▪はじめに
畳は日本独自の敷物です。
私は子供のころに畳の材料となるイグサの産地で育ったので、ゴールデンウィークごろになるとイグサが青々と繁り、風に吹かれて海の波のようになびくのを見るのがとても好きでした。
畳の日は、そんなゴールデンウィーク中にある記念日です。
目 次
畳の日とは
畳の日は、毎年4月29日にあります。
畳の日は、畳の材料であるイグサが田園をみどり一面に染めて育つ時期であることに因んで、全国畳産業振興会が制定した記念日です。
因みに、全国畳産業振興課は「清掃の日」である9月4日も「畳の日」と制定しています。
▪意味
畳の日には、「畳の持つ住宅材としての素晴らしさや、敷物としての優れた点をアピールする」という目的があります。
▪由来
畳の日が4月29日になったのは、イグサが青々と育つ時期であることと制定当時4月29日が「みどりの日」という祝日であったことが由来となっています。
▪イベント
「畳の日」を制定した全国畳産業振興会は、この記念日に因んで毎年4月末に京都の清浄華院(しょうじょうけいん)で畳供養を執り行う「畳まつり」を開催しています。
清浄華院とは、平安時代860年(貞観2年)に清和天皇の勅願により創立された、浄土宗七大本山の1つにもなっている寺院です。
清浄華院の境内には120畳の畳が敷かれた「大殿」があることから、別名「畳寺」とも呼ばれ多くの人に親しまれているお寺でもあり、この別名から清浄華院で2013年から「畳まつり」が行われるようになりました。
これは、全国畳産業振興会が認定している「畳ドクター」になった職人たちが「古い畳には大切な思い出が染みついているから丁寧に処分して欲しい」という声を寄せたことがきっかけとなって始まった日本唯一のものです。
「畳まつり」では、畳業界関係者や参拝者たちが古いゴザ(畳の表面部分)で作られ自分の願いを書いたお札のような形の「畳の護摩ゴザ」をお焚き上げする「畳供養」をはじめ、当日限定畳寺の御朱印の授与や畳寺オリジナルのスイーツ(畳寺の御朱印をあしらった千寿せんべい)の授与、畳おもての素材を使って作られた畳ギターや畳ベースなどで演奏する畳楽器演奏ユニット「日本畳楽器製造」のライブなどが行われます。
また、ミニゴザや畳のコサージュ、ミニ畳を作る体験型イベントや畳で作ったペットのキャリーバッグやすべり台など「ビジュアル映えする畳」の展示なども行われています。
このお祭りには誰でも参加できますが、御朱印授与や体験型イベントなど有料のものもあり、オリジナルスイーツは先着100名(1人1つ)となっているので、金額や開催時間の事前チェックを必ずしておいてください。
畳の雑学
<畳は種類によって大きさが違う?>
畳は日本で生まれた日本独自の敷物です。
奈良時代に誕生し平安時代に現在のような形になったとされている畳は、時代と共にその大きさも変化していきました。
現在、畳の大きさは江戸間・中京間・京間(本間)・団地間の4種類あり、地域や住まいなどによって使われるものが違っています。
- 京間: サイズ 0cm×95.5cm 地域 近畿・中国・四国・九州など
- 江戸間:サイズ 0cm×88.0cm 地域 関東・東北・北海道など
- 中京間:サイズ 0cm×91.0cm 地域 東海地方・沖縄など
- 団地間:サイズ 0cm×85.0cm 地域 日本全国の集合住宅など
このように畳の大きさの違いが生まれたのは、大きく分けて2つの理由があるとされています。
1つは、畳のサイズは田畑のサイズを測る単位である「間(けん)」を使っていたからだとされています。
年貢を納めるために使われていた「間」という単位は、豊臣秀吉の時代は1間6尺3寸であったものが江戸時代には5尺8寸と変わったことにより畳のサイズも変わったのです。
また、独自の文化が栄えた東海地方や沖縄などは三六間という6尺という独自のサイズの畳を使うようになりました。
京都をはじめとした西日本では、平安時代から続く6尺1寸サイズの畳が使われ続けています。
2つ目の理由は、家の建て方が変わってきたことにあります。
江戸時代以前は畳の寸法を基準に柱を立てる「畳割り」という建築方法でしたが、江戸時代に入ると柱を先に立ててから畳の大きさを決める「柱割り」という建築方法が江戸を中心に広まっていき、現代の畳サイズの主流になりました。
また、戦後の高度経済成長期に団地やアパート、マンションなどが多く建てられたことから生まれた「団地間」はほかの畳よりも小さいサイズになっています。
私も子供のころは団地に住んでいましたが、岡山県の祖父母の家に行くととても広く感じたのを思い出します。
この4種類は6畳に換算するとかなりの違いが出てくるので、マンションなどを選ぶときには何畳かだけでなくどの種類の畳を基準にしているのか、床平米数はどのくらいなのかも確認しておくとよいでしょう。
<イグサが持つ色々な効果とは?>
畳が敷いてある部屋に入ると、畳のよい香りにホッとすることはありませんか?
じつはこの癒し効果、畳の材料であるイグサの効果の1つなのです。
イグサの香り成分にはリラックス効果や消臭効果があるといわれています。
さらに、イグサには人体に悪影響をもたらすとされているホルムアルデヒドや二酸化窒素を吸着し、空気をきれいにする働きがあるともいわれています。
また、イグサには湿度を一定に保つ効果や断熱効果があるといわれているので、畳は夏に高温多湿位になり冬に葉低温低湿となる日本の気候でも快適に過ごせるとても優れた敷物なのです。
その他にもイグサには、茎の芯の部分が油をよく吸い上げる性質を持つことから「燈心草(とうしんそう)」とも呼ばれ、行灯(あんどん)などの灯芯に使われたり、芯を取り除いた部分を煎じたものを炎症を抑える薬として使われたりもしていました。
イグサは食用としてつかわれることもあり、現在、日本一のイグサの生産地である熊本県では、イグサを使ったお茶やソフトクリーム、そうめんなどが道の駅などで販売されています。
なかでもとくに珍しいのはイグサを使った「食べられるお箸」で、ネット上などで話題となっているので、興味のある方はぜひお試しください。
▪まとめ
畳は日本の気候に合った効果がある敷物なので、太古の昔から現代まで日本で使われ続けていることに納得ですよね。
それだけ日本人の家屋に欠かせないものなので、時代の変化に合わせて畳の大きさも変化していったこともよく分かりました。
私が子供のころに住んでいた地域はイグサの産地として有名だった場所で、イグサ畑や畳表やゴザを作る小さな町工場などがあるところでした。
最近では和室の無いマンションなども増えてきていますが、畳のラグなども販売されているので、ぜひ畳を取り入れて欲しいと思います。
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