「4月30日 図書館記念日」
■はじめに
「図書館」……なつかしい響きですね。
思えば、図書館に足を運ばなくなって、ずいぶん久しい気がしています。
両側の書架に囲まれた世界は、ネットなんかとは無縁のアナログの世界ですが、この図書館文化が今、曲がり角に差し掛かっています。
目 次
■図書館記念日とは
1971(昭和46)年の全国図書館大会で「図書館記念日」の提案が決議され、日本図書館協会が4月30日を「図書館記念日」として制定しました。
この日付ですが、1950(昭和25)年4月30日、図書館は無料の公共サービスであるという、当時は画期的な理念の「図書館法」が公布され、これを記念したものです。
戦前は、帝国図書館長が天皇に図書館についてのご進講をした4月2日を記念日としていましたが、過去との決別と新しい時代の図書館を意図して、新たな日を制定したと言われます。
■図書館記念日の意味と由来
世界最古の図書館は紀元前2500年ころのシリアの都市国家にあったことが、文書が書かれた大量の粘土板発掘によって判明しています。
その後、図書館は中世ヨーロッパの修道院や王族の施設文庫に受け継がれますが、権力者だけが利用できるもので、一般に広く開放された図書館の第1号は、1848年開設の米マサチューセッツ州のボストン公共図書館です。
日本にも貴族や武士、寺院などの施設文庫はありましたが、日本最初の近代図書館は、1872(明治5)年、東京・湯島に開設された文部省書籍館(しょじゃくかん)でした。
しかし、この図書館は富国強兵のために作られたもので、言論統制機関とも言え、政府が認めた書籍しか公開されませんでした。
戦後、図書館の中立性が大きなテーマとなり、1954(昭和29)年の全国図書館大会と日本図書館協会総会で「図書館の自由に関する宣言」が採択されています。
■図書館記念日のイベント
日本図書館協会が毎年秋に全国図書館大会を開催し、シンポジウムや展示会、それに「読書推進」「司書の役割」「資料保存」「障害者サービス」「図書館のこれから」といったテーマの分科会で、図書館の在り方や将来像などの研究、情報交換をしています。
■図書館記念日の雑学
▽図書館の自由に関する宣言
宣言は図書館の使命として、基本的人権にある「知る自由」のために、資料収集の自由、資料提供の自由、利用者の秘密を守る、検閲に反対―を謳っています。
これは図書館の理念であって法的拘束力は持ちませんが、利用者や図書館員がこの宣言を共有することが、「知る自由」を守ることにつながると思います。
実際に図書館への不当介入、閲覧制限、利用履歴の開示請求などの事案も発生しているんです。
▽図書館改革
図書館と言えば、本を読むところ、本を借りるところ、といったイメージが強く、それも当然ですが、「紙の本を読む」文化が衰退し、電子書籍やクリックひとつで情報が得られる現在、これからの図書館はどうあるべきかを考えてみたいと思います。
これからは書籍だけではなく、新聞記事やネット上の情報、地域の資料なども提供し、さらにその情報に関わる講座やセミナーを行う場所にならないと、来館者の確保は難しいと言われます。
そのためには、司書だけではなく、IT技術を駆使できる人員を配置したうえで、ネット上の検索データベースの構築が必要で、それによって利用者の質問に即座に回答できるようにします。
また、地域の行政機関、民間団体と連携して、行政、子育て、教育、ビジネスなどの支援サービスをすることも求められるでしょう。
ネットには情報があふれていますが、案外、狭い地域の情報は見つけにくいもので、医療や福祉、交通など、生活上の課題を持つ人たちに貢献できる情報を持つ施設を目指すことも必要です。
つまり、地域文化の交流・発信を担うコミュニティーセンターの役割が、未来の図書館の形になっていくのではないかと考えています。
▽ツタヤ図書館問題
行政が運営に手を焼いたのか、それとも新しい図書館像を目指したのかはわかりませんが、公共施設の管理運営を全面的に民間に委ねた「ツタヤ図書館」が、全国に6館(2018年現在)出現して、当該自治体ではその在り方が物議を醸しています。
たしかに従来の図書館とは異なり、明るく開放的で、カフェも併設された近代的なデザインは目を引きます。
しかし、最初のトラブルは、肝心の書籍に対する意識の杜撰さにありました。
機械的なジャンル分けによって「伊勢物語」や「出エジプト記」が旅行本とされ、また遠隔地のラーメン屋マップ、古い試験問題集など、ネットオフから購入した古本が1万冊もあることが判明し、騒動に火がつきました。
さらにスターバックスの営業のために、子どもエリアや授乳室は奥に追いやられたうえ、絵本は大人さえ手の届かない高い書架に並べられる有様となりました。
こうしたことを問題視した各地の市民団体の調査で、開設に至るまでの行政の不審な手続き、利用者数カウントの不自然さ、Tポイントとのリンクによる個人情報の扱いなど、図書館本来の使命を放棄するものとして危惧せざるをえません。
これからの改善を期待したいです。
■まとめ
図書館法第1章第1条には「国民の教育と文化の発展に寄与すること」とあります。
図書館は利益を生む構造にはなっていませんが、教育や文化、科学といった分野にまでそろばん勘定を持ち込むことには憤りを禁じえませんね。
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