街路樹として植えられ、春には淡く春らしい色の花をさかし、秋には赤く紅葉するハナミズキ。
街中で白やピンクの花が咲いているところを、見たことがある人も多いかもしれません。
アメリカでは州花、日本では市の花、市の木と制定されているところも多いです。
そんなハナミズキには、キリストにまつわる悲しい過去がありました。
目 次
ハナミズキとは
ハナミズキは北アメリカが原産の花です。
北アメリカの中でも、東海岸周辺に自生しています。
山岳部や西海岸の方では、自生するハナミズキを見ることはできません。
広い北アメリカでは、南部は春先に開花し、北部では春の終わりから初夏にかけて開花します。
日本で言う桜前線のように、「ハナミズキ前線」というものが発表されるほどです。
日本でサクラが愛されるように、北アメリカではハナミズキがその役割を果たします。
ハナミズキは基本白色の花で、4月から5月にかけて開花します。
白以外には、赤やピンクといった花色があります。
一般的に花びらと思われている白や赤、ピンクの部分はガクです。
実際の花とされるのは、中央部分にいくつも咲く小さな花です。
秋には、葉っぱが紅葉し、朱色の実をつけます。
実は毒などはありませんが、苦みがあり食べることはできません。
ハナミズキの名前の由来
ハナミズキの名前は、いくつかの由来があります。
ハナミズキは、ミズキ科の植物です。
同じミズキ科のサンシュユやヤマボウシなどの植物よりも、特別花が華やかで目立ちます。
そのことから、ハナミズキという名前がついているとされる説です。
もう1つの説は、ハナミズキの木がたくさんの水分を含んでいることに由来します。
ハナミズキは和名であり、「花水木」と書かれますが、名前に水がつくほど、木に水分を含みます。
花が開花する春先に、枝を伐採すると、切り口から水が落ちるほどです。
みずみずしい木ということにちなみ、ハナミズキと言うそうです。
日本では、アメリカヤマボウシという別名も存在します。
これは、同じミズキ科ミズキ属の植物で、日本に生息するヤマボウシという花に似ていたためつけられました。
西洋名は、「Dogwood(犬の木)」です。
Dogwoodの名前の由来もいくつかあります。
ハナミズキの樹液が、犬の皮膚病に効果が合ったことから、名づけられたという説です。
他にも、「dag」や「dog」は古い英語で、木の串を意味し、木の串を作るのに、丈夫な木であった、ハナミズキが使われたことに由来するとも言われています。
ハナミズキが誕生花となる日にち
3月18日、3月23日、4月23日、5月9日
ハナミズキの花言葉
「永続性」「私の想いを受けとめて下さい」「返礼」「華やかな恋」などがハナミズキの花言葉です。
西洋の花言葉は「durability(永続的)」、「love undiminished by adversity(逆境にも耐える愛)」、「Am I indifferent to you?(あなたに無関心とでも言うの?)」です。
「永続性」や「durability」は、ハナミズキの木が時間をかけてゆっくりと、大きくなることからつけられたとされます。
大きくなるのは他の木に比べると遅いですが、確実に育ちます。
「返礼」という花言葉は、日本にハナミズキの木が伝わったことに由来します。
日本にハナミズキが伝えられたのは、1915年にワシントンD.Cより寄贈されたことが最初です。
その3年前に日本からソメイヨシノを、ワシントンD.Cに寄贈しています。
ソメイヨシノのお返しの品がハナミズキだったそうで、これにちなみ花言葉に「返礼」となったそうです。
第二次世界大戦があり、そのほとんどが伐採されてしまいました。
唯一、東京都立園芸高等学校に、原木が残っています。
ハナミズキの色別の花言葉
ハナミズキには、一般的な白意外にも、赤やピンクの花があります。
しかし、花色別の花言葉は、つけられていないようです。
ハナミズキの怖い花言葉
「永続性」「華やかな恋」といった、好感のもてる花言葉が多いハナミズキです。
ハナミズキはお返しの木として、日本に贈られたように、プレゼントにも最適な花言葉ばかりです。
怖いイメージを持つ花言葉はないようです。
ハナミズキの言い伝え
ハナミズキには、イエスキリストにまつわる言い伝えがあります。
キリストがはりつけられている十字架は、ハナミズキの木が使われています。
その理由は、ハナミズキの木が大きく丈夫であったためです。
ハナミズキは、キリストをはりつけにしていることに罪の意識を感じ、とても悲しみました。
そこでキリストは、今後ハナミズキが十字架の木として利用されることがないように、細く曲がりくねった木に変えたそうです。
また、木の形を変えただけではなく、花もこの事実を忘れないために変えたと言われています。
花びらを4枚にし、十字架にみえるような形に変え、さらに、花びらの先端に釘を刺したあとをつけたそうです。
日本では、街路樹として親しまれているハナミズキです。
キリストの十字架として利用された悲しい過去だけでなく、日本でも第二次世界大戦のときに、ほどんどの木が伐採されてしまったという過去があります。
ハナミズキの木は、いくつもの困難をのりこえ、春の街を白やピンクの美しい花で彩っているのですね。