真っ白で大きな花が印象的なテッポウユリは、冠婚葬祭などの装飾としてもよく利用されています。
甘い香りが程よく、とても美しい花です。
そんなテッポウユリは、日本だけでなく、世界中で親しまれる花でした。
目 次
テッポウユリとは
現在日本だけでなく世界中で育てられるテッポウユリですが、原産地は、南西諸島と九州南部です。
北海道や本州、四国に分布するテッポウユリは、園芸種が普及したものです。
花色が白く、ラッパ状で横向きに花開きます。
花が咲く時期は、4月から6月ごろです。
6枚の花びらで構成されているように見えますが、花の根元はつがっており、筒のような形になっています。
背丈は50㎝程度のものから、大きいものでは1m以上にまで成長します。
球根植物で、1度植えると、何年も花を咲かせる多年草です。
多年草ではありますが、3年程度で植え替えをすることが望ましいとされています。
球根は乾燥に弱いことから、おがくずなどで包んで販売されることが多いです。
テッポウユリの名前の由来
テッポウユリという名前は和名で、「鉄砲百合」と漢字で書きます。
この名前の由来は、花の形が、昔よく使われていた、「ラッパ銃」に似ていることです。
またユリという名前は、細い茎に大きなベル状の花が咲くことで、風が吹くと揺れることから、当初は「揺すり(ゆすり)」と言われました。
「ゆすり」から「ユリ」へと次第に変化したそうです。
西洋名は「easter lily(イースターリリー)」です。
「easter(イースター)」とは復活祭を意味します。
キリスト教では、キリストが復活したとされる復活祭に、テッポウユリをかざります。
キリストが十字架にはりつけられたあと、白いユリが咲いそうです。
白いユリは、キリストの苦しみや痛みが含まれているとされています。
テッポウユリは日本の固有種で、当初はマドンナリリーというユリが使われていました。
いつしか、テッポウユリが育てやすい花であったため、復活祭でかざるユリとなったそうです。
復活祭にかかせないユリとなったため、「easter lily」という名前がつけられました。
テッポウユリが誕生花となる日にち
7月13日、10月12日
テッポウユリの花言葉
「純潔」「甘美」「威厳」「偽れない」などです。
また、西洋の花言葉は「refinedbeauty(洗練された)」、「purity(純粋)」です。
混じり気のない白いユリは、キリストの母である聖母マリアを象徴する花の1つとされています。
このことから、「純潔」や「refinedbeauty」といった、純粋さや美しさを象徴するような花言葉がつけられたそうです。
テッポウユリには、虫をさそう甘い香りがあることから、「甘美」という花言葉がつけられています。
テッポウユリの色別の花言葉
テッポウユリの花色は白のみです。
そのため、色別の花言葉はありません。
テッポウユリの怖い花言葉
ラッパ銃に似ているという名前の由来からも、怖い花言葉を持っていそうな印象です。
しかし、テッポウユリに、怖い花言葉はつけられていません。
同じユリ科の植物には、黒色の「黒百合(クロユリ)」というユリがあります。
こちらは「呪い」や「復讐」といった怖い花言葉がつけられているようです。
テッポウユリの歴史
ユリは古くから聖母マリアやキリストと、関係の深い花とされてきました。
聖母マリアの花と言われる白いユリは、当初西洋で発見されたマドンナリリーとされていました。
そのため、教会などでかざられる花は、マドンナリリーでした。
19世紀に日本からテッポウユリが伝えられたそうです。
マドンナリリーはもちろん白い花ですが、それよりも白く、比較的どんな環境でも育つことから、次第にテッポウユリが使われるようになりました。
世界中でマドンナリリーの代わりとして、テッポウユリが、かざられるようになったそうです。
現在でも、教会や復活祭など、聖母マリアやキリストに関わる行事にかかせない花です。
テッポウユリは、日本でも古くから親しまれて行きました。
テッポウユリという植物が認識されたのは、1777年のことです。
スウェーデンの植物学者によって、日本のテッポウユリが記録されました。
1819年には、日本からイギリスへと、球根が持ち込まれています。
テッポウユリはその後、復活祭にかかせないユリとなり、日本が主要生産国となったそうです。
日本では、1982年に発売された20円切手の絵柄にもされています。
また、埼玉県川口市の市花に定められています。
混じり気のない白が、とても美しく、華やかな印象のテッポウユリ。
日本固有の美しいユリを、いつまでも大切に育てたいですね。