紫色や白色のコサージュのような優しい雰囲気のあるスカビオサですが、西洋では悲しみを表す花として扱われてきたようです。
目 次
スカビオサとは
スカビオサはスイカズラ科マツムシソウ属の越年草です。
南アフリカ原産でヨーロッパの地中海沿岸に多く分布しています。
草丈は60~90cmほどになります。
花期は8~10月頃で中央に頭花と呼ばれる小花が密集し、その周りは多くの花びらに包まれています。
色は青紫色、白色が代表的です。
皮膚病である疥癬(かいせん)の治療薬としても使われてきました。
別名として「マツムシソウ(松虫草)」とも呼ばれています。
スカビオサの名前の由来
スカビオサはラテン語の「scabiea(疥癬)」に由来しています。
スカビオサが皮膚病の疥癬の治療薬として使われていたことからつきました。
和名の「マツムシソウ(松虫草)」はちょうど松虫が鳴く時期に咲くことからきています。
別説では花が散った後の姿が、仏具の「伏鉦(ふしがね)」の俗名「松虫鉦(まつむしがね)」に似ていることからついた説もあります。
また、英語名では「ピンクッションフラワー」と呼ばれています。
これもスカビオサの花が散った後の姿が、裁縫用具の針山に似ていることからつきました。
南ヨーロッパ原産のものは「セイヨウマツムシソウ(西洋松虫草)」とも呼ばれており、赤やピンク系統の色が多くあります。
スカビオサが誕生花となる日にち
4月26日、6月30日、7月30日
スカビオサの花言葉
スカビオサの花言葉は「未亡人」「私はすべてを失った」「朝の花嫁」「魅力」「風情」です。
「未亡人」「私はすべてを失った」の花言葉はヨーロッパでは古くから夫を亡くした人に贈る花の色は紫色だったそうです。
スカビオサの代表的な色が紫色であることからつきました。
紫色は中国では前漢の武帝の色とされたり、日本でも聖徳太子が制定した冠位十二階では最高の位とされる色でした。
中世ヨーロッパでも高貴な色ではあったようですが、怪我や病気、秘密のイメージも強く、ネガティブな色であったようです。
次に「朝の花嫁」の花言葉ですが、本来は英語で「悲しみの花嫁(mourning bride)」という花言葉でした。
それをアメリカの花屋さんが売りにくいので発音が似ている「朝の花嫁(morning bride)」という花言葉に変えたそうです。
少し変えるだけでまったく違う印象のものになりますね。
「風情」「魅力」の花言葉はスカビオサの花が咲く時期がちょうど涼しくなり始める頃で秋風に揺られる姿が趣(おもむき)を感じさせることからついたのではないでしょうか。
スカビオサの色別の花言葉
スカビオサは色別の花言葉もあります。
紫色の花言葉は「未亡人」「私はすべてを失った」
青色の花言葉は「悲しむ花嫁」「朝の花嫁」
白色の花言葉は「不幸な愛」
赤色の花言葉は「感じやすい心」
ピンク色の花言葉は「悲哀の心」
白色、赤色、ピンク色の花言葉は以下のような西洋の伝説から来ています。
「昔、娘が看病をした青年に片思いをしました。
しかし、彼は別の女性と結婚し、娘は悲しみに暮れて死んでしまいました。
そして娘の死を憐れんだ神様が彼女をスカビオサの花にしたということです。」
スカビオサは色別でも悲しい花言葉が多いですね。
しかし、黄色は「再起」という前向きな花言葉がついています。
これは黄色の元気なイメージとスカビオサが越年草で、翌年にまた再び芽生えることからついたと言われています。
スカビオサの怖い花言葉
スカビオサの怖い花言葉は特に無いようです。
スカビオサ・ステルンクーゲル
実はスカビオサは花期は終わっているのに花屋さんで売られていることがあります。
それは「ステルンクーゲル」という名前で呼ばれ、ドイツ語で「星の球」という意味があります。
ステルンクーゲルはスカビオサの花が終わり、結実になった後に萼が発達して出来たものです。
星形になったものがたくさん集まって一つの球状になっています。
ちょうどサッカーボールのような形で、触った感じはカサカサしており、ドライフラワーのアレンジメントに使われたりします。
あまり知られていませんが「不思議な魅力」という花言葉もあるようです。
そして、黄色の花言葉の「再起」という意味にも当てはまるのではないでしょうか。
花が散った後でもこうして第二の人生が待っているのは、花にとっても人にとっても楽しみなことですね。