「２月１日 琉球王国建国記念の日」
■はじめに
Googleは世界各地の3000人余から提供された首里城の写真を３D復元モデルとして再構築し「在りし日の首里城」として、19世紀の鳥瞰絵図や最近の空撮画像などを公開しています。
あまり興味もなかった首里城ですが、焼失したとなると全容を見たい思いにかられます。
目 次
琉球王国建国記念の日とは
２月１日は沖縄県観光事業協同組合が制定した「琉球王国建国記念の日」です。
琉球王国は1929年から450年間続いた王朝で、明治政府の廃藩置県政策によって沖縄県となりました。
■琉球王国建国記念の日の意味と由来
沖縄県で約１万8000年前の旧石器時代の人骨が発掘されたことや、東南アジアの動物の化石が発見されていることから、約１万年前までの琉球列島は大陸とつながっていたというのが定説になっています。
このことが沖縄人は大陸から渡って来たと言われる所以です。
当時は魚介類を獲る暮らしでしたが、やがて農耕文化の生活になったことで村社会が形成され、各地には按司（あじ）と呼ばれる有力者が出現、沖縄本島を北、中、南に三分する勢力争いが勃発する「三山時代」が始まります。
沖縄観光の目玉のひとつである石垣「グスク」はこの争いの副産物ですね。
1429年、ようやく按司のひとり尚巴志によって琉球が統一され、明王朝の宣徳帝から届いた琉球王国認定書にある日付が２月１日でした。
統一は1425年という説もありますが、どっちにしても２月１日は間違いないため、
「琉球王国建国記念の日」とされました。
琉球王国は中国や朝鮮、東南アジアなどとの貿易が盛んな海洋王国で、首里城は国家の繁栄を象徴する存在でした。
しかし、1609年に薩摩藩が琉球に侵攻、首里城を占拠するに至り、江戸幕府から琉球支配を認められた島津に統治されることになりました。
まだ形としては独立国家として存続してはいたものの、事実上は植民地であり、栽培されたサトウキビのほとんどは薩摩藩に搾取され、島民の暮らしは貧しいままでした。
やがて廃藩置県の８年後の1879（明治12）年、明治政府が軍事力によって国王尚泰を追放し、沖縄県を設置したことで琉球王国は滅亡することになります。
■琉球王国建国記念の日のイベント
毎年の「琉球王国建国記念の日」には、新国王が中国の冊封使（中国皇帝が属国の王へ派遣する使節）から戴冠される場面を再現するセレモニーが実施されています。
この再現を特別道ジュネーと言い、道ジュネーとはエイサーとともに行われる先祖供養の芸能や祭りの練り行列のことで、通常は旧暦７月の実施ですが、２月なので「特別」の２文字が冠されています。
琉球王国建国記念の日の雑学
▽首里城再建費用は200億円
2019（令和元）年10月31日未明、首里城に史上５度目の火災が発生し、正殿をはじめとする６棟が全焼しました。
もちろん再建への動きはすぐに始められており、那覇市のクラウドファンディングでは即座に６億円が集まり、１年後には50億円を突破しました。
しかし、前回1992年の再建では約73億円がかかったそうで、今回はより被害が大きいことから200億円は必要だと推測されていますが、保険会社の支払額は70億円が限度額のようです。
政府の支援は首里城復元費用と関連事業に対し38億円が計上されていますが、今後は再建費用も高騰すると思われ、財源の確保が依然として最大の課題ですね。
ここでも沖縄と政府の関係が影を落としているようです。
▽西郷の島妻「愛加那」と薩摩藩法
西郷隆盛が流刑先の奄美大島で妻として迎えた「愛加那」が長男を産み、２人目を身ごもった直後、西郷は藩に戻ることになりました。
やがて西郷が２度目の流罪から復権すると、のちに京都市長となる長男菊次郎と長女菊草は鹿児島の西郷家に引き取られました。
しかし「愛加那」はとうとう鹿児島を見ることもなく、島で生涯を閉じることになってしまいます。
これは西郷が呼び寄せなかったわけではなく、薩摩藩の掟が妨げになったからでした。
薩摩藩には領内の遠くの島に滞在する場合には、正妻のほかに「島妻」を認める藩法があり、島妻との間に生まれた子は薩摩で教育を受けられても、島妻は薩摩に連れ帰ることはできない、というものでした。
ここにも薩摩と琉球の関係が現れています。
■最後に
首里城焼失からちょうど１年、琉球王国末期を描いたNHKドラマ「テンペスト」全10話が再放送されました。
録画はしたものの、なんとなく観るきっかけがなくてHDに入ったままになっています。
首里城で撮影された場面も多いそうなので、「琉球王国建国記念の日」からでも観始めようかと考えています。
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