「11月22日 大工さんの日」
■はじめに
筆者の祖父は大工で、その名も「源太郎」。
もう何十年か後に生まれていれば、近隣の町ではちょっとした有名人になっただろうと思います。
意味のわからないという人、ごめんなさい。
目 次
大工さんの日とは
11月22日は「大工の日」で、これは日本建築技工士会が1999(平成11)年に、大工さんたちの技能向上、建築大工業界の健全な発展・啓発などを目的として制定した記念日です。
■大工さんの日の意味と由来
さて、「大工の日」を11月22日とした由来は4つもあり、
(1)「11」→「十一」→「士」となって、建築士や技能士の「士」を表す
(2)「11月二十二日」の「11」は2本の柱、2つの「二」は土台と梁or桁、「十」は間柱と貫(ぬき)を表す軸組に相当する
(3)22日は「大工の神様、規矩術(きくじゅつ)の神様」と言われる聖徳太子(574~622)の月命日
(4)11月が国の技能尊重月間に当たる
というような理由ですが「梁、桁、間柱、貫、規矩術」って何なんでしょうね。
「梁」は柱と柱を横につないで屋根や床の荷重を柱に伝える太い横架材で、梁と直交する形の架材が「桁」になります。
「間柱」は文字通り、柱と柱の間に縦に入れる部材で、壁を支える役割を担っており、日本家屋の広い部屋の壁を区切るように見える柱です。
筆者はそんな広い家に住んだことがありませんが、日本旅館の部屋ではよく見かけますね。
「貫」は間柱を横に貫いて柱と柱を結ぶため、間柱と貫は「十」の形になります。
次の「規矩術」とは木造大工の加工技術のひとつだそうで、「規」はコンパス、「矩」は定規、指矩(さしがね)を表します。
この技術によって垂直、水平、斜めと複雑な木造建築の接合部の設計ができるそうで、大昔は言い伝えによる秘伝中の秘伝でしたが、数理論による解明で三角関数や微積分、平方根などに応用されています。
世界最古の木造建築である法隆寺に「指矩を持つ聖徳太子像」が所蔵されていると聞いたことがありますが、聖徳太子が「大工の神様、規矩術の神様」とはついぞ知りませんでした。
■大工さんの日のイベント
全国一斉に「大工さんの日」で盛り上がったという話は聞いたことがありませんが、夏休みや行楽シーズンに、各地の建設会社や大工さんたちが、大工仕事の楽しさを知ってもらおうと、様々な企画でイベントを開催しています。
たとえば、「ちびっこ大工お家づくり体験」では大工さんと一緒に本物の工具、材料を使って、小さな家を作るという催しですが、ケガをさせないよう大工さんの気遣いはたいへんなものがありそうです。
大工さんの日の雑学
▽大工さんの七つ道具
昔から大工仕事に欠かせない「七つ道具」があります。
今では電動ノコギリやくぎ打ち機が登場して便利になっていますが、祖父の家の土間で見ていた古式ゆかしい大工の七つ道具を、思い出とともに紹介します。
▼「ノコギリ」鋸………目の粗いものから細かいもの、木目によって使い分ける縦挽き、横挽きなど種類も多く、挽く角度や力加減ではノコギリが波打って、進もできず退くもできずといった具合になってしまいます。
▼「カンナ」鉋………土間のカンナ台にいつも木材が置かれていた記憶があり、1度やってみろと言われトライしましたが、歯が引っかかって1mmも動きませんでしたね。
▼「スミツボ」墨壺………一輪車が荷台を引くような形にも見えますが、荷台に当たる壺には墨を含ませた綿が入っていて、一輪車に当たる糸車に巻き取られている糸を材木にピンで留め、車を動かすことで材木上に直線が引けます。
今は線を簡単に消せる粉チョークを使う工具で代用されています。
▼「ノミ」鑿………彫刻刀にもあるノミのワイルド版ですね。
▼「ゲンノウ」玄翁………ノミの叩き込みやくぎ打ちに使いますが、トンカチ、かなづち、ハンマーなど似たものもたくさんあって、アタマの部分の形状や用途によって異なるそうです。
ちなみに、ゲンノウは石工用のものがあって、「玄翁」と書くのは玄翁和尚が殺生石を砕いたという伝説に由来しているそうです。
▼「チョウナ」釿………木材を粗削りするために使う道具で、柄の先が傘の持ち手のようにカーブしており、その先に刃が直角に取り付けられています。
▼「サシガネ」差し金、曲尺………カギカッコの形(』)をした長辺50cm、短辺30cm金属製の定規で、メートル法と尺貫法の目盛りが刻まれており、裏面に刻まれた「角目」は表の目盛りの1.414倍に相当し、この長さは表の目盛りに2の平方根を乗じたもので、正確な45度を計測します。
また裏面には「丸目」も刻まれていて、これは表の3.142倍、つまり円周率を乗じたことで、丸太の直径を測れば円周もわかることになります。
筆者にはその先の説明はできませんが、とにかく、これ1本で複雑な木造建築の設計ができたんだそうです。
しかし、祖父にこのサシガネが本当に使えたんだろうかと思ってしまいます。
■最後に
外でお酒を飲まなかった祖父でしたが、時折、赤い顔のまま自転車で帰ってくることがありました。
聞いてみると、棟梁が工事の安全と建物の長久を祈る「上棟式」の日で、お酒をふるまうのがしきたりなんだそうです。
このセレモニーは「地鎮祭」とともに、今日にまで引き継がれる伝統ですね。
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