▪はじめに
鍼灸とは、体の中にある「経穴(ツボ)」と呼ばれる部分を鍼やお灸を使って刺激を与えることで生き物が持つ自然治癒力を高めたり痛みや不快感を取り除いたりする治療法です。
今回は、日本の医学の西洋化に伴ってあまり利用されなくなった鍼灸療法を多くの人にアピールするために制定された記念日や鍼灸のことについてなどを詳しく紹介していきます。
目 次
鍼灸の日とは
鍼灸の日は、毎年4月9日にあります。
鍼灸の日は、一般社団法人日本鍼灸協会が1017年(平成29年)2月1日に制定した記念日です。
▪意味
鍼灸の日には、「鍼灸をもっと身近に、もっと手軽に、もっと安心に」との思いをこめて鍼灸を多くの人にPRするという目的があります。
▪由来
鍼灸の日が4月9日になったのは、「4(しん)9(きゅう)」という語呂合わせが由来となっています。
▪イベント
「鍼灸の日」を制定した日本鍼灸協会は、毎年鍼灸の日である4月9日にPRイベントを行っています。
過去には、新宿鍼灸柔整歯科衛生専門学校で開催され、タレントのハリー杉山さんと当時AKB48のメンバーであった田名部生来さんをゲストにトークイベントが行われました。
また、ゲストの2人には美容鍼灸の施術を実際に体験してもらっています。
このイベントではその他にも、協賛各社による施術のデモンストレーションが行われ、新しい鍼灸の治療法の発表や鍼灸師だけでなく家庭でも使える健康・美容器の展示などを通じて、鍼灸のPRが行われました。
この他にも、日本鍼灸協会では鍼灸師・学生向けセミナーや一般の方向けセミナーなどが行われているので、興味のある方は日本鍼灸協会のHPを参照の上参加してみてください。
鍼灸の雑学
<鍼灸師になるには?>
鍼灸とは、東洋医学の治療法の1つで、鍼や灸を使って行うものです。
古代中国が発祥とされ、現在では世界各地に広まった鍼灸は、近年では美容鍼灸やスポーツ鍼灸など細かく分野が分かれ、利用する人も増えています。
みなさんの近くにも鍼灸の診療所があったりプロスポーツ選手が膝などを怪我したときなどに鍼治療を受けていることがメディアで取り上げられたりすることで、鍼灸治療を目にしたり実際に受けたことがある方も多いと思います。
日本でこれらの鍼治療を行うには国家資格が必要です。
じつは「鍼灸師」という資格はなく、鍼治療を行う「はり師」と灸治療を行う「きゅう師」というそれぞれの国家資格がありますが、多くの人が両方の資格を取得するので「鍼灸師」と呼ばれることが多いそうです。
はり師やきゅう師の資格を取得するには、鍼灸系の専門学校(3年間)または鍼灸学科のある大学(4年間)や短大(3年間)に通い、東洋医学や解剖学・生理学などの西洋医学、はりの専門科目、きゅうの専門科目などを実習を交えて学ぶ必要があります。
これらの学校を卒業すると国家試験を受験する資格が得られ、国家試験に合格するとはり師やきゅう師の免許が得られるのです。
毎年変動はありますが、4,500人~4,800人ほどが受験し、合格率は60~75%です。
鍼灸師は、取得するにはやや難しい資格ですが、美容やスポーツ、介護・福祉、婦人科、小児科などの分野での需要が高まっている分野なので、将来性のある職業の1つといわれています。
<鍼の種類と期待される効果とは?>
鍼灸というと、肩こりや腰痛などの症状をやわらげるというイメージが強いですが、じつは期待される効果は広範囲で、NIH(アメリカの国立衛生研究所)でも神経系疾患や運動器系疾患をはじめ、大人から子供まで様々な疾患に効果や有効性が認められているほどです。
とくに鍼治療は、ツボを刺激することで脳内から分泌される鎮痛物質の1つである「エンドルフィン(内因性モルヒネ様物質)」が生産されることが科学的に証明されており、痛みを取り除く治療に効果を発揮しています。
また、鍼によるエンドルフィンの生産を利用して薬物を使わない麻酔としての研究も進められているのです。
そのほかにも鍼灸には、症状や部位、年齢などによって使う道具や方法など色々な種類の治療法があります。
鍼治療には次のような治療法があります。
《毫鍼(ごうしん)療法》
昔から行われてきた毫鍼(ごうしん)という特殊な細い鍼を使った方法です。
日本で主に使われているのは、直径0.12~0.3mm、長さ3cm~6cmの鍼で、刺す部位や症状によって使い分けられています。
毫鍼両法は全身のツボに用いられますが、とくに運動器系疾患や神経痛、肩こり、顔面神経痛、美容(顔のたるみ、むくみ、しわなどの改善)などに効果があるとされています。
《円皮(皮内)鍼療法》
毫鍼よりも短い鍼を皮下組織にだけ刺してテープで固定し、鍼を長時間刺したままにしておく方法です。
円皮療法で使われる鍼は、直径約0.2mm、長さ約1mmほどのもので、丸いテープで固定します。
3日間ほどは刺したままで普通に日常生活を送ることができます。
この療法は、フィギュアスケートの羽生結弦選手が行っていたことで話題になったもので、首や肩のコリ・腰痛・生理痛・頭痛・めまい・耳鳴り・食欲不振自律神経失調症などに効果があるとされています。
《鍉鍼(ていしん)療法》
鍉鍼(ていしん)とは鉛筆やクレヨンのような太い鍼を、刺さずにツボをこすったり押したりして行う療法です。
大人だけでなく小さな子供にも行える方法で、消化器系疾患、代謝内分泌系疾患、アレルギー疾患、循環障害、睡眠障害、痙攣、情緒不安定などに効果があるとされています。
《電気(パルス)鍼療法》
鍼を打ったあとに低周波の電気を流す方法です。
痛みや痺れをやわらげたり筋肉をほぐしたりする効果があるとされています。
《レーザー鍼療法》
レーザー鍼とは、微弱な赤外線レーザーをツボに照射して、光のエネルギーを組織に吸収させる方法です。
鍼灸院だけでなく、痛みの専門であるペインクリニックなどでも利用されている療法で、肩こり・五十肩・腰痛・リウマチ・関節痛・肋間神経痛・スポーツによる膝や肘などの痛み)などに効果があるとされています。
鍼治療は現在も中国や日本だけでなく世界各地で研究が進められているので、今後も新たな治療法や効能が見つかるかもしれませんね。
▪まとめ
鍼灸というと子供のころは古い民間療法の1つくらいにしか思っていませんでした。
しかし、じつは東洋医学の代表的な治療法であり国家資格が必要で、西洋医学の先進国であるアメリカでも効果が認められている医療であることに驚き、考えを改めなければと反省しました。
色々な病気の治療に利用されている鍼灸ですが、最大のメリットは妊婦さんや授乳中のお母さん、小さな子供などにも安心して行えるという所で、世界中からも注目されています。
今後は鍼灸が自分たちが受ける医療の選択肢の1つとして当たり前に上がるものになるかもしれませんね。
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