▪はじめに
がんとは、何らかの原因で体に中で勝手に増殖するようになった細胞集団のことで、悪性腫瘍とも呼ばれる病気です。
現在、日本人の2人に1人がどこかのがんになるといわれていて死因の第1位、世界でも死因第6位になっているがんに立ち向かうために制定されたのが「世界対がんデー(World Cancer Day)」です。
目 次
世界対がんデー(ワールドキャンサーデー)とは
世界対がんデーは、毎年2月4日にあります。
この記念日は、2000年(平成12年)の「対がん同盟結成を呼びかけるパリ憲章」に基づき、国際対がん連合(Union for International Cancer Control:UICC)が2002年(平成14年)から実施しているものです。
国際対がん連合(UICC)とは、1933年(昭和8年)に結成された世界的に広がりを持つ民間組織連合です。
現在は世界155ヶ国から800団体が参加しており、がん克服のための研究や国際的統計の作成、対がん事業の振興、がん知識の普及などの様々な活動を行っています。
▪意味
世界対がんデーは、一人ひとりががんに関する意識を高め、がんに立ち向かうための行動を起こすことを目的として制定された記念日です。
この日には、世界各地でがんに関する様々な取り組みが行われています。
▪由来
世界対がんデーが2月4日なのは、2000年(平成12年)2月4日にパリで行われた「がんサミット」で「対がん同盟結成を呼びかけるパリ憲章」に基づいて2月4日を世界対がんデーと定めたことが由来となっています。
▪イベント
日本では、毎年世界対がんデー(ワールドキャンサーデー)である2月4日に色々なイベントが開催されています。
過去には、国立がん研究センターが国際対がん連合(UICC)日本委員会によるライブセッションとライトアップイベントがオンラインで配信されました。
ライトアップイベントとは、世界対がんデーに世界各地の夜空を国際対がん連合(UICC)のテーマカラーであるブルーとオレンジのライトを、東の端の日本からスタートし順に西に向かって光をつないでいくというイベントで、日本ではさっぽろテレビ塔・仙台スカイキャンドル・新潟日報メディアシップ・さいたまスーパーアリーナ・埼玉スタジアム2002・東京ビッグサイト・神奈川県大船観音・富山世界遺産相倉合掌集落・愛知県中部電力MIRAI TOWER・岐阜市役所・三重大学医学部附属病院・京都タワー・島根県松江赤十字病院・島根県さんいん中央テレビ鉄塔・福岡県博多ポートタワーの15施設が18時に同時に点灯式を行いました。
世界対がんデーの雑学
<「がん」はなぜ「カニ」と呼ばれるの?>
「がん」のことを英語ではCancer(キャンサー)といい、ドイツ語ではKrebs(クラブ)といいます。
どちらも「大きなカニ」という意味の言葉ですが、なぜ「がん」を「カニ」に例えるようになったのでしょうか。
世界で初めてがんのことをカニに例えたのは、医学の父とも呼ばれている古代ギリシャの医師ヒポクラテスであるといわれています。
乳癌は体の表面に病巣が現れるため、紀元前にはすでに発見されていた病気でした。
古代ギリシャは医学が発展していたため、すでに乳癌の病巣部分を切り取る外科的治療が行われていたとされています。
ヒポクラテスは、切り取った病巣を切り刻みスケッチに残していて、がんのことを「カルキノス(カニのような)」と書き記していたといわれています。
これは、組織に浸潤した癌が手足を伸ばしたカニのように見えたからではないかといわれています。
また、乳癌は進行すると皮膚が引きつれ、カニの甲羅のように見えるためにヒポクラテスがカニに例えたという説もあります。
ヒポクラテスが乳癌をカニに例えたことが後にヨーロッパ全土に広がり、英語やドイツ語でもがんをカニと呼ぶようになったと考えられています。
因みに、日本語で「癌」と呼ばれるようになったのは江戸時代ごろからだといわれており、江戸時代の医学書には乳癌のことを「乳岩」と記されていました。
これは、がんが触ると岩のように固いことが由来となっていて、その後「岩」の異体字である「嵒」に病垂れをつけて「癌」と漢字を日本人が生み出したという説や、中国から伝わったという説があります。
<がんを予防すると言われている方法とは>
現在、日本人のほとんどが罹るといわれているがんですが生活習慣が大きな原因の1つであるといわれています。
そのため、がんにかかるリスクを下げる為には生活習慣を見直すことが重要です。
がんになる原因と具体的な予防方法として次のようなものがあります。
- 喫煙
タバコは吸わない。他人のタバコの煙をできるだけ避ける。
タバコの煙には発がん性物質が含まれており、喫煙をすると肺がんや食道がん、胃がん、すい臓がん、乳がんなどに罹るリスクが高くなるとされています。
また、タバコの煙は喫煙者だけでなく周りの人にも影響を及ぼすので、喫煙をしない人も他人のタバコの煙を吸わないように注意してください。
- 飲酒
飲むなら、節度のある飲酒をする。
飲酒は、食道がん、口腔がん、咽頭がん、肝臓がん、大腸がん、乳がんなどに罹るリスクが高くなるとされています。
とくに飲むとすぐ赤くなるようなお酒に弱い人はリスクが高いとされているので、飲めない人や普段飲まない人は無理に飲まない、飲ませないようにしましょう。
また、飲む人も多く飲み過ぎるとリスクが高くなるので、適度な量の飲酒を心掛けてください。
飲む場合は、日本酒なら1日1合、ビールなら大瓶1本、焼酎や泡盛なら1日1合の2/3、ウィスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル1/3くらいにしましょう。
- 食事
偏らずバランスよく食べる。
食べ物は、多く摂り過ぎたり摂らなかったりするとがんになるリスクが高くなる食品があります。
食塩は取り過ぎると胃がんや高血圧になるリスクが高まります。
ですから、食塩は男性なら1日8g未満、女性なら1日7g未満を目安に摂取してください。
また、塩辛や練ウニなどの高塩分食品は週に1回以内にしましょう。
野菜や果物は、食べることで肺がんや乳がんなどの予防になるとされ、逆に不足しているとがん以外の生活習慣病に罹るリスクが高まるとされています。
ですから、野菜は1日に350g以上摂取するようにしてください。
その他にも、熱い食べ物や飲み物は食道を傷つけて食道がんになりやすくなるといわれています。
熱い食べ物や飲み物は少し冷ましてから食べるようにしましょう。
- 身体活動
日常を活動的に過ごす。
身体活動量が多いと、がんや生活習慣病に罹るリスクが低くなるとされています。
激しい運動を毎日取り入れ必要はなく、デスクワークなど座って仕事をする人は、1日合計60分程度の歩行などの身体活動と、週1回程度のウオーキング(早歩きで60分程度)やランニング(30分程度)を取り入れるとよいでしょう。
- 体型
適切な体重を維持する。
太りすぎると健康に悪いイメージが強いですが、日本人は欧米人ほど肥満ががんに結びつかないとされています。
むしろ痩せすぎていると免疫力が下がってがんに罹るリスクが高まることが分かっています。
しかし肥満も、食道がん、大腸がん、胆管がん、すい臓がん、腎臓がん、卵巣がん、乳がんなどに罹るリスクや生活習慣病のリスクが高まるので太りすぎにも注意が必要です。
バランスの良い食事と適度な運動で適正体重(BMI(肥満指数):20~26)を保つようにしましょう。
- 感染
肝炎ウイルス感染検査を受け、感染していたら適切な措置を受ける。
ピロリ菌感染検査を機会があれば行う。
がんに罹る大きな原因の1つに、ウイルスや細菌への感染があります。
肝がんは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが原因となり、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となります。
また、胃がんはヘリコバクターピロリ菌が原因となることがあります。
これらのがんを予防するためには、検査を受けて適切な治療を受けることが大切です。
以上のような方法を日常生活に無理のない範囲で取り入れて、がんの予防をしていきましょう。
▪まとめ
日本人の死因第一位となっているがんは、早期発見・早期治療により治すことが可能な病気でもあります。
みなさんも、日常生活に気を付けながら正しい知識を身に付け、定期的な検診を受けるようにしてください。
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