マルメロは春になると白とピンクのグラデーションが美しい花を咲かせます。
そして、秋に実るその黄色い果実は「黄金のりんご」と呼ばれていました。
目 次
マルメロとは
マルメロは中央アジア原産のバラ科マルメロ属の落葉高木です。
マルメロ属はマルメロ以外は存在せず、日本では江戸時代にポルトガルから渡ってきました。
葉は白い毛に覆われており、4~5月頃に5㎝ほどの白にピンクがかかった色の花を咲かせます。
果実は熟す前は緑色で白っぽい軟毛に覆われていて、熟すと黄色い洋ナシ型になります。
また、果実はとても硬く酸味もあるため生食はできませんが、香りが良いので、果実酒やジャム、蜂蜜漬けなどに向いています。
かりんにもよく似ているため、別名「西洋かりん」と呼ばれ、長野県諏訪市などの一部の地域ではそのまま「かりん」と呼ばれています。
かりんとの違いは以下のようなポイントで見分けることができます。
・マルメロにはうぶ毛がありますが、かりんにはありません。
・マルメロの形は洋ナシ型ですが、かりんの形は楕円形です。
・マルメロの花はピンクを帯びた白ですが、かりんの花はピンク~紅色です。
・マルメロの葉はギザギザしていませんが、かりんの葉はギザギザしています。
マルメロの名前の由来
マルメロの名前はポルトガル語の「marmelo(甘いリンゴ)」という名前をそのまま日本語で読んだものになります。
本来、マルメロは果実の名前で、樹はマルメレイロと言います。
英語名では「quince(クインス)」と呼ばれていますが、はっきりとした意味はわかっていないようです。
マルメロが誕生花となる日にち
9月14日、12月6日
マルメロの花言葉の由来
マルメロの花言葉は「魅惑」「魅力」「幸福」「多産」です。
「魅惑」「魅力」の花言葉はギリシャ神話と関りがあります。
愛と美の女神アフロディーテに「黄金のりんご」と呼ばれるマルメロが贈られたという伝説があります。
アフロディーテはその美貌から結婚した後も何人もの愛人がいたということです。
そこからこの花言葉がついたと言われています。
「幸福」「多産」の花言葉はマルメロがたくさんの果実をつけることが由来となっています。
マルメロは古代ローマ時代にはすでに栽培されていたようで、アテネの人々は婚礼儀式として、花婿と花嫁が乗った馬車の中に親族や友人がマルメロを入れるという風習があります。
そして、豊富に実をつけるマルメロにあやかって、花嫁にたくさん子供が産まれるようにマルメロが贈られます。
16世紀のヨーロッパでは「妊娠中にマルメロをたくさん食べると頭の良い子が産まれる」と言われていたそうです。
また、先程の愛と美の女神アフロディーテは生殖と豊穣の女神でもあるので、そのことも関係しているかもしれませんね。
マルメロの色別の花言葉
マルメロの色別の花言葉は特に無いようです。
マルメロの怖い花言葉
マルメロの怖い花言葉は特に無いようです。
マルメロの利用
マルメロの果実は食物繊維、クエン酸、ポリフェノール、ミネラル、ビタミンなどの栄養が豊富で、中国ではマルメロに含まれるビタミンB5が咳止めに良いと言われ、用いられてきました。
マルメロに似たカリンも咳や喉に良いと言われています。
マルメロを使ったジャムもよく作られますが、ジャムといえばマーマレードが有名ですね。
このマーマレードの語源はマルメロであると言われています。
ポルトガルではマルメロを使って作ったジャムのことを「マルメラーダ」と呼んでいて、マルメロをオレンジに変えたものがいつしか「マーマーレード」と呼ばれるようになったそうです。
そして、マルメロが「黄金のりんご」と言われていましたが、一部ではオレンジも「黄金のりんご」と言われた説もあるようです。
マルメロは色々な神話にも登場していますので、それだけ歴史が長い植物であることがわかります。