「3月27日 世界演劇の日」
■はじめに
筆者は高校時代、文化祭の出し物「模擬裁判」で検事に扮したことがあります。
大勢の前でけっこう多くのセリフを言うのは初めてで、開演前はひどく緊張しましたが、進行するにつれ余裕も出てきて、被告のセリフ忘れもうまくカバーできるようにもなりました。
セリフを言うたびに観客の視線を感じ、いつの間にかそれが心地よいものにも感じられました。
多くの俳優が「舞台は一度やったらやめられない」と言いますが、僭越ながら、その気持ちはよくわかります。
目 次
世界演劇の日とは
3月27日は「世界の舞台人が舞台芸術への想いを共有し、舞台芸術を通して世界の平和を願う」との趣旨で制定された「世界演劇の日」です。
■世界演劇の日の意味と由来
これは1961年6月、ユネスコの外郭団体である国際演劇協会世界会議の席上で、フィンランド代表のアルヴィ・キヴィマー氏が「演劇を通じて世界平和や文化について考えよう」と提案したことが発端となって制定されたものです。
翌年の3月27日には早速、第1回の記念イベントが開催されたことが由来となって、以来「世界演劇の日」は3月27日とされています。
■世界演劇の日のイベント
「世界演劇の日」というよりも「ワールド・シアター・デイ」のほうが耳になじんでいる気がします。
とは言え、そもそも舞台芸術から始まった記念日であるうえ、どこからどこまでが「演劇」なのか明瞭ではないこともあって、映画に比べると「舞台芸術」の敷居が高いことは否めませんから、「ワールド・シアター・デイ」の認知度も今一つといったところでしょうか。
世界ではこの日に様々なイベントが開催され、毎年、各国の舞台人がこの日に寄せたメッセージを発信しています。
1962年の第1回には劇作家ジャン・コクトー(仏)、翌年の劇作家アーサー・ミラー(米)をはじめ、近年にはジュディ・デンチ(英)やイザベル・ユペール(仏)、ヘレン・ミレン(英)といった女優さんが演劇と平和への想いを寄せています。
(つい女優さんとしましたが、今はジェンダーレスという考えから俳優と統一されていますね)
残念ながら、日本ではよほど演劇が好きな人でもない限り、この日のイベントは見つけられないようですが、「舞台芸術を未来に繋ぐ基金」によって2021年に設立された一般社団法人「未来の会議」が2022年3月下旬を「ワールド・シアター・ウィーク」として、歴史や海外作品の翻訳、劇場設備、チケット販売など舞台芸術をもっと身近に感じられるような対談を連日開催しました。
世界演劇の日の雑学
▽歌舞伎の原型は出雲の阿国の念仏踊り
もちろん異論はあると思いますが、演劇の定義を「観客に見せる」「物語性がある」「再現できる」とするならば、日本の演劇の始まりは観阿弥、世阿弥の「能楽」でしょう。
しかし、この定義に「大衆文化」を加えると、武士のたしなみといった色合いの濃い能楽とするにはいささか疑問も出るため、戦国時代に出雲の阿国(おくに)一座が始めた「念仏踊り」が後に「歌舞伎」になったことで、これを演劇の始まりとする説が有力になっています。
この念仏踊りは阿国が伊達男に扮して、恋心をいだいた娘を追い掛け回すというもので、こうしたセリフのあるストーリー性と前代未聞の男装の女性ということが評判を呼びました。
現在、京都・鴨川沿いの四条河原には阿国の銅像と「歌舞伎発祥の地」という石碑が建てられているので、たしかな話なんだろうと思います。
こうした評判は当然、阿国一座の亜流を乱立させ、踊りもエロチックにエスカレートするに及び、風紀紊乱として幕府によって禁止されてしまいます。
それではと、今度は美少年が踊る「若衆歌舞伎」が登場しますがこれも禁止され、ついには前髪を剃り上げた男たちによる「野郎歌舞伎」となって、江戸庶民の文化として根付くことになりました。
これが現在の歌舞伎の原型になっています。
ところで、阿国一座の念仏踊りは、男装の女性が肌をあらわに太ももまで見せたことから「アホウな踊り」とも呼ばれ、それが徳島に伝わったところで「アホウ踊り」が「アワ踊り」と、呼び名を少し変えたという説もありますね。
■最後に
その昔、筆者は友人に誘われて、名前は忘れましたが、小さな劇団の公演を見に行ったことがあります。
東京・新宿の裏通り、小さなビルの地下にあった劇場は、舞台も椅子席もない20畳にも満たないスペースで、観客は30人ほどだったでしょうか。
聞けば、そのほとんどは演者のアルバイト先のラーメン屋や酒屋の主人と家族、同僚たちで、そのためか観客の拍手も温かく、若者の熱気に満ちていました。
こうした若者たちの情熱が裾野となって日本の舞台芸術を支えていたんですね。
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