爽やかな五月晴れの下、色鮮やかに咲くツツジは今も昔も変わらず日本で親しまれている花です。
目 次
ツツジとは
ツツジは主にアジアで分布しており、ツツジ科ツツジ属で常緑性、落葉性の植物です。
日本でよく見られるヤマツツジは半常緑性でレンゲツツジは落葉性です。
草丈は50㎝~2mほどになります。
4月中旬~5月中旬に漏斗状の花を咲かせ、色はピンク、白、赤、紫などがあります。
また、グラヤノトキシンという毒を含んでおり、蜜を吸うなどして口にすると嘔吐、痙攣、下痢などの中毒症状を起こします。
ツツジの名前の由来
ツツジは漢字で「躑躅」と書くのですが、「躑(てき)」と「躅(ちょく)」には足踏みをする、足を止める、躊躇するという意味があります。
人々がツツジの美しさに見とれてその場で足を止めるという意味からついたと言われています。
他にも馬や羊が毒のあるツツジを食べて歩けなくなったことからその漢字が使われたという説もあります。
また、花が筒状の形をしていて、雄しべが突出していることから「筒しべ(つつしべ)」とも呼ばれ、ツツシベが変化してツツジになったという説もあります。
そして、英語名では「アザレア」と呼ばれており、ギリシャ語で「azaleos」=「乾燥」という意味があります。
これはツツジが乾いた土を好むことからついたようです。
ツツジが誕生花となる日にち
4月9日、4月16日、5月1日、6月7日
ツツジの花言葉
ツツジの全般的な花言葉は「節度」「慎み」です。
ツツジは古くから日本で愛されてきたことが万葉集などからも読み取ることが出来ます。
古風な雰囲気を持つ花であることからこのような花言葉がついたのではないでしょうか。
確かにツツジの色はピンクや赤、紫などの鮮やかな色が多いものの、西洋的な派手さはなく、日本的な奥ゆかしい美しさがありますね。
ツツジの色別の花言葉
ツツジの色別の花言葉は以下のように分けられています。
白は「初恋」です。
白が持つ初々しい純白なイメージからついたのではないでしょうか。
赤は「燃える想い」です。
こちらも赤色が太陽のような情熱的な色であることからついたようです。
ピンクは「愛の喜び」です。
ツツジの代表的な色でもあるピンクは濃いものから淡いものまで様々な色があります。
愛らしいピンク色の花が次から次に咲く姿がこのような花言葉になったのでしょうか。
紫は「美しい人」です。
紫は高貴で上品なイメージがあることからついたのではないでしょうか。
ツツジの怖い花言葉
ツツジの怖い花言葉は特に無いようです。
ツツジの言い伝え
ツツジは多くの品種がありますが、その中で瓔珞ツツジ(ようらくつつじ)という品種があります。
瓔珞ツツジは壺のような形をした花を下向きにたくさん咲かせます。
ウラジロヨウラク
この瓔珞ツツジにはある伝説があり、まんが日本昔話にも登場しています。
【昔々、富士の裾野に松五郎という力持ちで心の優しい男が住んでいました。
松五郎は毎日炭を焼いており、白い煙を立ち昇らせていました。
その煙は遠い都の方からも見え、ある日、都の皇女さまがその白い煙について占い師に尋ねました。
占い師は「あれは皇女さまの婿になる方が立ち昇らせている煙です」と答えました。
皇女さまは婆や(ばあや)を連れてその煙を出している松五郎を求めて富士へと向かいます。
皇女さまは田舎育ちの素朴で優しい松五郎を気に入り、やがて二人は結婚しました。
結婚式には瓔珞(ようらく)という装身具を頭にかぶりました。
それからふたりは仲良く幸せな生活を送っていましたが、ある日、皇女さまが重い病気にかかってしまったのです。
皇女さまは亡くなる前に「私が死んだら、瓔珞を峠の上に埋めて下さい」と頼みました。
その後、皇女さまは亡くなり、松五郎は遺言どおりに峠の上に瓔珞を埋めました。
松五郎は皇女さまがいなくなり、大層落ち込んでいました。
それから季節は巡り、ある時松五郎はその峠の上まで登りました。
すると、なんとそこには瓔珞に似た美しいツツジの花が咲いていたのです。
その花を見て松五郎は涙を流し、その場に倒れて後を追うように亡くなりました。
それ以来、土地の人々はそのツツジを「瓔珞ツツジ」と呼ぶようになりました。】
瓔珞ツツジは漏斗状に咲く一般的なツツジとは違い、ツツジらしくない花姿をしていますが、実はこのような悲しくて美しい昔話があったのですね。