ニュース等でよく耳にする「未明」という言葉。
他にも「深夜」や「夜更け」等、夜の時刻を表すのに用いられる言葉がいくつかありますが、これらはいったい何時を指し、どのように使い分けているのでしょうか。
その違いについてまとめます。
目 次
未明とは何時?
辞書によると、午前3時~日の出前とあり、夜がすっかりとは明けきらない時分、明け方に空が白み始める前の時間帯としています。
一方、ニュースや気象庁の天気予報等の報道では、午前0時~午前3時頃までを指し、午前3時頃~6時頃までは明け方としています。
夜更けとは何時?
辞書には深夜、夜も非常に遅くなった時、夜が更けること、夜が更けた時とあります。
「更ける」とは、時間が経過して真夜中に近くなる、夜が深まるといった意味があり、これといった時刻を指す時に使われることはないようです。
夜中とは何時?
辞書では夜の間、夜分、一晩中、終夜、夜もすがらとあります。
他にも夜のなかば、夜更け、夜半ともあり幅広い時間帯の意味を持つようです。
「夜中じゅうずっと~していた」等と使われるように、他の表現と比べてみても長い時間帯を表すことが分かります。
真夜中とは何時?
真夜中は、夜中を強調した言い方とのことです。
夜の折り返し時刻となる午前0時の前後30分間くらいを指すことが多いのですが、夜中よりも更に遅い時間として捉え、午前3時頃を指すこともあります。
深夜とは何時?
辞書には夜更け、真夜中とあります。
「深夜料金」や「深夜営業」等といった他の語との複合形で使われることが多く、文章語としては深更(しんこう)が用いられることもあります。
労働基準法では、午後10時~午前5時までを深夜業としていて、この時間帯を基準にタクシー等のサービス業では深夜割増料金を設定していることがあります。
青少年保護育成条例では、青少年単独の深夜外出禁止時間を午後11時~午前4時までと規定している地方公共団体が多いです。
テレビやラジオ等の深夜放送は、午後11時もしくは午前0時~午前5時頃までの時間帯を指すのが一般的です。
法令やメディア等で時間帯が分かれるようですね。
夜半とは何時?
辞書では夜中、夜とありますが、こちらも日常語としてはあまり用いられず「夜半の大雨」等のように、主に文章語として使われる言葉です。
夜の中間を表していて、真夜中と同様に午前0時の前後30分間くらいを指すことが多いです。
ちなみに、それぞれを英語に直訳すると、
未明はEarly morning、
夜更けと深夜はLate at night、
夜中と真夜中と夜半はMidnight
となり、同じ意味とされている言葉でも使い方や時間の幅に違いがあるといった印象を受けました。
そして未明は夜というより、やはり明け方近い時間帯の意味が強いことが分かります。
NHK放送文化研究所の全国調査でも、一般的に未明は午前2時台~午前4時台という認識が高く、報道等で午前0時~午前3時頃として使われることとの差が目立つ結果となったそうです。
その他の調査結果ですが、夜中は午後11時台~午前2時台、深夜は午前0時台~午前2時台と確かに未明程の認識の差はないように思います。
実際に、私も未明についてはニュース等で使われるイメージで、夜中の0時以降の暗い時間帯という曖昧な感覚でしかありませんでした。
なぜこの認識の差が生じたのかですが、電気の普及によって活動する時間が幅広くなり、特に夜の時刻を表す言葉は個人差やずれが生じるようになったことが考えられます。
また、正確な定義がある訳ではないので感覚的な違いが出てくること、日本語の表現が細かいということも要因として考えられるのではないでしょうか。
この先も時代の流れによって、認識の違いや言葉の意味が少しずつ変わってくるのかもしれませんね。