「11月8日 レントゲンの日」
■はじめに
筆者が足の小指を骨折した際、レントゲン写真には外側に向かって45度きれいに折れた小指がクッキリと写っていました。
最近、薬をもらう月1の通院の折でしたが、コロナで閑散とした院内で先生は手持ち無沙汰の様子。
「あんまりヒマだから、たまには胸のレントゲンでも撮ろうか」と先生。
「血糖値と血圧なんだから関係ないじゃん。ヒマつぶしで撮られても…」と、これは声には出せない筆者。
すぐに現像された胸の写真、骨はわかるものの、以前の小指のような明瞭写真ではなくて、全体的に白くぼんやり。
「おお、異常なし!」と太鼓判でしたが、素人には判別不能、スッキリとはしませんでした。
目 次
レントゲンの日とは
1895(明治28)年11月8日、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲン博士(1845~1923)がX線を発見しました。
この発見は医療を大きく変えたほか、後に放射能、放射性元素、電子の発見につながるなど、科学界への多大な貢献となり、1901年に第1回ノーベル物理学賞を受賞しています。
このX線発見の日を記念し、11月8日は世界中で「レントゲンの日」と呼ばれていて、日本が勝手に制定したものではありませんね。
もっとも、日本放射線技師会は毎年11月2日からの1週間を「レントゲン週間」に制定していますが、米の放射線技師協会も「National Radiologic Technology Week」を設けています。
■レントゲンの日の意味と由来
レントゲン博士がX線を発見したのは偶然の産物だったと言えるかもしれません。
博士が別の研究のために、2本の金属電極を封入した真空管に高電圧をかけたところ、たまたま近くに置いてあったシアン化バリウムを塗った蛍光板が発光しました。
この現象の理由を確かめようと、蛍光板の前に1000ページの本を置いても同様に光り、実験を続けるうちに博士は、紙や木を透過するものの、骨や金属は透過しない不思議な放射線が出ていることを発見します。
博士は写真乾板の上に妻の手を置き、この放射線を15分間照射したところ、指の骨と結婚指輪がハッキリとした黒い影となって現れました。
この放射線の正体までは解明できませんでしたが、博士は「X線」と名付け、ビュルツブルグ物理医学会へ「放射線の一新種について」と題した論文を提出、会報に掲載されたことで、専門家の反響を呼び、翻訳され世界中に知れ渡ることになります。
■レントゲンの日のイベント
毎年の「レントゲンの日」や「レントゲン週間」には、放射線学会をはじめ医療関係団体や医療機器メーカーなどが、放射線医療をもっと知ってもらい、正しい医療を受けてもらうため、全国各地で市民公開講座を開催しています。
レントゲンの日の雑学
▽X線はなぜ骨を透過できないのか
X線は波長が極端に短い光の一種で、波長が短いほど物を通り抜けやすくなります。
光を波長が短い順に並べてみると、
X線→紫外線→紫→藍→青→緑→黄→橙→赤→赤外線→電波
となり、紫から赤までは目に見える可視光線なので、「色」と呼ばれていますね。
X線が臓器を透過できるのは、波長が短いために臓器の原子と原子の間を通り抜けることが可能で、歯や骨を透過できないのは原子密度が高く、さすがのX線も跳ね返されるせいですね。
紫外線の波長もかなり短いですが、X線よりは長いために体は透過できず、皮膚の奥までがやっとのところで、それが日焼けの原因になります。
▽なぜ正体不明が「X」なのか
レントゲン博士は放射線の正体が不明だったため「X線」と命名しました。
この「正体不明=X」は現在にまで引き継がれていて、「Xデー」「ミスターX」や「遊星からの物体X」なんて映画もありました。
この理由として言われているのが、フランスの数学者であり、近代哲学の祖として知られるルネ・デカルト(1596~1650)が、数学で未知数を「X」と表記したのが広まったためと言われています。
では、なぜデカルトがYでもZでもなく「X」を選んだのかは不明のままですが、印刷所に使用頻度の少ない「X」が大量に余っていたからという植字説が有力です。
さて、真偽のほどはどうでしょうか。
また、「未知のもの」をギリシャ語で「xenos」と言うことから、その頭文字の「X」が由来と主張する研究者もいますね。
■最後に
ところで、「Xmas」の「X」は正体不明ではなくて、キリストを「X」と略す文化が数百年前のギリシャにあったからだそうです。
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