花の特徴を見事にとらえた覚えやすい名前がついているタツナミソウは個性的なだけでなく、とても人々の役に立ってきた植物です。
目 次
タツナミソウとは
タツナミソウ(立浪草)はシソ科タツナミソウ属の多年草植物です。
主に日本、中国、朝鮮半島などの半日陰の山地に分布しています。
茎の先に長さ3㎝ほどの波が立ったような形の小花が集まって咲きます。
花期は4~6月頃で色は紫、白、ピンクなどがあり、花びらは唇形で点状の模様が入っています。
茎は真っすぐに伸びて毛に覆われています。
タツナミソウに似た花
以下のようなタツナミソウに見た目が似ている植物がいくつかあります。
【ナミキソウ(浪来草)】
シソ科タツナミソウ属で砂浜に自生する海浜植物です。
色は主に青紫色で6~9月頃に一方向に向かって2個の花を咲かせます。
【ヒメナミキソウ(姫浪来草)】
シソ科タツナミソウ属で花はナミキソウやタツナミソウよりも小さく、6~7ミリほどの長さになります。
主に白色の花が二つずつ並んで咲きます。
同じように小さな白い小花を咲かせる「シロバナタツナミソウ(白花立浪草)」というタツナミソウの品種もあります。
【コガネバナ(黄金花)】
シソ科タツナミソウ属で夏にタツナミソウによく似た淡い紫色の花を咲かせます。
名前の「黄金」は根が黄色であることからつきました。
タツナミソウと同じく、漢方の黄ごん湯や黄連解毒湯、葛根黄連黄ごん湯などに使われます。
【ミソガワソウ(味噌川草)】
シソ科イヌハッカ属で7~8月頃に紫色の唇形の小花が集まって咲きます。
葉をもむと独特な匂いがします。
タツナミソウの名前の由来
タツナミソウ(立浪草)は直立した小花が泡立つ波のように見えることからつきました。
別名では「ヒナノシャクシ(鄙の杓子)」とも呼ばれています。
由来ははっきりしたことはわかっていませんが、「鄙」は「素朴な」という意味があるようです。
形もどことなく杓子にも似ているような感じもします。
英語名では「Skullcap(スカルキャップ)」と呼ばれています。
これはぴったりとした縁なし帽子のことだそうです。
また、学名の「Scutellaria(スクテラリア)」は「小皿」という意味があり、これは花が散った後の萼が小皿のような形をしていることからついたようです。
この小皿のような形は縁なし帽子にも似ているように見えます。
タツナミソウが誕生花となる日にち
7月3日
タツナミソウの花言葉
タツナミソウの花言葉は「私の命を捧げます」です。
この花言葉はタツナミソウが漢方に用いられていることからついたと言われています。
タツナミソウは様々な効能があると言われており、発熱、悪寒などの風邪症状や胃腸障害などに良いとされてきました。
漢方名は「黄ごん(おうごん)」といい、黄ごん湯などにして服用されます。
また、外用薬として粉末状のものを直接患部に塗ることもあります。
タツナミソウの色別の花言葉
タツナミソウの色別の花言葉は特に無いようです。
タツナミソウの怖い花言葉
先程の「私の命を捧げます」という花言葉を聞くと少し怖い花言葉になりますね。
ですが、漢方に利用され、人々の役に立っていることからついた花言葉です。
それを知れば、怖いという印象ではなくなりますね。
タツナミソウの種類の見分け方
タツナミソウには多くの品種があり、花だけでは判別しにくいため、茎の毛や葉の様子も観察するとわかりやすいようです。
【シソバナタツミソウ】
茎の毛は上向きで毛の長さがほとんど同じ
葉は赤紫褐色の斑が入る
【ホナガタツナミソウ】
花穂が長く、茎の毛は下向きで毛の長さはそろっていない
葉は赤紫褐色の斑が入る
【ヤマジノタツナミソウ】
花つきはまばらについている
茎の毛はとても細かく見えにくく、毛の長さはそろっている
葉は班は入らないが、表面に腺点がある
以上のように同じタツナミソウの仲間やタツナミソウに似ているけれど別の植物等、多くのものがあるようです。
それをじっくり観察して判別してみるのもまた面白いのではないでしょうか。