「11月30日 社会鍋の日」
■はじめに
「寄付」と「募金」は同じ意味として使われがちですが、実は正反対の意味ですね。
「寄付」とはお金や物を拠出する側の行為で、「募金」とは「つのる」という漢字が使われているように、受け取る側の行為になります。
目 次
社会鍋の日とは
社会鍋とは「社会福祉法人救世軍社会事業団」(通称救世軍)が運営する募金活動のことで、年末の繁華街の街角ではおなじみの光景です。
毎年、11月30日に年末の募金活動開始のアナウンスをすることから、救世軍はこの日を「社会鍋の日」に制定しました。
(「救世軍」「社会鍋の始まり」については、当コラム7月2日の「救世軍創立記念日」を参照)
■社会鍋の日の意味と由来
社会鍋にお金を寄付するという行為は「利他の精神」に他なりません。
「利他」とは仏教用語で「自利利他」と言って、他人に利(喜びや幸せ)を分け与えることで、自分にも喜びや幸せが返ってくるという考えです。
ちなみに、他人の困りごとには目もくれず、自分のことだけを考えることを「我利我利」と言います。
最近はあまり使われない言葉ですが、自分勝手で強欲な人を「ガリガリ亡者」なんて呼びませんか?
社会鍋の日のイベント
創立記念コンサートやイースターコンサート、クリスマスコンサートなど、ほぼ隔月でイベントが開催されるようですが、コロナ禍とあって規模はだいぶ縮小され、オンライン開催に変更されているようです。
年間行事ラインナップに11月30日の予定はありませんね。
社会鍋の日の雑学
▽遅れている日本の寄付文化
日本には寄付文化が根付いていないと言われます。
5年ほど前のデータですが、アメリカやイギリスと比べてみましょう。
日本の1人当たりの年間平均寄付額は2万7000円で、日本全体の総額は7700億円、寄付したことのある人(寄付者率)は国民の23%です。
寄付者は4人に1人なので、平均2万7000円ということは、寄付者1人は年間10万円超を寄付していることになります。
それでは寄付大国と言われるアメリカはどうでしょうか。
1人平均が年間12万5000円、国の総額は日本とケタ違いの30兆6000億円で、寄付者率は63%にも上っています。
イギリスは1人平均7万4000円、総額1兆5000億円ですが、寄付者率はアメリカを上回る69%です。
この両国に比べてしまうと、日本の寄付文化は遅れていると言われてもしかたないのかもしれません。
もっとも平均というのはクセモノで、一部の大口寄付が全体の平均を押し上げてしまうので、寄付者率のほうが寄付文化を反映すると言えるかもしれませんが、その寄付者率の数字も日本は芳しくありません。
お隣りの韓国は1人平均9000円、総額6700億円で、日本のほうがいい数字ですが、寄付者率は35%で日本を上回ります。
利他の精神が金額ありきではないのはもちろんのこと、どれだけの人が寄付をするかというのが寄付文化と言えますね。
▽世界寄付指数1位はミャンマー
イギリスの財団が世界人口の95%に当たる139カ国を対象に調査した「世界寄付指数」を毎年公表しています。
この指数は、見知らぬ人を助ける、金銭の寄付、ボランティアに費やした時間の3項目から算出されます。
2017年のデータによれば、トップはミャンマーでインドネシア、ケニア、ニュージーランド、アメリカと続き、日本は111番目、ミャンマーは4年連続の1位でした。
決して豊かとは言えないどころか、1日の平均賃金が日本円換算で400円足らずのミャンマーがどうして指数1位なんでしょう。
ミャンマーの人口5000万人の9割が仏教徒であり、「自利利他」の考えが浸透し、寄付が生活の一部になっているためと思われます。
象徴的な寄付が修行僧へお金や物を奉仕することですが、これは修行僧を喜ばせるためではなく、自分が現世で功徳を積むことによって、来世での生まれ変わりをより良いものにしたいという願いのためだそうです。
そのためか、奉仕を受けた修行僧も特に感謝する様子もありません。
奉仕は自分の来世のためで、奉仕を受けた側は功徳を積む機会を提供していることになるので、立場はイーブンであり、ある意味ではギブアンドテイクの行為と言えますね。
どうしても見返りを求めてしまうのが「人間の性(さが)」、「自利利他」の精神はそれを見抜いていたと言えますね。
■最後に
最近、「自利利他」を企業理念に掲げる会社が増えたような印象があります。
理念の言わんとするところはわかりますが、上場していれば数字が何よりも評価されてしまい、「利他」の精神が具体的にどう表せるのか簡単ではありませんね。
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