが実施されています。

もちろん死刑制度を存続している日本は参加していませんね。

そのため、この記念日の認知度は低いままです。

また、11月30日とは別に世界死刑廃止連盟（WCADP）が制定した「世界死刑廃止デー」があって、こちらは毎年10月10日です。

日本の死刑廃止運動団体は10月10日に合わせてイベントを開催しているようです。

2020年、死刑執行を本人に直前にしか伝えないのは違法だとして２人の死刑囚が国を訴え、67年前に死刑囚の言葉などを記録した録音テープが公表されました。

このテープは1955（昭和30）年に当時の大阪拘置所の所長が、ある死刑囚が執行を告げられてから執行されるまでの53時間をひそかに録音し、翌年に法務省に提出されていました。

今回公表されたのは100分に編集されたものです。

この死刑囚は３人組で強盗を働き、警官を射殺した罪で死刑が確定していました。

録音の内容をざっと追ってみます（死刑囚をAと表記）。

【執行告知】前々日の朝、所長から執行の日時を告げられ、Aの言葉は涙声になる

【姉の面会】その後、拘置所から連絡を受けた姉が訪れ、昼食のカツライスを食べ、涙ながらの話が続く

【送別お茶会】定期的なお茶会とは別に、所長、管理部長、職員、死刑囚８人が参加して、臨時のお茶会が開かれ、思い出の笑い話に花が咲き、最後に蛍の光を合唱する

【送別俳句会】翌日午後、死刑囚を中心に俳句会が催され、Aの読んだ句も披露される

【姉と最後の面会】俳句会後、16時半まで姉と子供時代や自分の子ども、年老いた母など尽きない話が涙交じりに続き、姉弟は抱き合って別れたが、姉はその場に泣き崩れた

【執行当日】お茶漬けと奈良漬の朝食を済ませ、仏前に集まった他の死刑囚とともに礼拝、教誨師が読経し、Aが淡々とした口調で最後のあいさつ

【挨拶】所長に促され、Aは恐怖を乗り越えたかのような安らかな口調で「今日、喜んで死出の旅につける…」と挨拶

【辞世の句】読経とともにAの辞世の句、

「あす執行　下剤を飲みて　春の宵　何くそと　思えど悲し　雪折れの竹」

が披露された

【タバコ】所長からピースを１本もらい、しばらく談笑した後、ひとりひとりと握手し、姉からもらった経帷子に着替え、仏前に線香をあげる

【保安課長】保安課長が手錠をかけ、目隠しをし、声を出して舌を切らないよう「心の中で念仏を唱えなさい」と声をかける

【処刑場】職員に連れられて処刑場に入り、首にロープがかけられ、そのわずかな後「バターン」と床が開いた音がして、死刑が執行された

【検視】医者が検視、「死刑終わり、午後２時59分執行、死亡３時13分２秒、所要時間14分２秒」と報告

■最後に

死刑反対、死刑存続の両者の主張はおおむね理解しているつもりですが、ただひとつ、反対派の言う「死刑は犯罪の抑止力にならない」という主張には、具体的な裏付けとなるデータがありません。

世界の潮流というだけでは「死刑やむなし」の世論を押し返すことは困難と思われますね。

他にもおもしろい記念日がたくさんあります！