野山だけでなく公園や町の片隅でも見かけるスミレの花。
謙虚で控えめでおしとやかな印象のスミレは日本でも古来から親しまれてきました。
そんなスミレは、西洋の神話でかわいそうな成り立ちとなっているようです。
目 次
スミレとは
スミレ科スミレ属の多年草で、原産地は日本や中国、朝鮮半島などです。
草丈は10cm前後で暑さや寒さにも強く、開花時期は4~5月で紫色やピンク、黄色、白色の花を咲かせます。
英語ではviolet(ヴァイオレット)と呼ばれ、すみれ色と日本でもなじみのある言葉になっています。
スミレの名前の由来は、大工が直線を引く時に使う「墨壺」という道具と花の形がよく似ていることから、「墨入れ」→「すみれ」となったと言われています。
スミレが誕生花となる日にち
1月6日、1月8日、1月9日、2月8日、2月21日、2月27日、3月11日、3月28日
スミレの花言葉
スミレの花言葉は「謙虚」「誠実」「控え目」「小さな幸せ」です。
道端や野山などでひっそりと花を咲かせるスミレの控えめな姿や、その奥ゆかしさからこのような花言葉がついたようです。
西洋では理想的な女性は「美と慈愛」「威厳と純潔」「謙虚と誠実」を兼ね備えた人物と言われています。
これを花言葉に持つのが、バラ「美と慈愛」・ユリ「威厳と純潔」・スミレ「謙虚と誠実」ということで、この3セットの花をキリスト教では聖母マリアに捧げる花として特別視しているのです。
スミレの色別の花言葉
紫色のスミレ 「誠実」「真実の愛」「貞節」「ささやかな幸せ」
ピンク色のスミレ 「希望」「愛」
黄色のスミレ 「慎ましい幸福」「完全の美」「田園の幸福」「牧歌的な喜び」
白色のスミレ 「謙遜」「誠実」「清浄」「純潔」「あどけない恋」「無邪気な恋」
青色のスミレ 「愛情」「用心深さ」
スミレの西洋の花言葉
「modesty(謙虚)」.「faithfulness(誠実)」
スミレの怖い花言葉
スミレには怖い意味の花言葉は特にないようですが、ギリシャ神話の中でスミレに姿を変えてしまう女性の話があります。
ここでも女性たちは怖い思いをするので、スミレの花言葉は怖いのでは?と噂が立っているのかもしれません。
スミレの言い伝え
スミレのギリシャ神話1
昔、イアという美しい娘がいました。
イアを見て一目惚れした太陽神アポロンが求愛しますが、イアには既に婚約者がいたのです。
アポロンの求愛を断りたいのですが、怒りをかってしまうことを恐れ、貞操の女神アルテミスへ「花の姿に変えてほしい」と頼みます。
アルテミスはイアをかわいそうに思い、スミレの花に変えてしまうのです。
人間をやめてしまいたいほどの悩みを持ったイアの苦悩が辛そうですね。
スミレのギリシャ神話2
全能の神ゼウスは川の神の娘イオに惚れ込んでしまいます。
ゼウスがイオと逢っている時、そこへゼウスの妻であるヘラが通りかかってしまいます。
ゼウスはイオを雌牛に変えてヘラにばれないようにします。
雌牛になってしまったイオを哀れに思い、ゼウスはイオのためにスミレをたくさん生やします。
このことを知ってしまったヘラは、イオを星に変えてしまうのです。
ゼウスはイオと逢えなくなったことを嘆き、イオの瞳と同じ色の紫色をスミレの花の色ににつけたそうです。
・・・う~ん、しかしギリシャ神話の神ってなんか勝手なことをしているような。
巻き込まれた美しい女性はいつもかわいそうな目にあっていますね。
スミレのローマ神話
愛と美の女神ヴィーナスが息子のキューピッドと散歩をしていると、美しい乙女たちが踊っていました。
ヴィーナスはキューピッドに「私とあの乙女たちはどちらが美しい?」と尋ねます。
するとキューピッドは「乙女たちの方が美しい」といいます。
それに機嫌を損ねたヴィーナスは、乙女たちを殴り、乙女たちの顔は紫色に腫れ上がってしまいます。
乙女たちを気の毒に思ったキューピッドは、彼女たちをを紫のスミレの花に変えたのです。
・・・神話って。
美しい女性はいつも何かの被害にあって、花に変えられてしまいますね。