丑の刻参りというと、丑の刻の時間に行う日本の呪いの一つとされていますが、実際にどのようなものなのか詳しくご存知の方は少ないとされています。
昔から存在する呪いの儀式ですが、実は時が経つにつれて徐々に内容が変化しているものでもあります。
そこで、実際に丑の刻参りとはどのようなものなのかご紹介していきたいと思います。
目 次
丑の刻参りとは
まず最初に丑の刻参りについて簡単にご紹介したいと思います。
丑の刻参りとは先ほども触れたように呪いの儀式の一種でもあります。
この丑の刻参りは江戸時代より前から存在していたとされ、江戸時代になってようやく格好ややり方が確立されたとされています。
丑の刻参りは「丑の刻」にやる必要があったことから名前が来ています。
丑の刻とは十二時震の一つで、「1時から3時」までの時間帯を指します。
丑の刻の時間に行うのは多くの方がご存知ですが、さらに正確にご紹介すると丑三つ時に行うとされているので、「2時から2時30分」までの間に行う必要があります。
このことから別名「丑三つ参り」と呼ばれることがあります。
丑の刻参りのやり方
丑の刻参りをやる場合は先ほどもご紹介したように江戸時代以降から格好ややり方が定められています。
徐々に変化しているものの、大まかな部分は同じです。
まずは、藁人形と五寸釘と金槌を用意します。
夜中に神社に訪れ、丑の刻の時間帯に相手の事を考えながら神社の神木に藁人形を押し当て釘を打ちます。
この行為を連夜7日間続ける必要があるのですが、この丑の刻参りを行っている姿は見られてはいけないとされています。
藁人形には相手の写真や名前をつけて釘を打ち付ける必要があるのですが、最近では呪いたい相手の髪や爪といった体の一部を藁人形に入れる必要があると言われています。
誰にも見られずに7日間行うことができれば呪いは成功とされているのですが、昔ではさらに寝そべっている黒牛を跨ぐと成功とされています。
丑の刻参りの格好
次は格好について詳しくご紹介したいと思います。
丑の刻参りの服装は有名なので、多くの方もご存知だとは思いますが、まずは白装束を用意する必要があります。
足元は一本歯か長下駄を履き、頭には鉄環か五徳をかぶります。
この頭にかぶっている鉄環または五徳には3本のろうそくを立て、鬼をイメージした姿になります。
さらに、首元には魔除けの鏡、口元には櫛、肌は白粉を、口の中はお歯黒にして口紅を塗る。
このような格好が丑の刻参りの定番の格好とされています。
さらには懐に守り刀を忍ばせておくという話もあります。
地方によってはさらに格好にも変化がありますので、地元で丑の刻参りの専用格好などがありましたらそちらをご参考いただけたらと思います。
丑の刻参りが現代の形になったのが、宇治の橋姫の話をモチーフにした室町時代の能の「鉄輪」とされ、その様子を描いたのがこちらの動画です。
藁人形とは
藁人形は普段作る機会がほとんどないと思います。
藁人形の作り方は次のようになっています。
- 20㎝から30㎝程度にした藁の両端を括り付けます
- ①の藁の束を二つ用意します。
- 十字架のように藁をクロスさせ、重なっている部分を紐でしっかりと固定します。
- 十字架のように作ると長い部分ができると思いますが、長い部分を半分に裂きます。半分にすると足ができるので、それぞれ端を括ります。
これで藁人形の完成です。
先ほども触れたように、呪いたい相手の写真や名前をつけて藁人形に5寸釘を打ち込みます。
効果を高めるには相手の髪や爪を入れてるらしいですが、真似はしないでくださいね。
丑の刻参りと貴船神社
丑の刻参りは貴船神社が最も有名です。
というのも、「宇治の橋姫」が大きく関係しているのですが、橋姫がこの貴船神社にて呪いを行ったとされています。
宇治の橋姫は元々妬みやすい女性・鬼神とされ、自分が祀られている橋の上で他の端を褒めると嫉妬されるという伝承が残されているほどです。
さらに、貴船神社は今でこそ呪いの場所、丑の刻参りで有名な場所とされていますが元々は祈願成就「願いが叶う」場所として有名でした。
この願いが叶うという事から相手が憎くて呪う人が出始め、効果があったという噂から丑の刻参りを行う人が増えたとされています。
藁人形の呪い返しとは
次は藁人形の呪い返しについてご紹介したいと思います。
この丑の刻参りの呪いではいくつか決まりごとが存在します。
- 藁人形を打ち込むときは7日連続行う
- 丑の刻の時間に行う
- 丑の刻参りを行っている姿は他の人には見られてはいけない
このような決まりとなっています。
この決まり事を誤ってしまうと呪いは成功しないと言われ、特に3番目の他の人に見られてしまった場合は、相手の事を呪おうと丑の刻参りをしていた人に呪いが跳ね返ってくると言われています。
これが藁人形の呪い返しとされています。
丑の刻参りをするとどのような呪いの効果があるのかというと、最悪相手を亡き者にするほどの呪いの効果があるという噂があり、釘を打ち付けた部分から奇病が発生するとも言われています。
今でこそ相手を呪う儀式となっていますが、元々は自分が鬼になるという儀式だったとされています。
丑の刻参りに遭遇・見てしまったら
注意しないといけないのが丑の刻参りをしているところを遭遇してしまった・見てしまった場合です。
というのも、先ほども触れましたが、丑の刻参りでは他の人に見られてはいけないという決まりごとがあります。
他の人に見られてしまった場合は効果を失ってしまい、最悪自分に呪いが跳ね返ってくるので丑の刻参りをしていた人からすれば、見られた場合は最悪の状況と言えます。
藁人形の呪い返しを受けないためにも万が一遭遇・見られてしまった場合はその人をあやめることで回避できるとされています。
そのため、遭遇してしまった場合や見てしまった場合は大変危険なので、すぐさまその場を離れるようにしましょう。
丑の刻参りで追いかけられることがあったら
丑の刻参りを目撃してしまった場合、ほとんどの人が追いかけられると思います。
このような場合は全力で逃げましょう。
相手は人を憎くて呪いの儀式をやっている人で、相手をあやめたい気持ちで行っている人も多いです。
その呪いが当然自分に返ってくるとなると、見た人をあやめて自分に来ないようにしたいと考えるのがほとんどだと思います。
そのため、相手は全力で追ってくると思いますので、相手を捲くことができるように逃げましょう。
難しいとは思いますが、できれば見たことを忘れるようにした方が安全のためでもあります。
丑の刻参りの効果はあるのか
丑の刻参りについて効果は本当にあるのかどうかは実際にはわかりません。
というのも丑の刻参りは人に見られてはいけないという決まりがあるように、人に言っても効果がなくなるとされています。
そのため、仮に本当に呪いの効果が対象に起きた場合でもその人しかわからないと言えます。
丑の刻参りは昔からある憎い相手を呪う儀式ですが、今もなお信じている人もいるようなので、くれぐれも注意するようにしましょう。
「まとめ」
丑の刻参りについてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
丑の刻参りと聞くと物騒なイメージを感じる方も多いと思いますが、その内容を開けてみれば古い歴史のある呪術とされています。
実際に信じて実行する人もいるほどなので、皆さんも丑の刻参りを行っている場面に遭遇しないようにくれぐれも気を付けていただけたらと思います。
万が一、丑の刻参りをする場合は実行犯、犯行未遂にはなりませんが、激しい犯行動機などがあれば違う方で裁かれる危険性があるので行うのはやめておきましょう!