「9月10日 下水道の日」
■はじめに
「未来へと ぼくらがつなぐ 下水道」
これは2018年の「下水道の日」キャンペーンの標語ですが、どのくらいの人がこの標語を目にしたことでしょうか。
下水道はまさに縁の下の力持ちといった存在で、ふだんは気にも留めませんが、使えなくなった時のことを考えると恐ろしいものがあります。
目 次
下水道の日とは
1961(昭和36)年、当時6%という低い普及率だった下水道の改善を図るため、建設省(現国土交通省)と厚生省(現在は環境省に所管変更)が協議し、9月10日を「全国下水道促進デー」として、広く国民に下水道の必要性を訴えました。
その40年後、近代下水道の始まりとも言える1900(明治33)年の(旧)下水道法制定から100年を迎えた2001(平成13)年に「下水道の日」と改称されました。
9月10日という日付は、下水道の役割のひとつである浸水対策を念頭に、台風シーズンのこの日が選ばれたと言われています。
下水道の日の意味と由来
都市部に住んでいる人は、上下水道はあって当然と思っていますが、下水道設備のない地域はまだまだたくさん存在しています。
どのくらいの人が下水道を使えるかの割合を示す現在の「都道府県別下水道処理人口普及率」を見ると、さすがに東京が99.5%のトップで、神奈川96.5%、大阪95.2%、京都93.7%、兵庫92.5%、北海道90.7%と続き、ここまでが90%を超えています。
逆のトップは徳島の17.5%で、次点が25.4%の和歌山なので、徳島の低水準は群を抜いています。
これについて徳島県は「台風の常襲地域であり、台風の浸水対策が優先されたことと、吉野川などの大河川流域に市街地があって、人口密度に比べ水量が豊富であることから水質汚染をそれほど意識してこなかった」ためだとしています。
下水道の日のイベント
毎年の「下水道の日」前後には、下水道事業者である地方公共団体主催のイベントが全国で実施され、国交省も「いきいき下水道フェスティバル」を主催しています。
中でも、東京都下水道局が渋谷で開催したイベントは美術大学とコラボし、「#マジカル下水道」と題した巨大オブジェとアート作品によって、下水道に関心の薄い若者層に強烈なアピールをしました。
下水道の日の雑学
▽下水道の役割
何となくは知っていても、下水道の役割はうまく説明できないものですよね。
家庭で使った汚れた水は排水管経由で下水道管へ流れ、下水処理場へ集められるので、汚水が街中にあふれることがなく、街を清潔に保つことができて、害虫や悪臭の発生することもありませんし、集中豪雨やゲリラ豪雨でも下水道によって排水され、街が水浸しになりません。
また、下水処理場では汚水を様々な処理法で浄化して海や川に戻しています。
もうひとつあまり知られていないのは、下水処理の過程で発生したバイオガスが自動車の燃料や都市ガスとして利用され、下水汚泥から回収したリンが肥料になるなど、エネルギーや資源に再生されていることです。
▽下水道の歴史
紀元前5千年ころ、メソポタミア文明下の都市で作られた下水道が、世界史に登場する最初の下水道と言われています。
日本では古墳時代に屋根から雨水を受ける溝があり、藤原京(694年ころ)には道路の両側に溝が設けられていました。
本格的な下水設備としては奈良時代(710年ころ)の平城京に作られた排水溝か、あるいは太閤秀吉が大阪に作った「背割下水」になるでしょうか。
背割下水は石垣の排水溝になっていて、現在でも使えるほどの本格的な構造です。
徳川の世になり、街に開渠(ふたがない)の下水道が張りめぐらされて、堀を通じて川に流し込んでいました。
陶管製の暗渠が作られたのは1869年の横浜外国人居留地が最初で、1879年のコレラ流行で近代下水道整備が急がれることになり、1922年には日本初の下水処理場が東京・三河島に完成しました。
やがて、産業の隆盛を迎える時代とともに、全国の川や海が汚染され、公害の発生が相次ぐようになり、1958年に現在の下水道法が制定され、1967年の公害基本法、1970年の水質汚濁防止法へとつながっていきました。
■まとめ
日本の下水管の総延長は約47万kmで、このうちの約1.4万kmが法定耐用年数を超えており、上水道管とともに寿命を迎えて、この更新が喫緊の課題とされています。
しかし、この膨大な費用をどう捻出するのかも課題で、水道行政の在り方が注目されています。
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