可愛らしい薄ピンク色の花を下向きに咲かせる秋海棠(シュウカイドウ)はベゴニア属ですが、ベゴニアとはまた少し違った淋しげで憂いを帯びた美しい花です。
目 次
秋海棠(シュウカイドウ)とは
秋海棠(シュウカイドウ)はシュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア属)の球根植物です。
中国の山東省以南、マレー半島に分布しています。
8~10月頃に2~3㎝ほどの薄ピンク色の花を咲かせます。
花の中央は黄色で、ベゴニアの花の枝を長く伸ばしたような花が垂れ下がるように咲きます。
草丈は約40~70㎝ほどになり、葉の大きさは左右非対称です。
別名では瓔珞草(ヨウラクソウ)、相思草(アイオモイグサ)、断腸花(ダンチョウカ)などの呼び名があります。
秋海棠(シュウカイドウ)の名前の由来
「秋海棠」は中国名で江戸時代初期に日本へ渡ってきて、音読みにして「シュウカイドウ」と呼ばれるようになりました。
バラ科リンゴ属の春に咲く花で「海棠(カイドウ)」という花があり、その花に似ていることと秋に咲くことから「秋海棠(シュウカイドウ)」という名前がつけられました。
別名の「瓔珞草(ヨウラクソウ)」は花姿が「瓔珞(ようらく)」という仏像の飾り玉に似ていることからつきました。
秋海棠(シュウカイドウ)が誕生花となる日にち
8月29日、9月10日
秋海棠(シュウカイドウ)の花言葉
秋海棠の花言葉は「片思い」「恋の悩み」「未熟」「自然を愛す」です。
「片思い」の花言葉の由来は秋海棠の葉の大きさが左右非対称であることからつきました。
左右同じ大きさのハート型ではないため、一方通行の恋という意味でこのような花言葉がついたようです。
「恋の悩み」「未熟」の花言葉は下を向いて垂れ下がるように咲く姿が、うつむいて思い悩んでいる人に例えられてついたようです。
「自然を愛す」の花言葉は秋海棠は江戸時代に園芸用として持ち込まれましたが、その後、野生化するようになったことが由来となっているのではないでしょうか。
秋海棠は基本的に半日陰で育ち、繁殖しやすい丈夫な植物です。
日本では沖縄県の八重諸島や西表島に自生しており、白い花を咲かせる「紅頭秋海棠(コウトウシュウカイドウ)」や薄ピンク色の傘状の花が咲く「丸山秋海棠(マルヤマシュウカイドウ)」があります。
秋海棠(シュウカイドウ)の色別の花言葉
秋海棠(シュウカイドウ)の色別の花言葉は特に無いようです。
秋海棠(シュウカイドウ)の怖い花言葉
秋海棠(シュウカイドウ)の怖い花言葉は特に無いようです。
秋海棠(シュウカイドウ)の言い伝え
中国では「海棠(カイドウ)」は「海外から来た梨」という意味があり、牡丹(ボタン)や芍薬(シャクヤク)のように美しい女性に例えられる花でもあるようです。
そして、別名の「断腸花(ダンチョウカ)」や「相思草(アイオモイグサ)」という名前はある伝説が由来となっています。
「断腸の思い」という言葉がありますが「断腸」とは「腸(はらわた)がちぎれるほど悲しく辛いこと」を表す時に使われます。
中国では愛する男性と引き離された女性が断腸の思いで流した涙から秋海棠の花が咲いたという伝説があります。
花の枝が長く垂れ下がってそこから花が咲いている姿が、こぼれ落ちる涙のように見えます。
このことから別名「断腸花(ダンチョウカ)」と呼ばれるようになったということです。
そして「相思草(アイオモイグサ)」という別名は昔、ある人が深い恋に悩み過ぎて血を噴いて、そこから秋海棠が生えたという伝説が由来となっています。
ちなみに「相思草」は「煙草(タバコ)」の別名にもなっています。
日本では松尾芭蕉が秋海棠の俳句を詠んでいます。
「秋海棠 西瓜(すいか)の色に 咲きにけり」
秋海棠の花は薄ピンク色なのになぜスイカなのかというと、咲き始めの時や枝は紅色であることからすいかに例えられたようです。