日本では昔、長さの単位に尺・寸・分・厘等が使われていました。
今でも時折耳にすることがあるかと思いますが、今では世界共通のメートルが基準となっています。
そして、キロメートル、ミリメートル、センチメートルも私たちの生活に身近で必要なものとなっています。
尺・寸・分・厘は何センチになるのか、この単位が使われているものについても紹介します。
目 次
尺・寸・分・厘とはどのくらいの長さ?
尺(しゃく)
日本だけでなく、東アジアで広く使用されている単位で、手を広げた時の親指の先から中指の先までの長さが由来なのだそうです。
およそ30センチという認識が多いようですが曲尺、鯨尺と2種類ありますので、それぞれ紹介します。
曲尺(かねじゃく)
約303.030ミリメートル(=10/33メートル)と定義されていて、約30.3センチメートルとなります。
矩尺とも書き、指金(さしがね)、かねざし、まがりがね、大工金(だいくがね)等とも言います。
直角に曲りL字形をしていて、建築等で使う金属製の物差しです。
表と裏に目盛りがあり、表目盛りは普通の目盛り、裏目盛りはその倍や1/π倍等が刻んであります。
鯨尺(くじらじゃく)
約378.788ミリメートル(=25/66メートル)と定義されていて、約37.9センチメートルとなります。
これは、曲尺の1尺2寸5分(1.25倍)に相当します。
古来の日本で和裁用に使われてきた物差しで、もともとクジラのひげで作られたことが名前の由来とも言われています。
1959年以降は計量法により、鯨尺の製造および使用は禁止されてましたが、1977年に製造と販売が認められることとなりました。
1958年制定の計量法で、日本ではこの尺貫法(しゃっかんほう)は計量単位としては廃止され、1966年4月1日からは商取引などにおいての使用が禁止されました。
ただ、木造建築や和裁での利用に必要とされることから、尺に当たるメートル法による目盛りが付けられた物差し(尺相当目盛り付き長さ計)は認められています。
尺貫法の長さの基準となることが転じて、物の長さや物差しのことも「尺」と呼ぶようになりました。
寸(すん)
中国や台湾でも使われる単位ですが、日本では明治時代に尺の10分の1(=1/33メートル)と定義されていて、約30.303ミリメートルすなわち約3.03センチメートルとなります。
また、これは曲尺を基準にした寸で、鯨尺に基づく寸の場合は約3.79センチメートル(25/660メートル=約37.879ミリメートル)となります。
親指の厚みや、掌の下端から脈を計る位置までの距離が由来と言われています。
古代の文献によると訓で「き」と呼んでいたり、平安時代には「す」と書かれることがあったのだそうです。
分(ぶ)
寸の10分の1が分とされていて、約0.30センチメートル(約3.030ミリメートル)となります。
鯨尺の場合、約0.39センチメートル(約3.788ミリメートル)となります。
ボルトやワイヤ等の鋼材の直径を示す基本単位として、ヤード・ポンド法の1⁄8インチ(0.125インチ)が使われることがあります。
この1⁄8インチは正確には3.175ミリメートルにあたり、長さが近いことから「分」と呼ばれる場合があります。
厘(りん)
1/100(100分の1)を表す単位で、尺貫法では分量単位として用いられます。
1厘は10毛、100糸、1000忽(こつ)にあたります。
また、厘はメートル法でセンチを表す接頭語としての漢字の旁(つくり)となります。
寸の1/100となり、約0.303ミリメートル(1/3300メートル)にあたります。
鯨尺の場合では、約0.379ミリメートル(25/66000メートル)に相当します。
尺・寸・分・厘で表しているものやその大きさ
一寸法師
日本の伽話の一つで、御伽草子に掲載されたものが元となっています。
身長が一寸しかなかった男の子、一寸法師は侍になるために京へ向かったのですが、そこで鬼に飲み込まれてしまいます。
しかし、腹の中から針の刀で刺して攻撃すると、鬼は降参し逃げていきました。
その時に鬼が落として行った、打出の小槌によって体が大きくなるというお話です。
一寸とは3センチ程であり、とても小さな男の子でしたが、6尺にまで大きくなったそうで今のメートル法に換算すると182センチにもなるそうです。
かぐや姫
竹取物語に登場するかぐや姫は、金色に光っている竹の中でお爺さんに発見されました。
この時の大きさは3寸とされていて、現在の約9センチにあたります。
3ヶ月ほどで美しい娘に成長したかぐや姫のもとには、結婚の申し込みが殺到しますが、無理難題を言い諦めさせようとします。
そして、十五夜に月の都へ帰ってしまうというお話です。
尺八
日本の木管楽器の一つとして知られている尺八は、中国の唐の時代が起源とされていて日本にも伝わって来ましたが、おおよそ現在の形になったのは鎌倉~江戸時代頃と言われています。
尺八という名前は、標準の長さが一尺八寸であることに由来するのだそうで、これは約54.5センチになります。
一分一厘(いちぶいちりん)
「分」も「厘」もどちらも小さい単位であることから、極めて小さいこと、ごくわずかなことを例えた四字熟語です。
実際の長さとしてはピンとこないかもしれませんが、何となく長いか短いか想像がつくこともあるのではないでしょうか。
大体の長さを知ることで、昔ばなしやことわざ等で使われた時にイメージしやすくなるかもしれませんね。