子供の頃、甘酸っぱいザクロの果実を一粒一粒つまんで食べられた方も多いのではないでしょうか。
古くからザクロは日本や海外で子孫繁栄、豊穣の象徴とされてきました。
目 次
ザクロとは
ザクロとはミソハギ科ザクロ属の落葉小高木、およびその果実のことをいいます。
西南アジアや中東、南ヨーロッパ、北アフリカなど世界各国に分布しており、日本各地でも栽培されています。
高さは5~6mほどになり、葉はつやがあり、長楕円形になっています。
開花時期は6月頃で朱色の薄い花びらを6枚つけます。
そして、9~10月頃になると赤い果実をつけ、食用にもなります。
硬い皮と種を取り除いた種衣と呼ばれる部分が生食されたり、ジュースにされたりしています。
樹皮や根皮は漢方薬や駆除剤としても利用されてきました。
ザクロの名前の由来
ザクロの名前の由来はいくつかあり、一説では中国名の「石榴」が呉音されて「ジャクル」となり、それがなまって「ザクロ」になったという説があります。
「石榴」以外に「柘榴」と漢字で表記されることもあります。
別説ではペルシャ湾付近のザクロス山脈の辺りが原産地だったからという説もあります。
学名では「Punica(プニカ)」といいますが、これはラテン語の「Punicus(カルタゴの)」という意味からきています。
カルタゴ周辺がザクロの原産地であったことが由来となっています。
ザクロが誕生花となる日にち
8月7日、12月28日
ザクロの花言葉
ザクロの花言葉は全体的な花言葉の他に花、実、木にもそれぞれ花言葉がついています。
全体的な花言葉は「子孫の守護」です。
実の中にたくさんの種子があることからつきました。
ザクロの花の花言葉は「円熟した美しさ」「愚かしさ」です。
これはあるギリシャ神話が由来となっています。
豊穣の女神デメテルの娘ペルセポネに恋をした冥界の神が、彼女をさらってザクロを食べさせます。
冥界ではザクロを口にすると、しばらくそこにとどまらなければならないという決まりがありました。
そのため、ペルセポネは母親と離れて1年の半分を冥界で過ごさなければならなくなったということです。
この時、うっかり食べてしまったペルセポネの「愚かしさ」が花言葉になっています。
「円熟した美しさ」はペルセポネの美貌を表しています。
そして、母であるデメテルは一年のうちの半分はペルセポネがいなかったため、落ち込んでしまい、太陽を出さなかったということです。
ザクロの実の花言葉は「結合」です。
これはザクロの実がぎっしりと並んで詰まっていることにちなんでつけられました。
ザクロの木の花言葉は「互いを思う」です。
ザクロの実と木の花言葉はこれから結婚する二人にふさわしい花言葉ですね。
ザクロの色別の花言葉
ザクロの色別の花言葉は特に無いようです。
ザクロの怖い花言葉
ザクロの花の花言葉で「愚かしさ」というネガティブな花言葉はありますが、怖い花言葉は特に無いようです。
鬼子母神(きしもじん)とザクロ
鬼子母神(きしもじん)という女性の神様をご存じでしょうか?
仏教の法華経でも大切にされている神様ですが、本来は母でもある鬼女でした。
1000人以上の子を持つ鬼女は子を育てるためにたくさん食べなければならず、人間の子をさらって食べていました。
これを知ったお釈迦様は鬼女の末子を隠します。
鬼女は狂ったように我が子を探しますが、見つからず、お釈迦様に助けを求めました。
お釈迦様は「たくさんの中の我が子がたった一人いなくなっただけでそんなに辛いのだから、たった一人しかいない我が子をおまえにさらわれた親はどれほど辛いかわかったであろう」と話し、末子を返しました。
それから鬼女は改心し、全ての子供たちを守ることを誓い、仏教で子供の守り神となったのです。
そして、この鬼子母神の手に持っているのはザクロの実であると言われています。
正しい名前は吉祥果(きちじょうか)という仏教上の架空の食べ物なのですが、なぜザクロと言われてきたのかは諸説あります。
まず一つはお釈迦様が鬼女との話の中で、人間の子を食べたくなったら、代わりに味が似ているザクロを食べなさいと教えたことからという説です。
そして、もう一つはザクロの実の中にたくさんの種子が入っていることが、子宝を連想させるという理由からです。
最近ではザクロを見かける機会も減ってきたのではないでしょうか。
甘酸っぱくて懐かしいあの味をいつかまた味わってみたいものですね。