「7月2日 柿渋の日」
■はじめに
2020年秋、奈良県立医大が渋柿を発酵させた「柿渋」に、新型コロナウイルスの感染力を不活性化させる効果があるとの実験結果を発表し、国内をにわかに色めき立たせました。
しかし、論文の準備中で、詳細も特許出願中とのことで公表されず、「今回は試験管内の研究で、感染抑制に役立つとは直接示していない」との説明もあって、いきなり肩透かしをされたような印象も。
「じゃあ、一体何のために発表したんだ」とのツッコミ多数!
目 次
柿渋の日とは
大阪市にある柿渋や柿渋製品の企画、製造販売の会社「柿多冨」が2010年に、7月2日を「柿渋の日」に制定しました。
柿渋の魅力を世の中に広めようとの意図で制定したようです。
同社が「柿渋の日」として選んだ7月2日ころは、雑節の「半夏生」(はんげしょう)に当たることからで、半夏生近くになると山柿が実をつけ、柿渋作りの準備が始まるためです。
また、「夏季7月2日」を「夏季→かき、7→し(しちの読みか?)、2→ぶ」とした大胆な語呂合わせでもあるようです。
(半夏生については当サイト7月2日の「うどんの日」をご覧ください)
■柿渋の日の意味と由来
渋柿ならよく知っていますが、「柿渋」はなじみのない言葉です。
「柿渋」とは未熟の青いうちに収穫した渋柿を搾り、その果汁を発酵熟成させたもので、塗料や染料、万能民間薬などに古くから使われてきた日本固有の発酵文化ですが、石油化学製品に押されて需要が減退していました。
脱プラスチック、SDGsが叫ばれる今、100%天然素材の柿渋に復権の兆しが見られているようです。
■柿渋の日のイベント
「柿渋の日」のイベント開催は見当たりません。
柿渋をアピールしても製品の主役ではないため、結局は柿渋を使った製品に目が向いてしまいがちで、そのへんに脇役をメインにする難しさがありますね。
柿渋の日の雑学
▽臭いを解決した柿渋は日常の中へ
防虫や防腐、防水などに効果のある柿渋は、発酵による臭いが難点でしたが、この問題も今は解決されたため、柿渋を利用した多くの製品が日常の中に出回るようになりました。
中でもナチュラルな風合いの淡い茶色の柿渋塗料は、防水・防腐効果で木工製品と相性が良く、時が経つにつれて際立つ茶色に変化していきます。
柿渋で染めたバッグやポシェットは逆に使うにつれて色が薄くなって、枯れた素朴な風合いへと変わります。
また、柿渋に含まれる柿タンニンはタンパク質を変性させるので、毛穴を引き締めて汗や油の分泌を抑制して、加齢臭などの臭いを防ぐ効果もあり、石鹸やシャンプーなどにも柿渋が含まれています。
このほかにも柿渋の用途は多岐にわたり、漆器製造の際には漆の下地に利用され、綿や麻で作られた漁網や、団扇、和傘、和紙などに塗ることで強度を高めることができます。
▽柿渋は即身仏にも塗られていた
柿渋は縄文時代の遺跡で発掘されており、ずいぶん古い時代からあったようで、加賀市の遺跡からも柿渋下地の漆器が出土し、下塗りの記録が発見されるなど、平安時代の利用法はかなり明確になっています。
このほかにも即身仏に塗って腐敗を防ぎ、山伏や下級武士が着る「柿衣」、和傘などに使われていたことも判明しています。
安土桃山時代になると、金箔打ち紙や張籠(つづら)にも塗られ、江戸時代には商品として柿渋が流通して「渋屋」が軒を連ねるなどの隆盛を極めています。
■最後に
100%天然素材の柿渋は木の呼吸を妨げず、建物の耐久性や防水性を高めることから、東大寺や東本願寺、京都迎賓館など、多くの国宝、重要文化財に使われているそうです。
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