「3月27日 仏壇の日」
■はじめに
筆者は祖父母の家で育ったので、たいした考えもなく見様見真似で仏壇に向かって手を合わせていました。
仏教とは無縁ではありますが、今でも実家の仏壇の前では厳かな気持ちになってしまいます。
目 次
仏壇の日とは
奈良時代に成立した日本の歴史書である「日本書紀」中に、「西暦685年3月27日、天武天皇が『諸國家毎に佛舎(ほとけのみや)を作り、即ち(すなわち)佛像と経とを置きて礼拝供養せよ』との詔(みことのり)を出した」という記述があります。
これは訳すほどのことでもありませんが、今の仮名遣いにすると「すべての国の家は仏舎を作り、その中に仏像とお経を置いて礼拝供養せよ」ということですね。
この一文から全日本宗教用具共同組合が3月27日を「仏壇の日」に制定しました。
■仏壇の日の意味と由来
仏壇の中が壮麗なのは仏教が求める理想世界を象徴する場所だからと言われます。
お寺の本堂に見立てているのが仏壇だと言い換えてもいいでしょう。
仏壇が全国の家に広がるのは、天武天皇の詔からだいぶ時を経た江戸時代の初期で、徳川幕府がすべての人はいずれかのお寺に所属すべしという「寺請制度」(てらうけせいど)を定めたことによるものでした。
これは事実上、仏教徒になることを強制する制度で、各寺に所属する家(檀家)は寺側が要請する法要や彼岸の墓参り、上納金などに応じざるを得なくなり、仏壇の設置もそのひとつだったと思われます。
明治以降、この制度の強制力は失われたものの、今なお「檀家」という「自主的制度」が残っているのは先祖の墓が寺にあるためですね。
しかし、今や仏壇のある家は4割に満たないとも言われ、この数字の低下がそのまま檀家制度の衰退を表しているようにも思えます。
■仏壇の日のイベント
お彼岸が間近になると、仏壇の折り込み広告が増えるようですが、3月27日の「仏壇の日」に仏壇の大安売りというわけにはいきませんね。
イベントという言い方は申し訳ない気もしますが「仏壇の日」に合わせて、全国のお寺や仏具店では、役目を終えて不要になった仏壇の供養祭が行われていますね。
仏壇の日の雑学
▽「仏壇終い」
ある仏壇保有率調査によれば、「子どものころに家に仏壇があった」という回答は66%でしたが、現在、仏壇のある家は4割に満たないという数字を裏付けるように、1994年には3669億円もの販売実績のあった仏壇は、その年をピークに下降線をたどって2016年には1794億円にまで落ち込んでいます。
最近では「仏壇終い」(しまい)なる言葉をよく耳にしますが、これは数年前から使われるようになった「新語」なんだそうです。
核家族化や過疎化、都会の住宅事情などで仏壇の置き場所がなかったり、受け継ぐ身内がいないことから、不要となり処分せざるを得ない場合が多くなりました。
まあ「処分」というより「終い」のほうがいくらか気持ちもラクになりますね。
「仏壇終い」とは、先祖代々の菩提寺がある場合、そのお寺でお経をあげてもらう「閉眼供養」を執り行いますが、仏具店に依頼して供養することもできます。
いずれにしても、長い間、故人の位牌や遺影が安置されていた仏壇ですから、たたの「手の込んだ派手な箱」というわけにはいきませんね。
▽仏壇をどう処分?
遺骨を捨てると法律に触れますが、仏壇や位牌はルールに従えば捨てても問題ありません。
もちろん、良心との兼ね合いですが…。
お寺や仏具店に仏壇の処分をお願いすれば、まず1万、2万では済みません。
薄情なようですが、仏壇がただの箱と割り切れるなら、家具同様に粗大ゴミとして、ほとんどの自治体が大きさの規定に沿った料金で処分してくれます。
■最後に
ろうそくや線香の火を手で仰いで消す習慣は、仏壇の前で祖母にきつく言われて身についたんだろうと思います。
息で消すほうが簡単だと思っていましたが、なぜか仏壇の前ではその言いつけを守らなくてはならないとも思っていました。
いつだったか、僧侶から「口は悪行を積みやすく、汚れやすいもの。仏に供えた火を消すのに用いてはならない」と聞いて、なるほどなあと思ったことがありました。
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