署名捺印や記名押印の違いについてご存知でしょうか?
書類などで見かけることが多いこの言葉ですが、それぞれ署名・記名・捺印・押印ごとに効力・証拠能力が異なる場合が多いです。
何かとスルーしてしまいがちなこの言葉たちですが、大切な契約書類などで使われることが多いので、実際どのような使われ方をするのか、効力などを含めてご紹介していきたいと思います。
目 次
署名とは
まず最初にご紹介するのは署名です。
署名はどちらかというと、契約書やちょっとした確認書などとても重要な場面で登場してくることが多いです。
署名は、本人が直接自筆で記入するものに使われることがほとんどです。
その人によって字の特徴・筆圧なども大きく異なるので、執筆鑑定で本人であることがしっかりとわかります。
証拠能力としては極めて高いので、要注意が必要です。
署名の使われ方
使われ方としては先ほども挙げたように、重要な契約書や確認書で使われることが多く、トラブルなどが起きた際に本人が自分で自ら記入したことを証明するものとなっています。
そのため、執筆鑑定などを出した際にその署名したことの証拠となるので、署名欄に名前を記入する際にはしっかりと物事を確認・把握してから記入する必要があります。
記名とは
次にご紹介するのは記名です。
署名と記名は同じような認識をされがちですが、記名と署名は能力の違いで言うと大きく異なります。
記名は自分だけでなく、他の人が記入しても大丈夫とされています。
簡単な書類の時には記名とされていることが多いのですが、記名の欄はパソコンで入力したりすることもあるほどです。
さらに、パソコンだけでなく、ゴム印などで記入されることが多いのですが、こちらもパソコン同様で記名の際だけで可能な方法となっています。
記名はご紹介したことからもわかるように、自身で自筆記入もあり得るのですが、契約者本人以外の第三者が記入する可能性があります。
そのため、証拠能力としてはやや低いです。
しかし、記名は少し特殊ではあるのですが、新商法第32条で記名と押印を合わせれば署名と同じ能力を持つとされています。
そのため、記名押印が合わさった場合は署名と同じ条件と見なされるため、契約書などでも十分な証拠能力が存在するようになります。
このことからもわかるように、書類の際に記名と書かれている場合だけではそこまで強い証拠能力を持たないのですが、記名と押印が求められる際には十分な証拠能力が出るため、記入する際には細心の注意を払う必要があります。
記名の使われ方
記名の使われ方は主に署名以外で当事者、契約者・確認者の名前が必要な場合です。
先ほどもご紹介しましたが、簡単な書類の際に記名と書かれていることが多いのですが、記名と押印が合わさる場合は重要な種類に代わります。
そのため、記名と書かれているからと言ってそこまで確認せずに記入して放置しないように注意しましょう。
署名と記名の違いを把握していれば万が一の時も対処できやすい上、誤った記入は避けやすいです。
捺印とは
次にご紹介するのは捺印です。
捺印と押印も意外と同じような認識をしている人が多いのですが、こちらも署名と記入が違うように、捺印と押印では証拠能力・効力の違いが大きく異なります。
捺印と押印は印鑑・判子を押すという意味では全く変わりないのですが、捺印は署名捺印の略称として使われることが多いです。
そのため、署名をする必要があるものに対しては捺印が求められる場合が多いです。
このことからも十分わかるように、捺印は主に署名の時に登場してくるのですが、手書き・自筆での名前記入と判子を押す(捺印)がセットになる場合がほとんどです。
捺印の使われ方
捺印は先ほどもご紹介したように署名と一緒に出るものがほとんどです。
判子を押す際に登場するのですが、署名と一緒に捺印することによってかなりの効力になります。
署名捺印が必要な書類は大切な契約書類・確認書類であることが多いので、トラブルが起きた際などでは執筆鑑定などを行われやすいです。
そのため、捺印する際にもしっかりと書類等確認事項を確かめてから捺印するようにしましょう。
押印とは
次にご紹介するのは押印です。
押印も先ほどご紹介したことからもわかるように捺印と意味自体は一緒です。
押印の場合は記名押印の略称とされているため、記名と一緒に使われることがほとんどです。
しかし、途中でもご紹介しましたが、押印の場合は記名と合わせることによって署名と同様の効力が生じます。
そのため、記名だけだと第三者の介入があるのですが、押印も合わさるとその人が確認して判子を押したということになるので、要注意が必要です。
捺印と押印では同じ意味合いになるのですが、署名と記名で異なるように、証拠能力でいうと押印よりも捺印の方が上の場合が多いです。
押印の使われ方
押印の使われ方は捺印ではないものと考えるのがわかりやすいです。
意味としては一緒なのですが、やはり書類証拠の能力・効力としては大きく異なります。
そのため、簡易的な書類の場合は押印で済まされる場合が多いです。
しかし、途中でご紹介したことからもわかるように、押印と記名を合わせると署名と同等の高い効果も存在しますので、押印だからと言って侮らないようにしましょう。
書類系はやはりしっかりと確認してから押印するのが好ましいです。
効力の違い・証拠能力の順位
次は効力や証拠能力の違いについてご紹介したいと思います。
効力や証拠能力については途中でもご紹介したことからもなんとなくお分かりいただけると思いますが、捺印・押印があるかが大きなポイントとなります。
今回ご紹介している署名・記名・捺印・押印だけでいうと、効力や証拠能力の順位は次のようになります。
1位 署名+捺印
2位 署名
3位 記名+押印
4位 記名
このようになっています。
捺印だけや押印だけはほとんどないと思います。
そのため、上記の順位を見ていただいてもわかるように、自筆で名前を書いているか、捺印や押印をしているかがポイントになるといえます。
記名だけならば問題ないのですが、3位以上の順位はどれも高い証拠能力が存在するため、注意するようにしましょう。
特に、一番上でもある署名と捺印はとても高い証拠能力となりますので、重要な書類ぐらいでしかあまり使われませんが、署名捺印をする場合は極力すべての事項をしっかりと確認してから記入するようにしましょう。
小さい文字などで記入されていることなども目を通しておくと万が一の際にも対応できやすいです。
さらに、もう一つ注意していただきたいのが署名と、記名+押印です。
こちらも途中でご紹介したことからもわかるように、記名+押印で署名と同じような高い効力があるのですが、記名+押印と署名では署名だけの方が効力が高くなります。
押印しているから記名+押印の方が高い証拠となりそうなイメージがありますが、署名だけの方が効果効力としては高いのでこの点も要注意です。
シャチハタは使えるのか
シャチハタは捺印押印の際に使えるのか気になる人もいると思います。
捺印押印は意味としては判子を押す行為なので、シャチハタは使えます。
しかし、捺印押印が必要な物は少なからず、書類や契約書だと思います。
シャチハタは長期保存にはあまり向かないので、残すような書類だと適さない場合がほとんどです。
事前にシャチハタ不可などが書かれていることなどが多いですが、分からない場合は極力シャチハタを避けるのが好ましいといえます。
簡易的な承認などの判子の場合はシャチハタで大丈夫です。
「まとめ」署名捺印・記名押印を知って!
署名捺印・記名押印についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
名前や意味合いがかなり似ていることから同じような認識をしてしまいがちですが、ご紹介したことからもわかるように、効力・証拠能力は順位がつくほど大きく異なります。
そのため、書類に記入する際にはしっかりと確認してから署名捺印・記名押印するようにしましょう。