「7月2日 うどんの日」
■はじめに
電車の写真を見るたびに、どういうわけか駅のホームの立ち食いそば屋を思い出します。
寝起きが悪く、いつもせわしなく出かけるので、1日の最初の食事はそのお店を利用していましたが、店先でいつも「そばにしようか、うどんにするか」と迷ったものでした。
どっちにしてもトッピングはかき揚げとコロッケで、今でも家で食べるうどん、そばは同じトッピングが習慣になっていますが、筆者の同居人は「邪道」と非難の目つきです。
今日はうどんのほうがテーマです。
目 次
うどんの日とは
7月2日は香川県生麺事業協同組合が1980(昭和55)年に制定した「うどんの日」です。
■うどんの日の意味と由来
では、なぜ7月2日なのかと言えば、このころが「半夏生」(はんげしょう)という雑節に当たるからで、半夏生には天から毒気が降ってくるという言い伝えがあることから、酒や肉、野菜などを摂ることを控える風習がありました。
半夏生のころはちょうど田植えや麦刈りが終わる時期でもあり、四国・讃岐地方の農家ではいよいよ半夏生だというころになると、今までの労をねぎらおうと、うどんを打って食べる風習がありました。
その風習と半夏生が結びついて「うどんの日」が誕生することになります。
それだけでは、まだ7月2日の日付の由来は明確じゃありませんね。
そもそも半夏生は夏至の日から数えて11日目、またはその日からの5日間ですが、夏至の日は年によって動くため、半夏生の日も変わります。
「うどんの日」制定に当たって、毎年ころころ日が変わるのはよろしくないと思ったのかどうか、とにかく7月2日がよかろうとばかり、この日を「うどんの日」としたようです(一部筆者推測)。
■うどんの日のイベント
毎年の「うどんの日」には高松市を中心に、「さぬきの夢」うどんのイベントが開催されています。
イベントはうどんや煮干し、昆布、ネギなどのうどん材料の奉納という厳かな神事から始まり、各業者が様々なプレゼント、うどん1000食の無料提供などを実施するほか、手打ちうどんの体験学習なども企画されているようです。
うどんの日の雑学
▽雑節
雑節という言葉もあまり耳にすることがなく、よくわからないという人も多いだろうと思います。
半夏生のほかに節分、彼岸、八十八夜、入梅、二百十日などが雑節ですね。
雑節は夏至や春分、冬至、秋分、啓蟄、大寒などの二十四節気以外に、日々の暮らしの中で感じる季節の移ろいの節目を表しています。
たとえば八十八夜は春から夏に移る節目であり、昔は種蒔きの重要な目安になっていました。
「八十八」という字をタテに組み合わせると「米」になることから、農家にとっては五穀豊穣を祈願する大切な日でした。
気象情報のない昔は、夏至を過ぎて半夏生に入る前までに田植えを済ませなくてはならないという不文律があったようで、たとえ天候に恵まれなくて作業が遅れたとしても、半夏生以降の田植えを禁じる地域もあったそうです。
半夏生を過ぎた田植えでは収穫が激減するという意味の「半夏半作」という言葉もあり、半夏生の日の天候で稲作の豊凶を占うなど、農家の生活に深く浸透していたのが雑節という季節の目安です。
▽うどんの起源
紀元前7000年ごろ、肥沃なメソポタミアの土地で小麦の栽培が始まり、シルクロードによって中国へ小麦の栽培や小麦粉にする技術が伝えられました。
紀元前3000年くらいになると、中国で石臼が考案されたことで白い小麦粉が登場し、これがシルクロードを戻ってイタリアまで伝えられ、パスタの起源になったと言われています。
やがて中国では後漢の末期に、小麦粉を練ってから煮て食べる「湯餅」(タンピン)という食品が作られるようになり、三国志時代からは練り粉を手でのばした麺が現れます。
さらに唐の時代には麺棒で生地をのばして包丁で切る麺となり、今の麺の形になったのは宋の時代だと言われています。
小麦が日本へ朝鮮半島経由で伝えられたのは4~5世紀で、小麦粉が麺へと形を変えて食されるようになったのは平安時代のようですが、うどんよりそうめんに近いものでした。
その後、と言っても何百年も後ですが、静岡茶の始祖として知られる鎌倉時代の高僧・聖一国師が宋から製麺法を持ち帰ったことで、ようやく日本のうどん文化が始まることになります。
うどんが庶民に広まるのは江戸時代に入ってからで、ダシに工夫を凝らすなどして、うどん文化は大きく発展することになりました。
■最後に
その昔、同居人が胃を悪くしたとき、消化がいいとばかり、来る日も来る日も朝からうどんでした。
いくら好きだからと言って、その後はしばらく立ち食いそば屋からは足が遠のいていました。
ところで、うどんもあるのに、どうして立ち食い「そば屋」って言うんでしょうかね。
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