キンカンと聞くと、甘くてほろ苦い、オレンジ色の果実を思い浮かべる人も多いでしょう。
夏には小さなかわいい花を、いくつも咲かせるキンカンは、香りが良く鑑賞目的でも親しまれています。
そんなキンカンの花言葉は、花の伝来と深く関係していました。
目 次
キンカンとは
キンカンは中国が原産の果樹で、日本には江戸時代に伝わりました。
キンカンには複数の種類があり、多くは樹高が2~3mです。
枝には、とげがある物もあります。
キンカンは寒さに強く、虫などがつくこともあまりないため、初心者でも比較的育てやすい果樹です。
夏ごろに直径3㎝程度の小さな白い花を咲かせます。
花は甘い香りがするのが特徴です。
秋には緑の果実を実らせ、冬頃黄色に熟します。
キンカンは食用と鑑賞用の2種類があります。
食用のキンカンは、皮部分が甘さだけでなく程よい酸味があり、実はほろ苦いです。
そのまま食べることもありますが、甘露煮やジャムなどに加工されることも多いです。
また、キンカンの実を薬として用いられることもあります。
キンカンの名前の由来
キンカンは漢字で「金柑」と書かれます。
これは原産の中国も日本もおなじです。
中国で生まれたこの名前は、キンカンの実が黄金色に輝き、柑橘類のみかんに似ていることから、つけられたとされています。
同じ由来で、「金橘(キンキツ)」という名前もあります。
西洋名は「Kumquat(カムクワット)」や「Cumquat(コムクワット)」です。
この名前は、中国名の「金橘」に由来します。
「金橘」は中国の広東では、カムクヮトと読み、この読み方に英語をあてたそうです。
学名は「Fortunella(フォーチュネラ)」です。
この名前は、スコットランドの植物学者である、ロバート・フォーチュンに敬意を表し、つけられたと言われています。
ロバート・フォーチュンは、ヨーロッパにキンカンを伝えたとされています。
キンカンが誕生花となる日にち
1月29日
キンカンの花言葉
「感謝」「思い出」などがキンカンの花言葉です。
「感謝」という花言葉は、中国から日本にキンカンが伝わった出来事に由来します。
中国から出港した船が、航海中に難破し、静岡県の清水港にながれつきました。
この時、難破船に乗船していた船員を、清水の人たちが助けたそうです。
船員は、助けてもらったお礼に、キンカンの砂糖漬けを清水の人たちに贈ったとされています。
この出来事から、キンカンの花言葉に「感謝」がつけられました。
また、日本全体にキンカンが広まったきっかけも、この砂糖漬けにあります。
砂糖漬けされたキンカンの実の中の種を植えて、キンカンが育ったことで、日本全国へと波及したそうです。
「思い出」という花言葉は、キンカンの実が薬として親しまれていたことに由来します。
古くから生の実や砂糖漬けなどで、食べられてきたキンカンは、風邪や咳止めとして効果がありました。
子供が、風邪をひくと母親がキンカンの砂糖漬けを食べさせてくれることから、思い出の味ということで、「思い出」とついたそうです。
キンカンの色別の花言葉
キンカンの花は白色のみです。
そのため、花色別の花言葉はありません。
キンカンの怖い花言葉
キンカンの花言葉は、キンカンの甘くさわやかな酸味がある実が由来で、相手への想いが伝わる良いイメージの物ばかりです。
怖い印象を与える花言葉はついていないようです。
キンカンがおせち料理に入っている理由とは
キンカンのジャムや砂糖漬け、甘露煮は、実のほろ苦さをおさえ、程よい酸味が食欲をそそります。
さらに香りが良く、古くからおいしく食べられてきました。
特にキンカンの甘露煮は、おせち料理に入っている印象があるかもしれません。
キンカンがどうして、おせち料理に入っているのでしょうか。
それは、キンカンの名前に関係があります。
キンカンは漢字で金柑と書きますが、同じ読み方の「金冠」にかけていると言われています。
「金冠」には、資財に恵まれ、お金に困らないようにという意味があります。
「1年間貧しい生活をしないように」という願いが込められていたのでしょう。
また、キンカンの実はのどの痛みや咳、風邪などへの効果があります。
もしかすると、富だけでなく、「健康に生活できますように」という意味もあったのかもしれませんね。
甘酸っぱさとさわやかな香りが特徴のキンカン。
食べるだけでなく、薬としても効果を期待されてきました。
鑑賞用のキンカンも白く小さな花が、さわやかな香りを漂わせます。
見て、食べてキンカン存分に楽しみたいですね。