アーモンドと言われると、栄養満点のナッツを思い浮かべる人が多いでしょう。
アーモンドの花はモモやサクラのように春先に開花します。
花色は淡いものが多く、とてもきれいです。
そんなアーモンドには、1人の男性を愛し続けた女性の言い伝えがありました。
目 次
アーモンドとは
アーモンドは元々、アジア南西部が原産の果樹です。
近年は、オーストラリアや南ヨーロッパ、アメリカ合衆国など多くの地域で育てられています。
日本では、山形県や鹿児島県、小豆島が栽培地域です。
アーモンドの花は、白やピンク、サクラ色などの花色があります。
開花期は、3月から4月で、春の訪れを告げる花です。
花の形は、サクラの花によく似ています。
さらにはモモやアンズの花にもよく似ており、いっけん見分けるのが難しいです。
果実は夏に実りますが、熟しても自然と木から落ちることはありません。
そのため果実を収穫するときには、機械で樹を揺らして人工的に落とします。
果肉は食べても害はありませんが、水分が少なく、渋みがあり食用には向きません。
一般的にアーモンドとして食べられているのは、種の部分です。
種の部分にも種類があり、甘みのあるスイート種と苦みが強いビター種があります。
食用とされているのは、スイート種の中でもほんの一握りです。
ビター種は香料や薬として用いられています。
ビター種の苦みの元である、アミグダリンは摂取しすぎると害があります。
そのため、ビター種は食用として用いられることはありません。
アーモンドの名前の由来
アーモンドは西洋名で、英語表記は「Almond(アーマンド)」です。
「amygdala(アミダグラ)」とういラテン語が語源になっていると言われています。amygdalaは現在は、人の身体にある「扁桃体」を表す言葉です。
日本でアーモンドと呼ばれる理由は、ポルトガル語の「amendoa(アメンドゥ)」がアーモンドに変化したからとされています。
アジア南西部が原産のアーモンドは、ポルトガルから伝えられました。
ポルトガル人が呼んでいたアメンドゥが変化したそうです。
現在はアーモンドという名称が一般的ですが、日本では「扁桃(ヘントウ)」という呼び名もあります。
扁桃という名前の由来はいくつかの説あります。
1つはアーモンドの形が、人間の扁桃腺の形に似ていたことに由来するという説です。
また、アーモンドがモモに似ている花を咲かせ果実を実らせることに由来するという説もあります。
中国ではアーモンドを「巴旦杏(ハタンキョウ)」と言います。
巴旦杏という言葉は、ペルシャ語のバタムという言葉が語源になっているそうです。
中国で、バタムという音から漢字をあてたとされます。
また巴旦杏はアーモンドだけでなく、スモモを示す場合もあります。
アーモンドが誕生花となる日にち
3月14日
アーモンドの花言葉
アーモンドの花言葉は、「永遠の優しさ」「真実の愛」「希望」などです。
アーモンドは、キリスト教やユダヤ教の聖書である旧約聖書に登場する「あめんどうの杖」を指すと言われています。
また、宗教の絵にも描かれていたことも多いです。
アーモンドは、神様と深く関係があるため、「永遠の優しさ」「真実の愛」といった、無条件に人を愛するような言葉がつけられたのでしょう。
「希望」という花言葉も、神様にお願いをするという意味でつけられたのかもしれませんね。
アーモンドの色別の花言葉
アーモンドの花は白やピンク、サクラ色など複数の花色があります。
花の形が似ているサクラの花は色別の花言葉がありますが、アーモンドには色別の花言葉はないようです。
アーモンドの怖い花言葉
神様やキリスト教を象徴するような花言葉がついているアーモンドですが、正反対の意味の花言葉もついています。
「無分別」「愚かさ」「軽率」などです。
神様やキリスト教からは、想像できないような花言葉ですね。
アーモンドの言い伝え
アーモンドには、悲しい言い伝えがあります。
言い伝えはギリシャ神話に記載されている、トロイア戦争に関係があります。
トロイア戦争に参戦していたギリシャの戦士が、トルキアという国に漂着しました。
戦士はトルキアの王女と出会い、恋仲になります。
しかし、戦士は、母国に帰る必要がありました。
そこで、トルキアの王女に、「必ず戻ります」という約束をし、母国へと帰還します。
母国へと帰った戦士は、恋人であるトルキアの王女との約束を忘れ、他の女性に恋をしてしまいました。
一方でトルキアの王女は戦士の言葉を信じ、戦士が漂着した海岸で待ち続けます。
あるときトルキアの王女は、病をわずらい亡くなってしまいます。
戦士は王女との約束は愚か、彼女が亡くなってしまったことも知りませんでした。
神様はトルキアの王女を哀れに思い、戦士の帰りをいつまでも待てるようにと亡がらをアーモンドの木にし、海岸へと植えました。
その話を知った戦士は、自分の帰りを待ち続けるアーモンドの木を探しだしました。
戦士は王女との約束を忘れてしまったことを、心底後悔したそうです。
後悔の念を知った王女は戦士を許し、自分の生まれ変わりであるアーモンドの木に、きれいな花をさかせたそうです。
戦士の愚かな姿から、 「無分別」や「愚かさ」、「軽率」といった花言葉がついたとされています。
栄養価が高い種で良く知られているアーモンド。
サクラやモモのようなきれいな花を咲かせることは、知らない人が多いかもしれません。
アーモンドの言い伝えは、「愚かさ」や「軽率」といった悪いイメージの花言葉がついた由来とされますが、「希望」や「永遠の優しさ」という花言葉も戦士との約束に希望を抱いた王女の気持ちから由来しているのかもしれませんね。