大きな木に黄緑色の花をつけるユリノキ。
日本のいたるところで育てられており、樹木を見たことがある人は多いでしょう。
しかし、木の上の方に咲く美しい花を知っている人は、少ないかもしれません。
今ではどこでも観察できるユリノキですが、日本に伝えられたのは意外と最近のことでした。
目 次
ユリノキとは
北アメリカが原産の高木です。
日本には明治ごろに伝えられたと言われています。
現在は世界各地で栽培されており、街路樹などに利用される木です。
樹高は高いものだと、30mにまで成長します。
ユリノキの幹は、木材として重宝され、建築や家具などに利用されることが多いです。
花は5月から6月ごろに咲きます。
花色は黄緑色で、9枚の花びらからなります。
6枚の花びらはおわん型のような形をしており、チューリップやユリの花に似ていると言われることも多いです。
外側に白っぽい3枚の花びらがつきます。
花には蜜が多く、上質なはちみつが採取できることでも知られている花です。
ユリノキの名前の由来
「百合の木(ユリノキ)」という名前は、学名である「Liriodendron tulipifera(リリオデンドロン トゥリピフェラ)」から由来します。
「Liriodendron」は2つのギリシャ語が複合しつけられています。
ユリを表す「Leirion(リリオン)」と木の意味がある「dendron(デンドロン)」です。
ここから和名である「ユリノキ」もつけられています。
ちなみに学名の「tulipifera」はチューリップの花に似ているという意味でつけられたそうです。
和名は「ユリノキ」以外にもたくさんの名前があります。
例えば、花がチューリップに似ていることでつけられた「チューリップノキ」。
蓮の花にも見えるということで「蓮華木(レンゲボク)」もあります。
他にも「エンピツノキ」、「ヤッコダコノキ」などです。
西洋名も多く、チューリップに似たアメリカ由来の木ということでつけられた「American tulip tree(アメリカン チューリップ トゥリー)」 や「yellow poplar(イエロー ポプラ)」などがあります。
ユリノキが誕生花となる日にち
5月18日、8月17日
ユリノキの花言葉
「見事な美しさ」「幸福」などがユリノキの花言葉です。
ユリノキはユリやチューリップの花に似ていると言われるように、きれいな花を咲かせます。
このことから、「見事な美しさ」や「幸福」といった花言葉がつけられたのでしょう。
ユリノキの色別の花言葉
ユリノキの花色は黄緑色だけです。
そのため、花色別の花言葉はないようです。
ユリノキの怖い花言葉
名前の由来でもあるユリには怖い花言葉がついています。
しかし、ユリノキには怖い花言葉はつけられていないようです。
ユリノキの歴史
ヨーロッパには17世紀に、日本へは明治の初めごろに伝えられたとされています。
東京国立博物館には、明治14年に植えられた巨大なユリノキがあるそうです。
このユリノキは、明治初期に30粒ほど伝えられた、種から育った1本と言われています。
北海道大学が所有する植物園にもユリノキがあるそうです。
こちらは、初代園長を勤めた宮部金吾が、アーノルド樹木園から持ち帰った種を栽培したと言われています。
現在は高さ30m、幹の大きさが1mの大木となっています。
ユリノキが伝えられたのは明治ですが、日本では夏の季語としても親しまれる木です。
原産のアメリカでは、小説家エドガー・アラン・ポーの作品「黄金虫」に、ユリノキが登場します。
ユリノキは文学にゆかりがあるだけでなく、木材や薬などでも利用されてきました。
建築資材として、扱いやすく、家具などにも使われます。
北アメリカでは、カヌーの材料として利用していました。
また蜜をたくさん分泌する木としても重宝されています。
東京都内のビルで、ユリノキのはちみつが作られています。
ユリノキは街路樹や公園の樹木として、馴染のある植物です。
しかし、高く成長した木の上の方に花をつけることから、美しい花を見たことのある人は少ないでしょう。
身近な場所でユリノキを見つけた時は、花を探してみるのも面白いですね。